2018年10月10日 | 虫
蜂(ハチ)は10月まで危険!被害に遭わないための予防・駆除・応急処置
蜂の活動期は草花が咲く春をイメージしますが、実は秋まで活動しています。特に夏から秋にかけて活動する蜂が数多くいるので危険です。活動期の蜂には近づかないことが一番の対策ですが、不意に近づいてしまい攻撃されてしまう被害が後を絶ちません。
この記事では蜂の活動期や習性・攻撃パターンを紹介し、効果的な予防・駆除の仕方や万が一被害に遭ったときの応急処置を解説します。
蜂は夏から秋にかけて危険!
日本で活動する蜂の種類は、4000種以上と言われています。蜂の活動期は、種類によって変わるのですが、全種類を通してみると7月~10月の時期に最も活動する時期が集中しています。
ミツバチの活動期
ミツバチの活動期は、春から冬まで一年中です。ミツバチは越冬ができる昆虫で、冬になると巣にこもり蜂同士が身を寄せ合って寒さをしのいでいます。ミツバチが活動期中に行うことは、その名前の通りに花の蜜を集めています。特に春と秋は花を咲かせる植物が増えるので、活動が活発になります。
スズメバチの活動期
スズメバチの活動期は春から秋までです。特に、7月~10月は攻撃的なスズメバチが多くなっています。巣が最も大きくなっている時期も7月~10月なので注意が必要です。
アシナガバチの活動期
アシナガバチの活動期は春から秋までです。特に、8月~9月は活動が活発で危険な時期になります。ただし9月中旬ごろになると急激に活動が弱まり、10月中旬ごろには女王蜂以外はほとんど死んでしまいます。
蜂の種類によって攻撃パターンが違う
日本に生息する4000種以上の蜂は、それぞれ習性や攻撃パターンが違います。大きな蜂だからといっても攻撃的でなかったり、小さい蜂だからといっても攻撃するときは集団になって敵を襲ったりするので注意が必要です。
ただし、家に蜂が侵入した場合、大きな声をあげたり追い払おうと刺激したりすると、蜂の種類に関係なく攻撃的になります。家から蜂を追い払う場合は、慌てずに部屋をカーテンなどで暗くしてから一つの窓を開けましょう。蜂は、明るい方へ移動するので自然に出ていきます。
ミツバチの習性や攻撃パターン
日本にいるミツバチは、大きく「二ホンミツバチ」と「セイヨウミツバチ」の2種類に分かれます。養蜂場などで飼育されている蜂はセイヨウミツバチが多く、野生で巣を作り活動しているミツバチは二ホンミツバチがほとんどになります。
ミツバチの習性
二ホンミツバチとセイヨウミツバチの性格は、どちらもおとなしい性格です。ミツバチは毒針を1回刺してしまうと死んでしまうので、すぐに針を刺しません。針を刺す前には、敵に向かって執拗にまとわりついたり、体当たりしたりします。ミツバチがこのような行動をとったときは、すぐにその場から離れたほうが良いでしょう。
ミツバチの攻撃パターン
ミツバチはおとなしい性格ですが、攻撃的になると集団で襲いかかります。ミツバチが最も攻撃的になるパターンは、巣に近づくことです。巣に近づいた敵には時期を問わずに攻撃的になります。集団で一度に襲われたら防ぐことは難しいでしょう。
ミツバチに襲われないようにするには、巣に近づかないことです。ミツバチが集団で寄って来たらその場から離れるようにしましょう。
スズメバチの習性や攻撃パターン
スズメバチの特徴は、蜂の中でも大きな体と獰猛な性格です。体長は約25mm~30mm、大きなものでは40mmにもなります。攻撃の仕方は、何度も針を刺すことができて、毒液が無くなるまで続けられます。さらに、「警報フェロモン」という毒液を噴射して攻撃する方法もあり、人の目に入ったときに対処が遅れると失明する可能性があります。
スズメバチの習性
スズメバチは、攻撃をする前に威嚇行動をします。下記のような威嚇行動を見逃さないことが大切です。
【スズメバチの威嚇行動】
- 敵の周りで飛び回る
- 顎をカチカチと鳴らす
- 羽を小刻みにはばたかせて羽音を出す
- 空中で停止(ホバリング)をする
スズメバチの攻撃パターン
スズメバチは攻撃的な性格ですが、むやみに襲うことはありません。スズメバチが攻撃してくるときは、知らない間に巣や餌場に近づいてしまったときに襲われてしまいます。また、そのときにシャンプーや柔軟剤、香水といった甘い香りを漂わせていたり、黒っぽい服装を着ていたりすると、スズメバチを刺激します。
スズメバチに襲われないようにするには、まず巣の近くや餌場となる樹液、クモやバッタといった昆虫が多く生息しているところには近づかないことです。スズメバチが生息していそうな野山に行くときは、なるべく匂いの出るものや黒っぽい服装をしないほうが良いでしょう。
アシナガバチの習性や攻撃パターン
アシナガバチの体長は10mm~30mmで細身の体が特徴です。スズメバチと見た目が似ているため攻撃的と思われがちですが、性格はおとなしく巣などを刺激しなければ襲ってきません。ただし、毒はあるので刺されたときに痛みがあり、アナフィラキシーショックを発症する可能性もあります。
アシナガバチの習性
アシナガバチは、害虫を捕らえる益虫とされています。おとなしい性格なので、巣に近づかなければ攻撃されることもなく農作物や庭木に付くイモムシやカメムシなどを食べてくれます。しかし、子どもが巣をいたずらしたり、洗濯物に紛れていたりしたときに刺されることがあるので安心できません。
アシナガバチの攻撃パターン
アシナガバチが攻撃するときは、巣を刺激したり近づきすぎたりしたときです。蜂を刺激した時も攻撃される場合があるので、おとなしいからといっていたずらしたり、むやみに近づいたりしないようにしましょう。
蜂の巣の予防策&駆除の注意点
蜂の巣は、自然にあふれた野山でなく住宅地や都市部にも作られます。蜂が巣を作りやすい場所は様々です。庭先の枝の間や木の根、ベランダや外壁、軒下や屋根裏など、蜂の種類によって好む場所が違います。
巣を作りやすい場所の特徴
日本に生息する主な蜂が巣を作りやすい場所は下記の通りです。
ミツバチが巣を作りやすい場所
ミツバチは、狭い場所に巣を作ります。天井裏や壁のすき間、雨戸の戸袋など、普段では目にしにくい場所にいつの間にかできていることが多くあります。
スズメバチが巣を作りやすい場所
スズメバチが巣を作る場所は、昆虫が多い森林や山間部です。丸い球状の巣だけでなく、木の根元や枝の間を好むスズメバチや土の中に巣を作るオオスズメバチもいます。住宅では、軒下や屋根裏など人の目が届きにくい閉鎖的な場所に作られることがあります。
アシナガバチが巣を作りやすい場所
アシナガバチの巣は、様々な場所で作られます。庭先の植え込みや樹木だけでなく、ベランダや外壁といった開放的な場所にも作られてしまいます。
巣を作らせないための効果的な方法
蜂に巣を作らせないようにするには、できるだけこまめに家の周りや細部をチェックすることが大切です。壁のすき間や雨戸の戸袋といった狭いところや屋根裏に通じる穴ができていないかなどを見ておくと早く対処できます。
ベランダや庭先の掃除も効果的です。蜂は空き缶や空き瓶に残ったジュースの香りや、伸びきった植え込み、樹木の枝などを好みます。家の周り、庭先、ベランダなどはできるだけキレイにしておきましょう。
蜂が好みそうな場所に、殺虫剤や防虫ネットで予防しておくこともできます。殺虫剤には蜂の巣作りを防止する効果のある製品があります。ベランダやすき間のある場所に、防虫ネットを張っておくのも良いでしょう。
蜂の巣駆除での注意点
蜂の巣を自分で駆除するときは、防護服や殺虫剤などの用意はもちろんですが、蜂が拡散したときに近所迷惑にならないようにしましょう。蜂の巣の近くに住居や歩道などがあったら、駆除を行う前や行っている最中などに注意を呼びかけましょう。
また、巣が大きい場合や駆除しにくい場所にあるときは無理をせずに専門家や行政に相談すると良いでしょう。スズメバチの巣の駆除は特に危険なので必ず専門家に依頼するようにしましょう。
「戻り蜂」に注意
蜂の巣を駆除したあとでも、外に出ていた蜂が戻ってきて巣があった場所をさまよっている場合があります。この蜂は「戻り蜂」と呼ばれます。戻り蜂は、1週間ほどその場を飛び回っていることが多く、巣が無くなっていることから混乱しているため攻撃的になっているので注意が必要です。
戻り蜂を駆除するときに殺虫剤を使う場合は、防護服などの準備を万全にしましょう。
蜂にアンモニアは効かない!刺された時の対処法
昔、蜂に刺されたときにおしっこやアンモニア水を塗ると良いと言われていましたが、全く効果はありません。むしろ、アンモニア水を皮膚に塗るとかぶれやすく逆効果になってしまいます。また、蜂は刺されたところを治療しただけでは終わらない場合もあります。その時の症状に合わせた適切な処置が必要です。
局所症状の対処・応急処置
蜂に刺されたら、まずその場からすぐに離れます。次に、蜂の毒液は水に溶けやすいので流水で傷口をよく洗い流します。ミツバチの針は、ピンセットなどで抜き取るか、指で弾き飛ばすようにして抜き取ります。洗い流した傷口は氷で冷やします。腫れや痛みが強い時は我慢せずに病院へ行きましょう。
全身症状の対処・応急処置
蜂に刺されたときは、頭痛や嘔吐、息苦しさなどのアレルギー反応を起こす場合があります。このとき、「アナフィラキシーショック」を発症している可能性があります。
アナフィラキシーショックとは、アレルギーの一種で蜂の毒に反応してしまう症状です。蜂に刺されたことのない方でもアナフィラキシーショックを発症する可能性はあるので十分に気を付けましょう。
アナフィラキシーショックの症状は次の通りです。
- 嘔吐
- お腹の痛み
- のどや胸が締め付けられる
- 息がしにくい
- 脈が乱れる
- 意識がもうろうとしてぐったりする
- めまいやしびれ、けいれんを起こす
この症状は蜂に刺されてから1時間以内に出る場合があります。もし、症状がでたらすぐに病院へ行きましょう。救急車を待っている間は、仰向けにして寝かせて、脚を持ち上げて頭を高くしないようにしましょう。
まとめ
蜂に注意しなければならないのは春や夏だけではありません。10月まで活発に活動する蜂が数多くいます。蜂の巣に近づかないことや蜂に対応した殺虫剤を常備しておくことはもちろんですが、万が一、蜂に出会っても蜂を刺激することのないように注意しましょう。
蜂は、敵と思わなければ攻撃をしません。蜂の性格や習性に合った対処法を心がけるようにすると良いでしょう。