洋服のシミ取り・シミ抜き方法を解説!汚れの種類ごとにしっかり対処

洋服のシミ取り・シミ抜き方法を解説!汚れの種類ごとにしっかり対処

食事中、食べ物や調味液をこぼしてシャツにシミをつくってしまった経験は誰にでもあると思います。ナポリタンやカレーうどん、担々麺など最恐の食べ物には、エプロンなどで細心の注意を払いますが、ごく普通のランチでもよく見ると料理のタレなど細かい汁がハネているケースも少なくありません。

汚れてもいいシャツならともかく、それがお気に入りの一着だと、気分もへこんでしまいますよね。そんなとき、正しいシミ取りの方法を知っておくと気持ちに余裕が生まれます。

そこで今回は、食べ物でついてしまった油汚れから、コーヒーなどの飲み物でできたシミ、クリーニング後に長くしまっておいた衣類にできた謎の茶色いシミまで、それぞれのシミの正しい落とし方を解説していきます。

シミができたら、まず“こすらない”、そして“そのままにしない”

シミができたら、まず“こすらない”、そして“そのままにしない”

洋服に食べ物をこぼしてしまったり、インクなどをつけてしまったとき、絶対にしてはいけないことは、付着した部分を“こすらない”こと。つい慌ててこすってしまいがちですが、ここは冷静な対処が求められます。いっぽう「こんなシミはたいしたことない」とたかをくくり“そのままにしておく”のもNG。すぐに対処していれば落とせたシミも、時間が経つにつれて頑固なシミへと変わってしまうのです。

シミを落とすなら、まずはシミの正体を知ることから!

洋服についたシミ、その正体はなんでしょうか?シミができるケースを大きく分類すると、「食べ物・飲み物・調味液をこぼしてしまったケース」、「汗でシャツの襟・袖・裾・脇などにシミができてしまったケース」、その他「ペンのインクや口紅などをつけてしまったケース」に分けられます。

シミをきれいに落とすためには、そのシミをつけたものが何であるか、その正体をしっかり知る必要があります。そして正体がわかったら、それがどんな性質のものか知りましょう。

シミの種類は性質によって、「水溶性」「油溶性(脂溶性とも呼ばれる)」「混合系」「不溶性」「タンパク系」などに分けられます。それぞれのシミの性質を知り、適切な処置を行うことこそ、洋服をきれいに長持ちさせる秘訣といえます。

それではさっそく、それぞれのシミの性質と処置の仕方について見ていきましょう。

<シミの種類と性質>

[水溶性のシミ]

ジュースやコーヒーなど水に溶けやすい性質のものは「水溶性のシミ」に分類されます。水だけでも比較的落としやすく、台所用洗剤があればほとんどのシミにおいてもこと足りますが、時間が経ってしまうと酸化して落ちにくい(漂白剤を使用しないと落とせない)シミに変わってしまうのでご注意ください。

(例)ジュース、コーヒー、しょう油、ワイン、水性インクなど

[油溶性(脂溶性)のシミ]

バター、チョコレートなど油に溶けるタイプのものは「油溶性のシミ」に分類されます。口紅やファンデーションなどの化粧品もこのタイプ。水洗いだけでは落ちないことも多く、台所用洗剤のほかに、クレンジングオイルやベンジンなどを使うと効果的です。

(例)バター、チョコレート、口紅、ファンデーション、ボールペン、クレヨン、朱肉など

[混合系のシミ]

カレーやミートソースなど油溶性と水溶性をあわせもったものは「混合系のシミ」に分類されます。水溶性の汚れのまわりに油溶性の油汚れがまとわりついているため、油溶性の汚れを落としてから、水溶性の汚れを落としていきます。

(例)カレー、ミートソース、マヨネーズ、ドレッシング、アイスクリームなど

[不溶性のシミ]

水にも油にも溶けない、落ちにくいタイプのもの。野球をやっているお子さんのいる家庭では、定番ともいえるユニホームのドロ汚れなど。墨汁や接着剤などの難敵もこの「不溶性のシミ」に分類されます。

(例)泥、サビ、墨汁、ボールペンのゲルインク、香水、チューインガムなど

[タンパク系のシミ]

血液や汗などの体内の分泌液や肉や卵など動物性食品のシミのこと。時間が経つと落ちにくくなるのはもちろん、特にタンパク質を含んだシミは、温めてしまうと固まって落ちにくくなるのでお湯の使用はNG。放っておくとカビの原因にもなるため注意しましょう。

(例)血液、汗、卵、牛乳、母乳、肉汁など

<シミの落とし方>

[水溶性のシミ]

(1)乾いたタオルを敷き、シミのついた側がタオルに接するように衣類をおく。
(2)歯ブラシなどに水をつけ、シミの周辺から中心に向かってたたき、タオルにシミをうつす。
(3)シミの色がタオルにつかなくなるまでたたく。
(4)シミが落ちない場合は、台所用洗剤を水で薄めた液を歯ブラシにつけてたたき、そのあと水でたたいてすすぐ。
(5)洗濯機にかける場合は、通常通り洗濯する。

[油溶性のシミ]

(1)乾いたタオルを敷き、シミのついた側がタオルに接するように衣類をおく。
(2)洗剤を原液のまま歯ブラシにつけてたたくか、軽くつまみ洗いする。
※たたくときはシミの周辺から中心に向かってたたくこと。
(3)シミの色がタオルにつかなくなるまでたたく。
(4)洗剤をつけた部分を水でよくすすぐ。
(5)洗濯機にかける場合は、通常通り洗濯する。

(ベンジンを使って落とす場合)

(1)乾いたタオルを敷き、シミのついた側がタオルに接するように衣類をおく。
(2)ティッシュなどにベンジンをしみ込ませ、裏側からたたく。
(3)シミの色がタオルにつかなくなるまでたたく。
(4)汚れが完全にタオルに移ったらベンジンを乾かす。

※ベンジンは色落ちする恐れがあるのでご注意を。はじめはシミの小さな箇所で試しながら行ってください。

[不溶性のシミ]

(ドロ汚れの場合)

(1)泥汚れを乾かし、砂をはたき落とす。
(2)泡立てた石けんを汚れている部分につけます。
(3)しばらく放置したあと、洗濯機で洗濯します。

(水性ペンキの場合)

(1)ペンキが乾かないうちに洗剤の原液をつけつまみ洗いする。
(2)洗濯機で洗濯する。

※不溶性のシミは落としにくいものが多く、特に時間が経った墨汁はプロでも落とすのが難しいと言います。無理をしてシミの被害が広がる前に、クリーニングに出すのがおすすめです。

[たんぱく系のシミ]

(血液汚れの場合)

(1)水かぬるま湯でもみ洗いする(熱めのお湯だとタンパク質が固まり落ちにくくなるのでご注意を)
(2)液体の酸素系漂白剤をかける。
(3)洗濯機で通常通り洗濯する。

(牛乳や母乳の場合)

(1)酵素配合の洗剤といっしょに衣料用漂白剤(酵素系)を入れてつけおきする。
(2)洗濯機で通常通り洗濯する。

※血液同様、熱めのお湯を使うとタンパク質が固まり落ちにくくなるのでご注意を。

油汚れのシミは「重曹」におまかせ!洗濯機に入れる前のひと手間でシミを落ちやすくします。

油汚れのシミは「重曹」におまかせ!洗濯機に入れる前のひと手間でシミを落ちやすくします。

キッチンまわりのお掃除でも大活躍の「重曹」は、油汚れがついた洋服のシミ落としにも使えます。自然由来の成分で、カラダにも環境にもやさしい安心素材のため、デリケートな洋服にもおすすめ。ここでは重曹を使ったシミの落とし方を紹介します。

<重曹を使ったシミの落とし方>

(1)重曹:水=2:1の割合で、重曹に水を加えて「重曹ペースト」をつくる。
※乾くと固まってしまうため使う分だけをつくることをおすすめします。
(2)重曹ペーストを汚れた部分を完全に覆うように塗って、手でもみ込むようにしてなじませる。
(3)あとは洗濯機で洗うだけ。

<ワイシャツの襟の黄ばみには>

(1)重曹:水=2:1の割合で、重曹に水を加えて「重曹ペースト」をつくる。
※乾くと固まってしまうため使う分だけをつくることをおすすめします。
(2)襟の黄ばんだ部分に重曹ペーストを塗り、その上から「酢」をたらす。
アルカリ性の重曹に酸性の酢を加えることで、中和作用で発泡し、その泡が繊維の奥の汚れを浮き上がらせてくれます。
(3)あとは洗濯機で洗うだけで、黄ばんだ襟もきれいになります。

外出先でシミができたら、ひとまず応急処置を!

外出先でシミができたら、ひとまず応急処置を!

デスクでコーヒーをこぼしてしまいシャツにシミが…。外出先でシミができてしまったらひとまず応急処置を行います。

[水溶性シミの応急処置]

(1)まずはティッシュペーパーなどでできる限り水分を拭きとる。
(2)シミの裏側にハンカチなどをあて、表側から水を含ませたティッシュでやさしくおさえる。
(3)数回繰り返しシミが目立たなくなればOK。

[油溶性シミの応急処置]

(1)肉汁などがかかってしまったら、シミを広げないように注意しながら、固形物をとり除く。
(2)乾いたティッシュなどで表面をたたくように、ついた油分をとり除く。
(3)水分をとったら水を含ませたティッシュに、給湯室の中性洗剤(トイレのハンドソープでもOK)などをつけシミ部分をやさしくおさえる。
※このとき、シミの裏側に水を含ませたハンカチやティッシュをあて、両側から挟むようにしてシミを押し出すのがポイント。
(4)シミが目立たなくなったら、水を含ませたティッシュでおさえ、服に残っている洗剤や石けんを押し出す。水分をとり除いたらOK。

応急処置を済ませておくことで、自宅で洗濯機をかけたあと、きれいにシミを落とすことができます。

長く放置してしまったシミは!

クリーニングに出してしまっておいた洋服を、着ようと思ってひっぱり出したらポツポツと小さなシミが…。せっかくクリーニングに出していたのに、こうしたシミはなぜできたのでしょうか。ここでは、その原因について解説します。

<原因1>もともと透明なシミが付着していた!

カタチを崩さないようにドライクリーニングで仕上げる場合、水にしか溶けない汚れだと時間の経過とともに残った透明なシミが空気中の酸素と反応し、黄色や茶色に発色して目立つようになると言います。
シャツの襟や脇が汗で黄色く変色するのも、この透明シミの代表例。透明なシミはプロでも気づきにくいそうですから、汚れが目立たないものをクリーニングに出す際は、汗をかいた部分や、汚れが付着した部分をひとこと説明することをおすすめします。

<原因2>保管中にカビが生えたもの!

洋服についたポツポツと茶色い小さな点。その正体はカビの可能性が高いです。マンションなどの室内は気密性に優れ、カビが好む高い湿度になりがち。さらに、綿・麻・シルク・ウールなど天然素材の繊維はカビの栄養となります。
クリーニングに出したからと安心せずに、たまにはハンガーにかけ、風通しのいい場所で保管することをおすすめします。

何の汚れかわからないシミは!

水溶性か油溶性かわからないときは、シミに水を一滴たらします。このとき水が染み込めば水溶性、はじけば油溶性と考えられます。

シミの落とし方は、台所用洗剤をシミ部分につけてやさしくもみ洗いしてから水ですすぎます。それでも落ちないときは漂白剤を試します(薄い濃度からはじめてだんだん濃くしていきます)。

シミがついたらすばやく対処!洗濯前のひと手間で、洋服をいつまでもきれいに保ちましょう!

今回は洋服のシミ取り・シミ抜き方法について解説してきました。下記のポイントをおさえて、シミのないきれいな洋服を心がけましょう。

<シミの抜き方のポイント>

  • 汚れをこぼしたら、できるだけ早い段階で対処を。外出時についてしまったら応急処置を。
  • 帰宅したら前処理をして洗濯機で洗濯を。
  • シミの性質に合った落とし方を。
  • シミが広がるのを防ぐため、シミ落としは周辺から中心へ、が基本。
  • 落とすのが難しいシミは無理をせず、クリーニングへ。
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