2018年10月10日 | お役立ち情報
ヒュッゲ (HYGGE) とは?デンマークから学びたい幸せな時間を過ごす暮らしの考え方
みなさんはヒュッゲ (HYGGE) という言葉をご存じでしょうか?実はこのヒュッゲ、近年世界的に注目されているワードのひとつであり、幸せな人生を生きるためのヒントが詰まっています。
ヒュッゲ発祥の地はデンマーク。今回はヒュッゲの基本を解説しながら「幸せな時間や人生とは何か?」という疑問に迫ります。
ヒュッゲ (HYGGE) って何?
ヒュッゲとは、デンマーク語で「居心地が良い空間」「楽しい時間」を指す言葉です。今ヒュッゲが欧米でブームを巻き起こしており、2017年には注目キーワードとしても取り上げられました。
北欧に位置するデンマークは「夜が長い」「寒い」「物価や税金が高い」という一見住みづらそうな国に思えるかもしれません。しかし、デンマーク人は「今の人生は幸せ」と感じていることが多いようです。
その理由は普段の生活で心地良い空間や楽しい時間を生み出すヒュッゲを取り入れているからです。
物質的に豊かで治安も良好な日本ですが、個々の人生において「今がとても幸せ」と感じている人はそう多くはありません。そのため、現在心から幸せと感じることができない方はデンマーク発祥のヒュッゲを学ぶ価値は十分にあるといえます。
ヒュッゲ (HYGGE) 発祥の地・デンマークは世界で最も幸福な国
ヒュッゲの考え方や行動を取り入れると本当に個々の人生が幸せになるのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。この疑問を解消すべく、毎年国連が発表している世界幸福度報告の調査結果を見てみましょう。
世界幸福度報告は150以上の国や地域を対象とした幸福度調査のレポートであり、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査です。調査の幸福度判断基準には以下のような項目があります。
- 国民1人あたりのGDP
- 社会的支援(困ったときに頼ることができる家族や仲間がいるか)
- 人生の選択の自由度
- 健康寿命
- 寛容さ(過去1ヶ月の間にチャリティー等に寄付をしたことがあるかなど)
- 腐敗の認識(不満、悲しみ、怒りが多いか少ないか、企業や政府の汚職、自由度など)
この調査で我が国日本は2015年46位、2016年53位、2017年51位、2018年54位に入っています。ちなみに日本はこの調査において毎年「G7(7つの先進国)の中で最下位」と取り上げられており、別の意味で注目を集めることもあります。
一方、ヒュッゲの考え方が浸透しているデンマークは2015年3位、2016年1位、2017年2位、2018年4位にランクインしています。また世界幸福度報告は2012年から実施されている調査ですが、デンマークは2013年と2014年にも第1位に輝きました。
前述のようにデンマークは物価や税金が高い国で有名であり、消費税25%、所得税55%、車の購入に280%の税金がかかります。これだけ税金が高いと本来なら暴動などが起きてもおかしくはありません。
しかし、デンマーク人はなぜか幸せな人が多いです。その主な理由を以下にまとめましたのでご覧ください。
- 教育費が大学まで無料
- 医療もすべて無料
- 出産費無料
- 充実した高齢者サービス
このようにデンマークは税金を高くしている代わりに、非常に充実した社会保障を整えています。この手厚い社会保障制度とヒュッゲのような幸せになれる考えや行動が組み合わさることで「今が幸せ」というデンマーク人が多いようです。
世界一幸福な国に学ぶ!ヒュッゲ (HYGGE) を実践してみよう
ヒュッゲは欧米諸国でちょっとしたブームを迎えています。そこで私たち日本人も世界一幸福なデンマークにならい、ヒュッゲを日常生活に取り入れてみましょう。ここではヒュッゲな生活を送るためのヒントをまとめましたので解説します。
家族や友人との時間を大切にする
デンマークでは仕事よりも家族や気心知れた友人との時間をとても大切にするそうです。具体的には家族で食卓を囲んだり、友人を招いてホームパーティーを開催するなどが挙げられます。
ちなみにデンマークのホームパーティーは招待する側が「料理は何を作ろう?」「家の掃除もしなきゃ」といったように頭を悩ませたり、バタバタすることはありません。
あくまでも全員が楽しい時間を過ごすことを意識しているため、招待する側も気を使う必要がなく一緒に盛り上がることができます。ホットプレートを囲んで焼肉やたこ焼きを楽しんだり、冬は鍋パーティーを行うのもよいでしょう。
日本では大学や社会人になったら田舎から上京するなど、家族と離れるケースも多いため、なかなか家族や幼なじみとともに過ごす時間を作るのが難しいです。GW、お盆休み、正月休みなどの大型連休を活用してヒュッゲな生活を取り入れてみましょう。
会話の中で「ヒュッゲ」と口にしてみる
ヒュッゲな生活を取り入れるには、普段から意識的に「ヒュッゲ」という言葉を発するのもおすすめです。
具体的には「今日は家族とヒュッゲするから遊べないの」「パーティーでヒュッゲするからスーパーへ食材を買いに行こうよ」「昨日は久しぶりに○○君とヒュッゲできて楽しかった」などがあります。
私たち人間が自ら発した言動は行動につながりやすいという特徴があります。また実際に行動に移すことで新たな幸せが生まれることも多々あります。普段から「ヒュッゲ」と口にすることで、自然とヒュッゲに近い行動が生まれる可能性も高くなります。
周囲も最初は「最近ヒュッゲってよく使うね」と感じるかもしれませんが、ヒュッゲは決して悪口ではありませんので、しつこくならない範囲で積極的に使っていきましょう。
仕事はできるだけ定時で終わらせる
前述のようにヒュッゲの本場、デンマークでは家族との時間を非常に大切にするという特徴があります。デンマークの冬季は夕方4時ごろになると外が暗くなるため、仕事を定時で終わらせたら真っすぐ家に帰り、最も大切な家族と過ごすことを心から好んでいます。
ちなみにデンマークでは1週間の法定労働時間が37時間に設定されており、フルタイム勤務の社員は基本平日午前8時~午後4時、もしくは午前9時~午後5時まで働きます。
また彼(彼女)たちは定時後の残業を嫌うため、昼間にとことん仕事をして定時になったら帰宅するというライフスタイルが定着しているといいます(もちろん残業をしている方もいます)。
この考えは過労問題などが度々報じられる我が国日本も見習うべき点があります。仕事と家族の時間をバランスよく確保できれば、最高のヒュッゲを実現できること間違いなしです。
外出するときは車ではなく自転車を活用する
世界で最も幸福度が高いデンマークは大の自転車好きという国民性も持ち合わせています。デンマークは車を購入するときに高い税金が発生するため、自動車の代わりの移動手段として自転車が利用しやすいインフラ整備を積極的に進めています。
世界有数の自転車国家ともいわれるデンマークでは首都コペンハーゲンに人口以上の自転車が存在しており、市内には全長400kmの自転車レーンや道路が設置されています。この自転車ですが、利用すると適度な運動効果を得ることができます。
自転車のような単純な動作をリズミカルに繰り返す運動は意欲を高め、やる気を引き出すドーパミンや幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌を高める働きがあるとされています。
日々の通勤や通学で自転車を利用することが多いデンマーク人が幸せなのは、科学的観点から見ても納得できます。現在、車や電車で通勤、通学している方は、移動手段を可能な距離なら週に数回自転車に切り替えてみてはいかがでしょうか。
物を大切に扱う
デンマーク人の多くは物を大切に扱うという特徴があります。余計な物を持たず、必要な物を必要分だけ持ち、それを長い期間に渡って大切に使うことは幸せな人生を送る上で大切なポイントです。
物があふれすぎている環境では物があることが当たり前に感じてしまい、物や周囲に対するありがたみを忘れてしまう傾向にあります。
デンマーク人は自分が必要だと感じた物に対しては、たとえ古びていても愛着を持って長く使います。自分のお気に入りの物だけに囲まれて過ごす生活が最終的に「心地良い」と感じる空間を生み出してくれます。
キャンドルを灯す
ヒュッゲな空間を演出するのに欠かすことができないアイテムといわれているのがキャンドルです。本場デンマークではキャンドルが生活の一部になっており、キャンドル消費率が世界1位の国としても知られています。
もともとデンマークでは夜が長く、厳しい寒さが訪れる冬季を快適に過ごすためにキャンドルが用いられていました。キャンドルは暖かい雰囲気を演出してくれますが、実はそれだけではありません。
不規則にゆらぐキャンドルの炎は心地良いと感じる小川のせせらぎやそよ風などの自然現象と同じリズムを刻んでいるといいます。このリズムは私たち人間も刻んでいるため、キャンドルの炎を眺めていると自然と快感を覚えるようになります。
またキャンドルはマイナスイオンの発生や香りの効果によって癒しを与えてくれます。デンマーク人が幸せなのは快感や癒しを与えてくれるキャンドルが身近にあることも関係しているでしょう。
近年は100均でも素敵なキャンドルを購入することができますので、手軽にヒュッゲを取り入れたい方は実践してみましょう。
手作りの温もりや愛情を感じる
デンマークでは寒い冬が長く続くことからママやおばあちゃんが子ども、孫にセーターや手袋を手編みして着せているそうです。手作りの品には機械で大量生産された物にはない温もりや愛情があふれんばかりに詰まっています。
また手作り品を作ることで、プレゼントされた側も「大切に扱わないと」という気持ちが芽生えるため、お互いの信頼感もアップし、良好な関係を築くことができるでしょう。
小さなことや今あるものに感謝する
幸いなことに私たち日本人の周りにはさまざまな物やサービスがあるため、普通に生きていく上で困ることはめったにありません。しかし、今の状況が当たり前と捉えてしまうところが悪い癖でもあります。
その結果、今あるものではなく、ないものに目を向け「これも足りない、あれも足りない」という感情を生むことになります。「○○があったらもっと幸せになれるのに」という考えは、幸せな人生を逃がす原因にもなります。
このような考えを「今あるものに感謝する」「小さなことでも感謝する」という思考に変化させてみせましょう。「いつもお弁当を作ってくれる奥さんに感謝」「いつも家族のために頑張って働いている旦那さんに感謝」。
これらは日常生活の中では当たり前のように見られるシーンですが、このような小さなことに感謝することで自然と「今の環境でも十分楽しいな」「幸せなだな」という感情が芽生えてきます。
生活を豊かにすることは大切ですが、上を見ればキリがありません。ヒュッゲを実践するデンマーク人のように小さなことや今あるものに感謝する気持ちを忘れないようにしましょう。
ヒュッゲ (HYGGE) を実践して幸せな人生を実現してみよう!
今回はデンマーク発祥のヒュッゲに関する情報をご紹介しました。世界でも屈指の幸福国ともいわれるデンマークが「なぜ幸せなのか?」という疑問はヒュッゲの考え方や行動を知ることで、何となく答えが見えてきます。
もちろんデンマークと日本では気候、労働環境、日常生活においての価値観などが異なるため、100%本場のヒュッゲを取り入れるのは難しいと思われます。
しかし「家族や仲間を大切にする姿勢」「周囲の人や物に感謝する姿勢」は国に関係なく、人であれば見習うべきポイントです。
最初から本格的にヒュッゲを取り入れても戸惑うことが多いため、自分のできる範囲で少しずつ実践してみましょう。慣れてきたら幸せな人生を送れる可能性も高くなります。