2018年12月1日 | お役立ち情報
鏡開きとは?その意味や由来、関東と関西での違いなどを解説!
新年が始まってちょっと過ぎたころ、鏡開きという行事が行われます。この鏡開きは日本の伝統的な正月行事のひとつでもあり、お正月に別れを告げる催しとして定着しています。
しかし、若者を中心に「鏡開きって何をするの?」という方も少なくありません。今回は鏡開きの基本や時期、意味や由来などをまとめましたので解説します。
鏡開きとは?
鏡開きとはお正月に神様にお供えしていた鏡餅を食べやすい大きさに開き、お雑煮やおしるこなどにして食べる風習のことを指します。
鏡開きは三が日が終わり、正月気分も薄れていくころに行う行事ですので、中には正月とは別の行事だと勘違いする方もいるかもしれません。
しかし、鏡開きは正月に終わりを告げる立派な正月行事のひとつであり、昔の人は鏡開きを行うことで平常モードに切り替えていきました。
また鏡開きは「お正月に飾った餅を片付ける」という考えの人もいますが、実際には鏡餅を片付けるだけではなく、食べることに大きな意味があります。
詳細は後述しますが、お正月に神様にお供えしていた鏡餅には特別な意味が込められています。ちなみにこの鏡開き、企業によっては毎年恒例の正月行事のひとつとして組み込まれています。
鏡開きの時期はいつ?
お正月の終わりを告げる鏡開きですが、実施される時期はいつなのでしょうか?鏡開きを行う時期に関しては関東と関西で違いがあるようです。
関東
関東の鏡開きの時期は1月11日です。関東では「松の内」が1月7日までとなっているのが一般的です。松の内とは玄関の前に置いておく門松などの正月飾りを飾っておく期間のことを指します。
つまり正月飾りのひとつである鏡餅を使った鏡開きは松の内の期間が過ぎなければ実施することができません。
これが新年を過ぎてから若干の期間が経過したあとに鏡開きを行う理由でもあります。ちなみに鏡開きを行う1月11日という日付は毎年固定となっており、平日や祝日に左右されることはありません。
関西
関西の鏡開きは1月15日もしくは1月20日に行われるのが一般的です。関西では正月飾りを飾っておく松の内の期間が1月15日になっているところが多いです。そのため、関東のように1月11日に鏡開きを行うことができません。
正月飾りを飾っておく松の内は神様がいらっしゃる時期でもありますので、このタイミングで鏡餅を片付けるのは神様に対して失礼な行為となります。
関西での鏡開きが1月15日、または1月20日になっているのはこのような理由があるためです。ちなみに同じ関西でも京都やその周辺の一部地域では1月4日に鏡開きが行なわれています。
鏡開きにはどのような意味が込められているのか?
鏡開きは正月にお迎えする神様にお供えした鏡餅を開いて、食べることです。日本では古来から神様にお供えした食べ物を食べるのは神様とのつながりを深めるという言い伝えがありました。
また神様にお供えした食べ物を食すことで、神様のパワーを頂戴できるとも考えられています。お正月に訪れる神様は年神様といって初日の出とともに現れるとされています。
代表的な正月飾りのひとつでもある門松はこの年神様が迷わないようにと目印として家の前に置くものです。また鏡開きで使用する鏡餅は家の中に入ってきた年神様の拠りどころとなり、お正月の期間はそこで過ごすことになります。
つまり正月飾りの鏡餅には年神様のパワーが宿っているため、鏡開きの日にみんなでこの鏡餅を食べて、力を授けてもらうという意味があります。また鏡餅を食べながら無病息災を願うという考え方もあります。
鏡開きの由来
鏡開きはもともと新年の仕事始め、行事始めの儀式のひとつとして行われていました。鏡開きの「鏡」は円満を意味し、「開く」は末広がりを意味しています。
日本でまだ武士が存在していた時代、武家ではお正月に鏡餅を供えており、毎年11日にこの鏡餅を開いて(割って)食べていました。
ちなみにこのときに食べた鏡餅は男女で異なっており、男性は鎧や兜にお供えした鏡餅(具足餅)を、女性は鏡台にお供えした鏡餅をそれぞれお雑煮にして食べたことが鏡開きの始まりだと伝えられています。
なぜ鏡開きというのか?
鏡開きで多くの方が疑問に思うのが「なぜ鏡開きといわれているの?」という点ではないでしょうか。鏡開きはもともと武家から始まった行事です。そのため、鏡餅に刃物などを使うことは切腹を連想させるためタブーとされてきました。
そこで手や木槌などを使って鏡餅を割ることにしましたが「割る」という言葉も縁起が悪いものです。「切る」「割る」という言葉が使えないため「鏡切り」「鏡割り」という名称はつけられません。
そこで考えたのが次第に末のほうに広がるという意味を持つ「開く」を使うことでした。これが鏡切りでも鏡割りでもない、鏡開きといわれる理由です。
関東と関西で鏡開きの時期が違うのはなぜ?
こちらも鏡開きの大きな疑問のひとつです。鏡開きの時期はなぜ関東と関西で異なるのでしょうか?
まず鏡開きの時期に関してですが、昔は関東でも1月20日に行なわれていました。しかし、徳川三代将軍の徳川家光が慶安4年の4月20日に亡くなったため、月命日である20日を忌日として避けるようになりました。
これ以降、関東の鏡開きは1月11日に行われるようになったということです。
当時の江戸幕府は「松の内は1月7日まで」というお触れを出しましたが、これが関西では思ったように広まらなかったというエピソードもあります。
その結果、関西地域での松の内は1月15日のままとなり、鏡開きも1月15日もしくは1月20日のままとなったのです。
失敗しない鏡餅の開き方を解説
鏡開きでよく聞かれる声は「鏡餅の開き方は?」というものです。基本的に鏡開きで使用される餅はカチンコチンに固まっていることが多いです。この状態の餅を切らずに小さくするのはひと苦労でもあります。ここでは鏡餅の開き方について解説します。
一般的な鏡餅の場合
古くから伝わる伝統的な鏡餅を開くときは木槌や金槌などで叩きながら小さくする手法をとります。木槌や金槌など固いものを打ち込む道具でも鏡餅を開くのは決して簡単ではありません。
しかし、カチカチに乾燥した鏡餅を辛抱強く叩いていくと、徐々にヒビが入るようになります。ヒビが入った後は、勢いよく叩くとはじけるように割れることが多いです。ただしこのような方法でキレイに開くのは鏡餅が相当乾燥していることが条件です。
仮に鏡餅が中途半端な固さだった場合は木槌や金槌を使わない方法を試してみましょう。やり方はとても簡単です。まず鏡餅を半日ほど水に浸けます。その後、耐熱性のある容器に移し、ラップを施してから電子レンジにかけてみましょう。
こうすると鏡餅は柔らかくなるため、人の手でも容易にちぎれるようになります。ちなみにこの方法は鏡餅が非常に熱くなりますから、やけどには十分に注意する必要があります。
開いた鏡餅は定番の雑煮やおしるこにして食べてもよいですし、160℃ほどの油で揚げ、塩や醤油をまぶした「かき餅」にして食べるのもおすすめです。
真空パックの容器に入った鏡餅
最近は家庭で餅をつくような機会が減りましたが、それはスーパーやホームセンターで手軽に購入できるパックに入った鏡餅の存在が大きいです。現在の若年層世代ではこの真空パックに入った鏡餅が主流になっているともいわれています。
真空パックの容器に入った鏡餅ですが、よく「取り出し方がわからない」という声もあります。真空パックの鏡餅の取り出し方ですが、主に以下の2点があります。
- お湯で温める
- 鏡餅が入った容器のフィルムを切り取る
お湯で温める方法は主に小さな鏡餅に適した方法です。やり方は以下のとおりです。
① 鍋でお湯を沸かす
② お湯が沸いた鍋に鏡餅を入れ、10分~15分ほど温める
③ 鍋から鏡餅を取り出し、水で粗熱を除去する
④ 底面のフィルムを切り取り、スプーンで餅を取り出す
ちなみに鏡餅を取り出すスプーンは水で濡らしてから使用するのがおすすめです。こうすることでスプーンに餅がつきづらくなります。
2つめの容器のフィルムを切り取る方法は、上下一体パックの鏡餅を製造するメーカーが設立した日本鏡餅組合の手順が参考になります。
① ナイフまたは包丁で上下一体パック容器の上部に切れ目を入れる
② みかんの皮をむくように容器をはがす
③ 底シールをはがし、お餅を取り出す
【参考サイト】日本鏡餅組合「安全な取り出し方」
この方法はパックからキレイな状態で鏡餅を取り出すことが可能です。
鏡餅を使った鏡開きと酒樽を使った鏡開きの違いとは?
鏡開きと聞くと「酒樽を使った行事」という方もいます。実はこの解釈も正しいものです。鏡開きには鏡餅を使ったものと酒樽を使ったものの2種類があります。
まず鏡餅を使った鏡開きは「正月の終わりを告げる行事」「健康や幸福を願う行事」「神様に感謝する行事」という意味合いがあります。
一方の酒樽を使った鏡開きは主に結婚式や祝勝会などで行われる縁起が良い行事となります。酒樽を使った鏡開きは本来、戦に出陣する前に実施する必勝祈願の儀式でした。
丸い形をした酒樽と上蓋を神鏡の形に見立て、酒樽の前で舞いを行なった後に、上蓋を割って全員で日本酒を飲んだといわれています。ちなみに結婚披露宴などでよく行われる鏡開きには2人の新たな門出を祝うものという意味合いがあります。
具体的には「健康」「幸福」「両家の繁栄」などです。このように鏡餅を使った鏡開きと酒樽を使った鏡開きは、実施される時期こそ違えど、どちらも縁起が良い行事として扱われています。
伝統の鏡開きに参加して新年の無病息災を願おう!
最近は古来から存在する正月の伝統行事を知らないという人も増加傾向にあります。もちろんこれらの行事に参加したからといって必ずしも1年間幸せで過ごせるとは限りません。
しかし、古くから行なわれている鏡開きはお正月の最後を飾る縁起の良い行事です。新年の神様に感謝し、無病息災を願うことで気持ちもピシッと引き締まるのは事実です。次回のお正月に機会があったらぜひ鏡開きに参加してみましょう。