立ち会い出産を成功させる夫(パパ)の心の準備と役割

立ち会い出産を成功させる夫(パパ)の心の準備と役割

親であれば誰しもがわが子の誕生の瞬間を間近で見てみたいことでしょう。また奥さんのことを常に考えている旦那さんは「自分にしてあげられることはしてあげたい」という気持ちだと思います。

このような理由から近年は旦那さんが出産に立ち会うケースが増えています。旦那さんが立ち会い出産に望む場合はいくつか意識しておきたいポイントがあります。そこで今回は立ち会い出産に望む夫(パパ)に必要な心の準備(心構え)や役割などに関する情報を解説します。

立ち会い出産とは?

立ち会い出産とはその名の通り出産の場に夫や家族が付き添う(立ち会う)ことをいいます。一般的には奥さんの陣痛が始まってから、分娩室で赤ちゃんが産まれてくるまでの間付き添うことになります。

厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構のWebサイトでは分娩時の付き添い、立ち会いに関する調査データを公表しています。調査データによると陣痛室、分娩室で夫が付き添った割合は以下のとおりです。

  • 陣痛室・・・63%
  • 分娩室・・・53%

※いずれも2013年の全国調査時の割合

ちなみに陣痛室での夫の付き添いは前回調査(2006年)の58%から70%に、分娩室での立ち会いは39%から59%とそれぞれ増加していることもわかっています。(※帝王切開ではない経腟分娩の場合の増加率)

【参考サイト】厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構 Minds ガイドラインライブラリ「RQ2 分娩期に医療者以外の付き添い(立ち会い)が居るか?」

ご覧のように陣痛室、分娩室ともに夫が付き添う割合は年々増加傾向にあります。近年は立ち会い出産を禁止する病院も減少傾向にあるため、今後も夫が付き添う出産シーンは増えてくるものと予想されています。

立ち会い出産のメリット・デメリット

立ち会い出産のメリット・デメリット

奥さんの出産に夫(パパ)が付き添う立ち会い出産ですが、具体的なメリットやデメリットはどこにあるのでしょうか?ここでは立ち会い出産のメリットとデメリットをご紹介します。

立ち会い出産のメリット

立ち会い出産のメリットは旦那さんが付き添うことで奥さんの不安や緊張を和らげることができる点です。信頼できる夫が付き添って身体をさすってあげたり、手を握ったりしてくれるだけで奥さんの気持ちは落ち着きます。

実際に立ち会い出産に望んだ旦那さんの中には「声をかけたり、身体をさすってあげることしかできなかった」という声も聞かれます。しかし奥さんは信頼できる人が「そばにいてくれるだけ」で気持ちを十分に落ち着かせることが可能です。したがって個人差はありますが夫が付き添う立ち会い出産は通常の出産方法よりも精神的な面においてメリットをもたらすといえるでしょう。

また夫婦で「新しい命が誕生する」という瞬間を見届けることができるため「感動を共有できる」という利点もあります。人によってはパパになる自覚が生まれたり、家族を守らなきゃという気持ちがより一層強くなるでしょう。

立ち会い出産のデメリット

複数のメリットがある立ち会い出産ですがもちろん人によってはデメリットも存在します。立ち会い出産のデメリットで代表的なのは夫の気分が悪くなる可能性があることです。一般的に出産では多くの血が出ます。

また出血以外にも出産時特有のニオイ(羊水や胎盤など)もあります。女性は日常生活において生理というものがありますから、血を見るということに関しては慣れています。しかし男性には生理がないため、普段の生活においてもあまり血を見ることはありません。

そのため、中には出血シーンやニオイにより気分が悪くなってしまうという旦那さんもいます。その他では「夫がいると逆に集中できない」という奥さんもいます。前述のように多くの奥さんは信頼できる夫がそばにいると精神的に楽になります。

しかし中には「思ったように動いてくれないパパに気を取られて集中できなかった」という声も聞かれます。この場合は出産に集中できないというデメリットが生まれてきますね。最も信頼できる家族(夫)が付き添ったからといって、必ずしも良い結果につながるというわけではないようです。

立ち会い出産での夫(パパ)の役割

立ち会い出産での夫(パパ)の役割

特に初めて出産の場に立ち会う旦那さんは「立ち会い出産では何をすればいいの?」という疑問を強く抱いています。そこでここでは立ち会い出産においての夫の役割を解説します。

奥さんを安心させること

出産に立ち会うパパの最も大切な役割はやはり奥さんを精神的に楽にさせてあげることです。奥さんは信頼できる人間がそばにいると気持ちが楽になることが多いです。「大丈夫」などと一言聞き慣れた声を聞くだけでも安心感につながります。

基本的に医療関係者でもない限り、旦那さんは医療や出産に関する知識は皆無です。したがって専門的なことは出産のプロでもある医師や助産師に任せ、旦那さんは精神的な面で奥さんの支えになってあげることを意識しましょう。

陣痛などの痛みを緩和させてあげること

痛みを緩和させてあげると聞くと、難しいことをしなければならないと思いがちです。しかし、特別専門的なことを覚える必要はありません。出産の知識に乏しい旦那さんでもできる方法としては「背中をさすってあげる」などが挙げられます。

陣痛が始まった奥さんの背中や腰をさすってあげるだけでも、痛みが若干緩和されます(個人差あり)。また奥さんから「腰をさすってほしい」「お尻をさすってほしい」という要望があったら、その箇所を重点的にケアするように心がけてください。陣痛緩和によく用いられるテニスボールですが、産院によっては助産師から渡されることもありますのでこれらのアイテムを有効活用するのもおすすめです。

出産に必要な物を準備すること

立ち会い出産に望むためには事前に準備しておきたいものがいくつかあります。主な準備物は以下のとおりです。

  • 飲み物
  • ストロー
  • タオル
  • うちわ
  • テニスボール・ゴルフボール

以上が出産時にあると便利なアイテムとなります。まず飲み物とストローですが、分娩中の奥さんはいきんだり、力を入れて踏ん張ったりすることが多くなります。これにより喉が乾きやすいため、水かお茶を用意しておくのがよいでしょう。

基本は横になった姿勢が続くので飲みやすいようにストローも持参しておくことが好ましいです。また出産中の奥さんは喉の渇きとともに大量の汗をかきます。汗が目に入ったりすると奥さんも出産に集中できなくなりますので、タオルを用意しておき適切なタイミングで旦那さんが汗を拭いてあげるのがおすすめです。

うちわも暑さ対策のために必要となります。ドラマなどの出産シーンでは数分で赤ちゃんが産まれてくることが多いですが、実際には初産婦で12時間~15時間、経産婦で5時間~8時間ほどかかります。

その間奥さんはいきみや踏ん張りなどの影響で体が熱くなるため、赤ちゃんが産まれるまではうちわで涼を与えてあげましょう。うちわは産院によっては準備してくれることもありますので、気になる方は事前に質問しておくことを推奨します。テニスボールやゴルフボールは前述のように陣痛などの痛みを緩和させる際に役立ちます。

赤ちゃんが産まれる瞬間をカメラ、ビデオに残すこと

出産の瞬間をカメラやビデオに残す夫婦は多いです。これは新しい命の誕生の瞬間を残しておきたいという気持ちや、後から感動を共有したいという想いがあるからでしょう。出産は人生で何度も経験するわけではないですから、医師の許可がでているなら積極的に撮影をしておくべきです。ただし注意点としては撮影がメインにならないことです。

奥さんが苦しんでいる時に何もサポートせずに撮影をしていると、奥さんの気分が害される可能性もあります。おすすめは三脚を使用することです。三脚を持参することで奥さんがツラいシーンでも手を握ったりしてあげることが可能です。撮影と奥さんのサポートを同時にできる環境を整えておくようにしましょう。

立ち会い出産に望む夫(パパ)に必要な心の準備(心構え)

立ち会い出産に望む夫(パパ)に必要な心の準備(心構え)

出産は約5時間~15時間ほどの時間を要します。また日常生活では見ることができないシーンも多々あります。したがって立ち会い出産に望む旦那さんは事前に心の準備もしておく必要があるでしょう。ここでは出産に立ち会う夫に必要な心の準備、心構えに関するお役立ち情報を取り上げます。

奥さんが出産時に望む形で立ち会うことを意識する

出産の場での主役はあくまでも奥さんです。したがって奥さんの気持ちや希望することなどをしっかりと意識した上で立ち会うようにしましょう。実際にあった例では「カメラやビデオはやめてと伝えておいたのに、出産当日になったら撮影をされた」というものがあります。

このような旦那さんの勝手な行動はその後の夫婦仲にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、立ち会い出産では自分勝手な意見や行動は捨てて、奥さんの気持ちに寄り添ってあげることが大切となります。事前にしっかりと話し合った上で立ち会い出産に臨むようにしましょう。

出産に関する知識を少しでも身につけておくこと

初めて経験することにオロオロしてしまうという人は多いです。もちろん立ち会い出産もその一つであり、陣痛開始から出産までの間パニックになって、奥さんに何もしてあげられなかったという旦那さんもいることでしょう。

このような状況が起きてしまうのは出産に関する知識が不足しているためです。したがって立ち会い出産に臨む際は、事前に出産に関する知識を身につけておくようにしましょう。出産の流れや過程を事前に理解しておくことで、ある程度の予測が可能になるため、いざという時に焦ってしまうというシーンを減らすことが可能です。

出産の知識を身につけるなら「両親学級」への参加がおすすめです。両親学級は出産を間近に控えた妊婦やその家族を対象に開催している教室です。ここでは出産の仕組みや流れ、産後の赤ちゃんに関するものなど出産に関する基本的なことを学ぶことが可能です。

両親学級はもちろん産院でも開かれていますが、その他では自治体やベビー用品店などでも開催されています。両親学級はオムツの替え方など赤ちゃんが産まれた後のこともレクチャーしてくれるので、新米パパは積極的に参加することを推奨します。

職場にも事前に伝えておくこと

仕事中に急に「妻の陣痛が始まりましたので帰宅させていただきます」では職場にも迷惑がかかってしまいますね。そのため、立ち会い出産に望むことが決定したら、早めに職場の上司などに伝えておくようにしましょう。一般的な職場であれば快く受け入れてくれます。

事前に出産予定日がわかっているので、出産が近づいてきたら仕事の割り振りや分担を考慮してくれるケースもあります。家族と職場、両方のことを考えながらできるだけ周囲に迷惑がかからないような環境を整えておくことも一社会人として大切です。

事前準備をしっかりとして新しい命の誕生を夫婦二人で見届けよう

事前準備をしっかりとして新しい命の誕生を夫婦二人で見届けよう

今回は立ち会い出産に望む夫(パパ)の役割や心の準備に関する情報を取り上げました。近年は立ち会い出産を希望する夫婦も増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されています。立ち会い出産は信頼できる旦那さんが付き添うことで奥さんの不安な気持ちを和らげることも可能です。

ただし適切なサポートをするには出産に関する知識を身につけるなどの事前準備が大切となります。夫婦二人で両親学級に参加するなど新しい命の誕生を最高の状態で迎えられるようにしておきましょう。立ち会い出産を検討しているご夫婦はぜひ参考にしてください。

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