2018年7月1日 | 園芸・ガーデニング
種まきの方法 – 時期や蒔き方の種類とは?【ガーデニングの基本】
ガーデニング、園芸初心者の方は市販の苗から植物を育てるのがおすすめといわれています。しかし、中には種を自分でまいて発芽する喜びを味わいたいという方もいます。
種まきから植物を育てるのは確かに簡単なことではありませんが、基本的なポイントをしっかりと抑えておけば、高い確率で芽を出してくれます。そこで今回は種まきの方法、種まきの時期、種のまき方に関する基本情報を解説します。
種には好光性種子と嫌光性種子がある
種は好光性種子(こうこうせいしゅし)と嫌光性種子(けんこうせいしゅし)の2種類に分類することができます。まずはそれぞれの特徴を見てみましょう。
好光性種子(こうこうせいしゅし)
好光性種子とは発芽に光を必要とする種のことです。発芽するときに光が必要になるため、本来であれば種まき後に種の上に土をかける作業(覆土)は行わなくてもかまいません。
しかし、覆土を行わないと土の表面が乾燥しやすくなるので、発芽に悪影響をおよぼす可能性が高くなります。そのため、発芽に光を必要とする種をまく場合でも覆土を行うのが基本です。
好光性種子の場合は種まき用に開発された土に十分に水分を与えて種まきを行うことで、失敗を防ぐことが可能となります。好光性種子で代表的なものですが草花ではベゴニア、ペチュニア、キンギョウソウ、野菜ではニンジン、小松菜、白菜、シソなどがあります。
嫌光性種子(けんこうせいしゅし)
嫌光性種子はその名のとおり、光を嫌う種のことです。嫌光性種子は光によって発芽が抑制されるという特徴を持っており、暗発芽種子(あんはつがしゅし)とも呼ばれています。
嫌光性種子は光によって発芽に悪影響を与えてしまうため、種まきのときは種の直径の2倍~3倍の深さに植えるのが好ましいとされています。
また発芽までは好光性種子と同様に土が乾燥しないように十分な水やりを行うことが大切です。主な嫌光性種子は草花ではシクラメン、アマランサス、ベニバナ、野菜ではカボチャ、トマト、ピーマンなどがあります。
種まきの方法
種の特徴がわかったら、今度は種まきの方法を覚えてみましょう。種まきの方法は大きく分けて2つあります。
直まき
直まきはその植物を植えたい場所に直接種をまく方法です。ヒマワリ、アサガオ、ポピーなど主に直根性で移植を嫌う植物を育てるときに用いられる種まきの方法です。
また種が大きいものは比較的発芽がスムーズでもあるので、直まきの方法が採られるのが一般的です。ちなみにこの直まきは花壇などをイメージする方が多いですが、プランターや鉢に種をまき、その場所で最後まで育てる方法も直まきに含まれます。
直まきは移植を行う手間が省けるので、比較的楽に植物を育てたいという方には適した種まき方法といえるでしょう。
ただし、花壇などでは花が咲くまでの期間は見た目がさみしくなります。また直射日光や雨風などの影響を受けやすいので、この点は注意が必要となります。
床まき
床まきとは容器に種をまき、ある程度育ててから別の場所に植え付ける(定植する)方法です。床まきには一般的に「箱まき」「平鉢まき」「ポットまき」の3種類があります。
箱まきとは育苗箱と呼ばれる比較的大きめで底の浅い長方形の容器に種をまく方法です。
平鉢まきも基本的には底の浅い鉢(素焼き鉢、駄温鉢など)に種をまきます。ポットまきはビニールでできた柔らかい容器を使用します。
粒が比較的大きい種、たくさんの種をまきたい、多品種を同時に育てたいというときには箱まきが適しています。
反対に粒の小さな種、少量をまきたい場合には平鉢まきがおすすめ。最後のポットまきですが、この方法の最大のメリットは移植の作業が必要ない点にあります。
まいた種が発芽し、順調に成長したらポットから取り出して、そのまま花壇や鉢に定植することが可能なので、移植作業で根を傷める心配をする必要がありません。したがってポットまきは根が傷つくと生育に悪影響を与える直根性の植物にも適した方法となります。
種のまき方
種まきは育てる植物に合ったまき方も意識する必要があります。ここでは種のまき方の種類をまとめましたので解説します。
すじまき
すじまきとは直径1mm~2mm前後の種を、同じ間隔で列状にまく方法です。主柱などを地面に押し当てて、溝を作っていくのがすじまきの一般的なやり方です。
すじまきは発芽時に苗がキレイに並ぶため、間引きをする際に苗の生育状況を比較しやすいのがメリットのひとつです。草花だとコスモス、オシロイバナ、セイヨウオダマキ、野菜だとホウレンソウ、小松菜、ニンジンなどの種をまくときがすじまきになります。
点まき
点まきとは一定間隔に種を数粒ずつまく方法です。点まきの場合は同じ穴に1粒ずつ、あるいは2粒~5粒ほどの種をまきます。
このまき方は種の数が少なくて済む、発芽直後の間引きの手間がかからないというメリットがあります。また他のまき方よりも苗同士の間隔が開いているので、比較的大きめのサイズになるまで栽培が可能となります。
ただし間引き菜が発生しないので、小松菜やホウレンソウといった小さめの葉野菜の栽培には適していません。草花ではトレニア、アサガオ、カーネーション、野菜では白菜、大根、カボチャなどを育てる際によく用いられる方法です。
ばらまき
ばらまきとは土の上に種をばらまく方法です。すじまきや点まきと違って種の重なりはあまり気にしないまき方でもあります。ばらまきは一般的に発芽に光を必要とする植物を育てる際に用いられる方法です。
発芽に光が必要ない植物でもばらまきを行うことがありますが、この場合は発芽に必要な量の土を上からかぶせていきます。ばらまきは一度に多くの種をまくことができるため、ひとつひとつの芽にかける労力は減らすことができます。
しかし、このまき方は大量に芽が出てくることがほとんどですので、間引きまでのことを考えると手間がかかりやすいともいえます。
発芽後10日~30日前後のベビーリーフ(野菜の幼葉)を収穫する際などにはおすすめの方法ですが、種まき後に長期に渡って育てる植物にはあまり適したまき方ではありません。
ばらまきを行う際はあらかじめ種の10倍~20倍の用土に種を混ぜておき、目の粗いふるいなどを使ってまくときれいにまくことができます。
草花ではトケイソウ、キバナコスモス、ペチュニア、野菜では小松菜、ホウレンソウなどでよく用いられる方法です。一般的には小さな種の植物を育てるときに向いているまき方といわれています。
種まきの時期
草花や野菜を上手に育てるコツのひとつに最適な時期に種をまくというのがあります。しかしガーデニング初心者の方などを中心に、それぞれの植物に適した種まきの時期がわからないと悩む方は多いです。
ここでは種まき時期の基本について解説します。草花や野菜の種まき時期というのは一般的に2月~11月(特に春、秋)が中心です。定植時期から逆算して、少し前の時期から種をまいておくと大きな失敗を防ぐことが可能となります。
もちろん各草花、野菜によって発芽に必要な条件は異なるので一概に同じことはいえません。
特に種にはスムーズな発芽に必要となる発芽温度があるため、同じ植物でも地域によって最適な種まきの時期に多少の違いが生まれてきます。以下に主な草花、野菜などの一般的な種まき時期をまとめましたので参考にしてください。
種まき時期 | 草花 | 野菜 |
---|---|---|
春(3月~5月) | ヒマワリ・百日草(ジニア)・千日紅・ペチュニア・日日草(ビンカ)・アスター・コスモス・サルビア・インパチェンス・ケイトウ・ダリア・マリーゴールド・アサガオなど | シュンギク・ベカ菜・コマツナ・枝豆・オクラ・サンチュ・大根・ニンジン・長ネギ・ホウレンソウ・モロヘイヤ・ミニトマト・ブロッコリー・キュウリなど |
夏(6月~8月) | コスモス・ケイトウ・マリーゴールド・百日草(ジニア)・キンギョソウ・アスターなど | キャベツ・カリフラワー・ニンジン・キュウリ・インゲン・枝豆・トウモロコシ・小松菜・ジャガイモなど |
秋(9月~11月) | パンジー・ビオラ・デージー・ノースポール・スイートアリッサム・ヤグルマギク・キンセンカ・ルピナス・ワスレナグサ・スイートピーなど | サヤエンドウ・ソラマメ・カブ・ゴボウ・白菜・ナバナ・ホウレンソウ・小松菜・ミズナ・ニラ・タマネギ・レタス・アイスプラント・シュンギク・ミツバ・タカナなど |
冬(12月~2月) | カンパニュラ・ラベンダーなど | ルッコラ・ソラマメ・カイワレ・ヒメダイズ・小松菜・ニンジン・チンゲンサイ・ホウレンソウ・アスパラガスなど |
基本的に種が発芽するのに適した温度は各植物で異なりますが、概ね20℃~25℃前後といわれています。もちろん植物によっては15℃前後の温度でスムーズな発芽が促されるものもあります。
また小松菜など発芽適温が幅広い植物に関しては年間を通して種まきを行うことが可能です(※地域によっては不可の場合あり)。ただし、ヒマワリやアサガオなどの草花に代表されるように一般的な植物には発芽に適した温度というものがあります。
この発芽適温のことを考えずに、種をまいてしまうといつまで経っても芽が出てこない状況に陥る可能性が高くなります。そのため、自身が育てたい植物の最適な種まき時期というのはしっかりと覚えておきましょう。
店舗などで購入できる種はパッケージの裏面に発芽適温に関する情報が記載されていますので、これらを参考にしてみてください。
種まきのコツって?
これからガーデニングを始める方などは種まきのコツやテクニックを覚えておきたいと意気込んでいることでしょう。しかし、種まきを成功させるのに特別なテクニックなどは必要ありません。
植物の発芽条件でもある「水」「酸素」「温度」の管理を適切に行っておけば、高確率でしっかりと芽を出してくれます。
特に意識しておきたいポイントは水です。発芽するまでは過度な乾燥はさせないように水やりはこまめに行うようにします。水の勢いが強すぎると水圧で種が流れてしまう可能性が高くなりますので、ジョウロなどを使ってそっと水を与えるのがよいでしょう。
また水やりを行った後には新聞紙を土の上にかぶせておくのも有効です。新聞紙をかぶせることで乾燥するまでの時間を遅らせることができます。
その他では種まきで使う用土は清潔なものを選ぶようにしましょう。これは原料に病原菌が含まれている可能性がある用土を使ってしまうと、種が腐ってしまうこともあるためです。
種まきに使用する土はバーミキュライト、赤土玉、ピートモス、ピート板などがあり、育てる植物によって配合を変えていくのが一般的です。
自分では土を組み合わせることができないという方は、そのまま使用できる種まき用土もあるので、こちらのタイプを購入するようにしましょう。
適切な種まきで発芽する喜びを味わってみよう!
今回は植物の代表的な繁殖方法でもある種まきの基本的な情報を解説しました。一口に種まきといっても育てる植物、種の特性などがそれぞれ異なるため、種まきの方法やまき方なども変わってきます。
植物にとって適切ではない種まき方法を選択してしまうと、発芽に悪影響をおよぼす可能性は大です。種まきをしたのに芽が出ないと、ガーデニングに対するモチベーションも下がることが予想されます。
育てる植物の種まき時期、種まきの方法、種のまき方などの基本を学んで、発芽の喜びを味わえるように頑張ってみましょう。