2018年11月5日 | お役立ち情報
クリスマスの意味や起源とは?ツリーやケーキ、プレゼントの由来などを解説
12月25日は子どもも大人も楽しめる一大イベント「クリスマス」の日です。各地域ではこの日のために12月の頭からクリスマスソングを流す、ツリーを飾る、美しいイルミネーションを点灯させたりしています。
これだけの大きなイベントですから、クリスマスを知らない人はいないと思います。しかし、クリスマスの意味や起源、由来まで知っている人は少ないのではないでしょうか。そこで今回はクリスマス全般に関する歴史などを徹底解説します。
クリスマスの意味とは?
現代のクリスマスは家族や大切な人と楽しい時間を過ごす日でもありますが、もともとのクリスマスはイエス・キリストの降誕(誕生)を祝うお祭りのことを指します。
イエス・キリストが誕生したのは今から約2000年前であり、クリスマスはキリスト教徒の礼拝によって世界中に広まることになりました。
クリスマスの日に降誕祭を行うため、多くの人はイエス・キリストの誕生日は12月25日と勘違いしそうですが、実は12月25日にイエス・キリストが実際に生まれたという記録は残っていません(新約聖書などにも記されておらず)。
ちなみにこの件に関しては1993年にイギリスの天文学者であるD・ヒューズが聖書中のある記述(天文現象)からイエス・キリストの誕生日は紀元前7年9月15日とする説を発表しています。
またその他でも9月~10月生まれとする説が浮上していますが、現状では詳細不明ということで扱われています。
このような理由からイエス・キリストの降誕を祝うお祭りは、当初さまざまな日に行われていました。しかし、時の流れとともに12月25日に祝われるようになり、4世紀にこれが確立したとされています。
クリスマスの語源とは?
クリスマスは英語で「Chirstmas」と表記します。この言葉は本来「Christ」と「mas」に分かれており、それぞれ「イエス・キリスト(Christ)」「ミサ(礼拝・mas)」という意味を持っています。
その語源はラテン語の「クリストゥス・ミサ」からきたものです。ちなみに「Chirstmas」を英語で「Xmas」「X-mas」と表記することもあります。
「X」というローマ字が使われている理由ですが、英語の「Chirst」はギリシャ語表記の頭文字「X」で表すことができるためです。
また日本では「X’mas」といったように「'(アポストロフィ)」がつくこともしばしば見受けられます。これはキリストを意味する「X」の文字を強調する目的でつけられたという説が有力とされています。英語圏では「'(アポストロフィ)」を使うことは、基本的にありません。
カトリック教会で行われる礼拝の儀式ミサは平日、休日関係なく行われています。
イエス・キリストの降誕祭ではクリスマスミサやクリスマス礼拝が行われ、クリスマスにちなんだキャンドルサービスや聖書の朗読を行います。このクリスマスの日に行われるミサや礼拝はクリスチャン、信者でなくとも参加することができます。
クリスマスの由来・起源を解説
クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う降誕祭の意味がありますが「なぜイエス・キリストとは関係ない12月25日に行うのか?」という疑問が残ります。ここではクリスマスの起源などを解説しながら、その謎を解いていきましょう。
① ミトラ教が行っていた冬至のお祭り
ミトラ教とは紀元1世紀から4世紀にかけてキリスト教と双璧をなす救済宗教として絶大な支持を集めた宗教です。古代ローマではこのミトラ教が流行しており、主神は太陽神の性質を持つミトラスでした。
ミトラ教の大事な習慣のひとつに「冬至のお祭り」があり、これが12月25日に行われていました。この冬至のお祭りは「ナタリス・インウィクティ」と呼ばれます。冬至とは1年の中で最も昼が短く、夜が長い日のことであり、12月22日ごろのことを指します。
ちなみにこの日を境にして徐々に日が長くなっていきます。そして信者たちは太陽の神でもあるミトラスは冬至に死んで、その3日後に復活すると考え、12月25日に祭典を行うようになりました。
② 農耕神への収穫祭
ミトラ教が存在していた同時期の古代ローマには「サートゥルナーリア祭」と呼ばれる土着(その土地で生まれたもの)の慣習が根付いていました。ちなみにサートゥルナーリア祭はミトラ教より古くから存在する、いわゆる伝統的なお祭りのことです。
このお祭りで祝されるサートゥルヌス神は農耕の神様であり、ローマ神話にも出てきます。ちなみにサートゥルヌス神は英語名で「サターン」といいます。
ローマ神話ではユピテル(ローマ神話の最高神)に封印されてしまったサートゥルヌス神ですが、ユピテルが休暇を取っている間(12月17日~12月23日)のみ解放されることになり、これがサートゥルナーリア祭の始まりとなりました。
サートゥルナーリア祭では奴隷の解放や普段は禁止されている賭け事なども解禁されるなど、ローマ全体で盛大に行われるお祭りのひとつだったようです。
③ キリスト教による併呑(へいどん)
ここでようやくキリスト教の登場です。イエス・キリストの死後、ローマ帝国はキリスト教を導入し、国教(国が公認した宗教のこと)に定められました。この変化によってローマ帝国では異教のお祭りはすべて禁止とされました。
つまり前述のミトラ教のお祭りやサートゥルナーリア祭を行うことが禁止されたということです。これによりミトラ教は最終的にキリスト教に取り込まれていく形になります。
しかし、民衆のひとつの楽しみとされていた慣習を強引に退けることは争いの原因にもなるため、不可能に近い話でした。そこでキリスト教側は以下のような提案をしました。
- イエス・キリスト=光=太陽神ミトラ(ミトラ教)
- イエス・キリスト=永遠の生命=農耕(サートゥルナーリア祭)
こうすることでミトラ教の信者やサートゥルナーリア祭を楽しみにしていたローマ市民もイエス・キリストを受け入れやすくなります。
この提案に関しては「少々強引」ともいわれることが多いですが、結果的にローマ市民はこれを受け入れ、一件落着となりました。これがイエス・キリストの誕生日とは無関係の12月25日に降誕祭が行われる理由です。
日本でクリスマスが始まったのはいつから?
日本に初めてクリスマスが伝えられたのは1552年のことです。山口県にキリスト教の宣教師としてやってきたフランシスコ・ザビエルが信徒を集め、12月24日にミサを行ったのが始まりだとされています。
ちなみに当時の日本ではクリスマスのことを「ナタラ」と呼んでいました。また1560年ごろには京都にキリシタンら100名が集い、盛大な降誕祭を行ったという記録が残っています。
その他、1568年にはイエズス会士(イエズス会の修道士)のルイス・フロイスにより、織田信長と松永久秀がクリスマスに一時休戦をしたという記録が残されています。そのため、クリスマスはこの当時から全国各地で行われていたのではないかと推測されています。
ちなみに日本では1612年に江戸幕府のキリスト教禁止令(禁教令)によって、クリスマスは一度消滅します。再び日本にクリスマスが復活したのは1873年の明治6年であり、このころから信徒以外にもクリスマスが浸透していきました。
クリスマスツリーの起源・由来は?
クリスマスツリーには「永遠に枯れない命」という意味が込められているそうです。そのため、クリスマスツリーに使われる木は冬でも枯れない木として知られるモミの木(常葉樹)が使用されています。
またキリスト生誕の劇中に使われる知恵の実がなる禁断の木に、モミの木が使用されたことも関係しているとされています。そしてクリスマスツリーの由来ですが、こちらは意外にもキリスト教が起源ではないという説があります。
原型は北欧にいた古代ゲルマン民族の冬至のお祭りで使われていた樫(カシ)の木であり、古代ゲルマン民族をキリスト教に改宗させる過程でモミの木にすり替えたという説が有力とされています。
クリスマスケーキの起源・由来は?
クリスマスケーキはクリスマスを祝いながら食べるケーキとして19世紀にフランスで作られるようになりました。ちなみにクリスマスケーキの起源は「ブッシュ・ド・ノエル」とされています。
ノエルはフランス語で「クリスマス」、ブッシュは「木、丸太」で「クリスマスの薪」という意味があります。日本で初めてクリスマスケーキが販売されたのは1922年のことです。
クリスマスプレゼントの起源・由来は?
クリスマスプレゼントの起源は前述の古代ローマ帝国の伝統行事、サートゥルナーリア祭にあります。サートゥルナーリア祭が行われる時期は冬の真っただ中です。
そして市民は長い冬の折り返し地点となる冬至の日に、蓄えた食材を使用してごちそうを作っていたそうです。このごちそうはご近所同士で分け合い、残り半分の冬の期間を元気で乗り切ろうという意味もありました。
この際に親しい人同士でろうそくや人形などのプレゼントを交換したのが、クリスマスプレゼントの起源だとされています。
日本に初めてクリスマスプレゼントが登場したのは明治時代であり、当時のキリスト教団体が貧しい人々にお菓子、パン、おもちゃなどを詰め込んだものを渡したのが始まりとされています。
サンタクロースの起源・由来は?
サンタクロースの起源は4世紀ごろ、小アジア南西部のリキュア地方にあった古代都市ミュラ(現・トルコ)の司祭であった「聖ニコラス」がモデルだといわれています。
聖ニコラスはトルコの裕福な家庭で育ち、貧しい人や困っている人たちなどに自分の持ち物を惜しまず与えていた心優しい人物でした。そんなニコラスの近所には3人の娘がいる家族が住んでいました。
この家の娘は結婚を望んでいましたが、家庭が大変貧しかったため、このままでは娼婦(売春を職業とする女)にならなければならないという状態にあったといいます。この状況を知ったニコラスはその夜、娘たちが暮らす家の煙突から金貨を投げ入れました。
その金貨は暖炉の近くに干してあった靴下の中に入り、そのお金で娘は救われ、その後、無事に結婚することもできました。ちなみにニコラスは下の2人の娘にも同じことをし、この家族を救ったといわれています。
これがサンタクロースは煙突から入ってきて、靴下の中にプレゼントを入れる由来とされています。ニコラスの行為は18世紀に北米に移住したオランダ人によって伝えられ、子どもたちにプレゼントや贈り物を贈る習慣が広まったとのことです。
クリスマスとクリスマスイブの違いは?
12月24日のクリスマスイブ、12月25日のクリスマス。この2日間の違いについて疑問を抱える方も多いです。前述のように12月25日はイエス・キリストの降誕を祝うお祭りです。
そして12月24日のクリスマスイブですが、クリスマスイブの「イブ(eve)」は「イブニング(evening・夕方や晩)」のことを指しています。つまり12月24日のクリスマスイブは「クリスマスの夕方、夜」という意味があります。
ユダヤ暦を継承したキリスト教では教会暦を採用しています。この教会暦は日没を日付の変わり目としているため、本来のクリスマスは「24日夕方~25日夕方」ということになります。
現在のクリスマスイブは「クリスマスの前日」という意味で使われることも多いですが、教会暦では「クリスマス当日の夜(24日)がクリスマスイブ」ということになります。
一般の暦では25日の夜もクリスマスに該当しますが、教会暦では25日の夜は26日に日付が変わっているため、普通の日に戻ります。このことからクリスマスとクリスマスイブはどちらも同じクリスマスという意味を持っています。
ちなみに今の日本ではクリスマスデート、パーティー、イベントなどが行われるのは24日のイブであることが多く、どちらかといえばクリスマスはイブがメインと考えられている傾向にあります。
家族や大切な人にクリスマスの意味や由来を教えてあげよう!
今回は12月の一大イベントでもあるクリスマスの意味、起源、由来などを解説しました。クリスマスは家族や大切な人と一緒にケーキを食べたり、プレゼントを交換する日として広く浸透しています。
しかし、クリスマスの本来の意味やクリスマスケーキ、クリスマスプレゼントが登場する理由はよく知らないという方は多いです。
クリスマス本来の意味や由来を理解すると、さらにクリスマスが楽しくなること間違いなしです。今年の12月24日、25日は家族や大切な人の前でクリスマスに関する話を披露してみてはいかがでしょうか。