「ゴキブリ」対策 豆知識

② ゴキブリの種類・生態を知る

ゴキブリは、太古の昔からほぼ姿を変えずに生きてきました。さまざまな動物の餌になったり、動物の死体などを食べて土に返したりして、生態系を支えているといわれます。

しかし、家の中で遭遇するゴキブリは多くの方々にとってまぎれもなく「害虫」であり、その実態を知らないままでは対策の施しようがないといえます。そこで今回は、ゴキブリの種類や生態について解説していきます。

ゴキブリの種類

ゴキブリは、約3億年前から地球に生息していたと考えられており、トンボと並ぶ最古の昆虫の仲間です。長い歴史のなかで次々子孫を残し、今では世界で約4,000種類、日本では約60種類が確認されています。そのほとんどは森などに生息し、家の中で見かけるゴキブリはわずか数種類にすぎません。

種類ごとの生態と特徴

チャバネゴキブリやクロゴキブリなどは名前に聞き覚えがあり、姿を見たことのある方も多いのではないでしょうか。ここでは、日本に生息するおもな種類について、生態や特徴を説明いたします。

チャバネゴキブリ

屋内に生息する小型のゴキブリです。北海道・本州・四国・九州・沖縄・奄美群島などに広く分布するものの、寒さに弱いことから、おもに商業ビルなどの屋内で生息しています。成虫の体長は10~15mm、「チャバネ」という名前の通り体は全体的に茶褐色です。

一生のうちに産む卵鞘(らんしょう)の数は3~7個と少ないものの、ひとつの卵鞘には40個程度もの卵が入っています。それらがいっせいにふ化・成長することで、大量発生する被害も多く見られます。

幼虫の期間は約60日、その間6回もの脱皮を繰り返して成虫になるまで、卵が産みつけられてから約4ヵ月。クロゴキブリに比べて発育期間が短く、1年で2世代以上増殖します。その分、寿命は4~8ヵ月前後と短命です。

動きはクロゴキブリに比べるとやや鈍いという特徴があります。

クロゴキブリ

日本に生息するゴキブリのなかで、もっともよく知られる存在です。成虫の体長は25~30mmと大型で、全体的にツヤのある黒褐色であり、長い翅(はね)をもっています。関東から奄美大島まで分布し、屋内や屋外に生息。不衛生で湿度の高い環境を好んで生息します。

ゴキブリのなかでは寒さに強く、温帯地域であれば屋外でも冬を越すことができます。また、「越冬休眠」といって、摂食・発育・生殖などを停止した休眠状態で寒さに耐える習性があります。

休眠中は自らの成長を止めているため、発育の速度が遅い分、他のゴキブリよりも長生きです。卵や幼虫の期間を含めて成虫になるまでには1~2.5年かかることがあり、成虫になってからは3~6ヵ月生きるので、なかには3年以上生きるものもいます。

クロゴキブリは動きが素早いという特徴があります。

ヤマトゴキブリ

日本の在来種で、見た目はクロゴキブリに似ています。成虫の体長は25mm前後とクロゴキブリよりやや小型で、体は全体的にツヤが少ない黒褐色です。東北から関東や中部、中国地方北部、北海道や九州にも分布し、屋内や屋外の朽木や落ち葉の中などに生息します。

クロゴキブリ同様寒さに強く、越冬休眠で冬の時期を過ごします。発育の速度も遅く、卵や幼虫の期間を含めて成虫になるまでには約1~2年かかり、成虫になってからの寿命は3~4ヵ月です。

ワモンゴキブリ

屋内で見かけるゴキブリのなかではもっとも大きく、成虫の体長は40mm前後です。体は淡い茶褐色で、胸部に輪のような模様があり、この輪紋(わもん)が名前の由来になっています。

寒さに弱く、南九州や沖縄など南西諸島以南の温暖な地域を中心に生息します。本州でも、ビルや地下街などには生息しますが、屋外の越冬は不可能とされています。

発育の速度は遅く、卵や幼虫の期間を含めて成虫になるまでには約1年以上かかることもあり、成虫になってからの寿命は3ヵ月程度~2年近くと幅があります。

その他のゴキブリ

ここでは、屋外に生息する特徴的な2つの種類を説明いたします。

モリチャバネゴキブリ

種子島や九州、四国、本州の関東以南に分布し、雑木林などに生息する日本の在来種です。成虫の体長は11~12mm。体は全体的に黄褐色で、胸部に2本の黒いライン状の模様があります。

オオゴキブリ

成虫の体長は40mm前後で、その名の通り大型のゴキブリです。体はクロゴキブリよりも黒く、漆黒のような光沢があり、見るからに頑丈そうな体つきをしています。本州・四国・九州に分布し、おもに森林の朽木などに生息しています。

まとめ

今回解説したゴキブリのなかには、はじめて耳にする種類もあったのではないでしょうか。

もっともよく知られているクロゴキブリは動きが素早く、夏の熱帯夜などには飛んでくることがあります。それに比べて動きが鈍めのチャバネゴキブリも、卵の数の多さから大量発生のリスクをもっていますので、注意が必要です。

今回の記事を参考にして、ゴキブリの種類・生態をしっかりとらえ、今後の対策に活かしていきましょう。

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