2022年3月18日 | 花・野菜の育成

【スイカの育て方】種まきから肥料や水やり・収穫まで栽培方法を解説

夏の風物詩と聞くと、甘くてみずみずしいスイカを思い浮かべる方も多いことでしょう。スイカは育て方が難しいと思われがちですが、実は家庭菜園でも栽培することができます。

今回は、スイカの基礎知識と栽培のポイント、具体的な育て方とトラブルや対処法などについてご紹介いたします。初心者の方もぜひ、小玉スイカから挑戦してみましょう。

スイカの基礎知識

はじめに、スイカの基礎知識を身につけましょう。
スイカの分類と種類
スイカはウリ科スイカ属に分類される一年草で、収穫期は7~8月です。漢字では「西瓜」と書き、中国語の発音「シィグァ」が「スイカ」に変わったとされています。海外から導入したものを含めると現在150以上の品種があり、サイズは大玉と小玉、形は球形とだ円形に分かれます。

外皮は緑色に縞(しま)が入るものと、黒や黄色などの無地があり、果肉は一般的な赤と黄、白に分かれます。日本で開発された品種「タネなしスイカ」は、主に海外で流通しています。店頭で見かける四角いスイカは、一般のスイカを四角い箱に入れて栽培したものです。
スイカの歴史
アフリカの南部原産という見解が一般的ですが、およそ4000年前のエジプトという説もあります。初期のスイカはだ円形で、外皮は黒や薄い緑色の無地でした。黄色い果肉は硬く苦みがあったため、当時はタネを食用にしたとされます。乾燥地では、水分の補給や医療用としても栽培されました。

やがてスイカはアジアや地中海、ヨーロッパ各地やアメリカ大陸へと広がり、品種改良によって徐々に実が甘く変化します。日本には、安土桃山時代にポルトガル人が伝えた説、17世紀に中国の僧が持ち込んだ説が有力ですが、平安時代に中国から伝来したことを記す資料もあります。

江戸時代の書物には、果肉の赤いスイカの記述が見られます。緑色に縞模様の一般的な品種は昭和に入って改良されたもので、小玉スイカは昭和34年に誕生しました。
スイカの栄養
実のおよそ9割が水分で、果糖やブトウ糖、カリウムを豊富に含みます。つまみやお菓子などに用いられるスイカのタネ(乾燥)は、タンパク質や脂肪、ビタミンE、カルシウムや鉄などのミネラルが豊富です。

【参考】
文部科学省「日本食品標準成分表 果実類」
U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE「Seeds, watermelon seed kernels, dried」

スイカの育て方のポイント3つ

スイカの育て方は、次の3点が大切なポイントです。
① 整枝(せいし)
つる性のスイカは、放置すると多くのつるが伸びてしまいます。整枝によって必要なつるを残しながら育てましょう。
② 人工授粉
確実に実をつけるために、人工授粉をおこないます。雌花(めばな)と雄花(おばな)を見分けながら、後にご紹介する方法で作業してください。
③ 摘果(てきか)
たくさんの実がつくと、栄養が分散して小さな実しか育ちません。発育のよいものを残してほかの実を取り除く摘果の作業も必須です。

スイカの栽培で必要なもの

スイカを栽培するときは、基本的なツールと下記のものを用意しましょう。
畑または鉢やプランター
スイカは、病気や発育不良などの連作障害(れんさくしょうがい)の出やすい植物です。畑で育てる場合は、5~6年ほど同じウリ科の植物を栽培していない場所を選んでください。つるがよく伸びるため、鉢で育てるときは10号以上、プランターは25リットル以上の大型のものを用意しましょう。土については、下記の育て方を参考にしてください。

ウリ科の野菜については、「家庭菜園でのきゅうりの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」「家庭菜園でのゴーヤの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事でご紹介しています。
※フマキラーの外部サイトに飛びます。
苗またはタネ
タネまき後の温度管理などは難しいので、初心者の方は4~5月に出回る苗を購入しましょう。ほかの植物と接ぎ木(つぎき)した苗は、丈夫に育ちやすい傾向があります。茎がしっかりと育ち、緑色が鮮やかな苗を選んでください。

タネを購入する場合は、袋に書かれた有効期限が新しいもの、育て方がわかりやすいものがおすすめです。タネまきをするときは、園芸用ポットやタネまき用の土、簡易ハウスなども必要です。
石灰や肥料など
畑の土は、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)、肥料を混ぜて用意します。野菜や果物の栽培には有機質肥料がおすすめですが、チッ素が多いとスイカの実がつきにくいため、表示を確認して選んでください。栽培中は、追加の肥料を2回与えます。
敷きわらなど
地面で育てる場合は、敷きわらにつるを絡ませてください。敷きわらにつるが絡むと実が安定し、害虫による実の食害も防ぐことができます。近年では、敷きわらの代わりになる編み目状のマルチシートも販売されています。
支柱とネットなど
小玉スイカの育て方として、実をつるす「立ち作り」があります。立ち作りにする場合は、支柱とつるを絡ませるネット、実をつるす網の袋やひもなどが必要です。鉢で「あんどん仕立て」にするときは、市販のリングつきの支柱か、等間隔に立てた3~4本の支柱にワイヤーを渡したものを使用してください。
コンパニオンプランツ
スイカと相性のよいコンパニオンプランツも導入しましょう。植えつける際、ネギを一緒に植えると病気の予防が期待できます。また、スイカの近くにマリーゴールドやカモミールを植えると、ハチの授粉を促します。

初心者も挑戦!スイカの育て方

それでは、スイカの育て方を順にご紹介いたします。
土の下準備
畑で栽培するときは、土を下から掘り返してゴミや石を取り除き、日光に当てて消毒します。植えつける2週間くらい前に石灰をまいて酸性の土を中和し、たい肥や腐葉土(ふようど)を加えてよく混ぜます。

スイカの栽培では、元肥(もとごえ)としての肥料を少なめに加えます。鉢やプランターの場合は、市販の野菜や果物用の培養土を用意しましょう。古い土はウリ科植物を育てていないことを確認のうえで、同様に下準備をしてください。
タネから育てるとき
3月の半ばを過ぎたら園芸用ポットに3~4粒のタネをまき、1cmくらいの厚さの土をかぶせて水を与えます。スイカが発芽する気温は25~30℃なので、寒い季節は簡易ハウスなどで保温し、水分を切らさないようにしてください。

発芽後に本葉が1~2枚出たら、生育の悪い芽を間引いて2本にします。本葉が2~3枚のころに元気な1本を残し、4~5枚に育ったら植えつけましょう。
苗の植えつけと水やり
スイカは水はけのよい土地を好むため、畝(うね)を作ってから1mほど間を空けて植えつけます。気温が低い時期は、苗に園芸用のキャップや不織布(ふしょくふ)をかぶせて保温しましょう。

猛暑で土の乾燥が続くときは、畑にも水やりをしてください。あんどん仕立ての鉢は、土の表面が乾いたら水を与えます。春~夏までの水やりは朝に1回、真夏の間は朝と夕方の計2回が目安です。
整枝のポイント
育て方のポイントでお伝えしたように、スイカは整枝しながら育てます。
大玉のスイカの場合
本葉が5~6枚になったら、メインとなる親づるの頂点を切って摘芯(てきしん)します。根元から数えて1本目の子づるをカットし、2~4本目の子づるを残しましょう。敷きわらを敷いて、3本のつるを放射状またはU字に伸ばしながら絡ませます。子づるから出る孫づるは、2つ目の雌花より下に伸びるものを取り除き、そのほかは残してください。

小玉スイカの場合
小玉スイカは、親づるを摘芯して1・2本目の子づるも摘み取り、3~5本目の子づるを残す方法、または1・2本目の子づるを摘み取り、親づると3・4本目の子づるを残す方法が一般的です。孫づるは、絡み合わなければ残して構いません。

地面で育てるときは、大玉スイカと同様につるを敷きわらに絡ませます。立ち作りの場合は、支柱とネットを設置してつるを誘引しましょう。あんどん仕立てはコンパクトに育てるため、親づると子づるを1本ずつ残して支柱に絡ませます。

人工授粉の方法
花の下にふくらみのあるものが雌花、細いものが雄花です。朝に咲いた雄花を摘み取り、雌花につけて人工受粉してください。作業は朝9~10時くらいまでに済ませましょう。一般的に、各子づるに咲く1つ目と3つ目の花の実は変形しやすいので摘み取ります。ラベルに開花や授粉の日を記し、雌花につけておくと収穫の際に役立ちます。
肥料の与え方
生育中に2回、肥料を追加して実の生育を促します。1回目はつるが50cmくらいに伸びたころ、2回目は実がふくらんだころが目安です。肥料は、根の先端と思われる位置の土に混ぜて与えてください。
摘果と玉直し
大玉スイカの実が野球のボールくらい、小玉スイカがピンポン玉くらいに育ったら、1本のつるに生育のよい実を1つ残して摘果します。実をつるす育て方では、網の袋に入れたりハンモック状に結んだりして支柱からつるします。

開花して30日くらい過ぎたら、実の向きを変える「玉直し」をして着色ムラを防ぎましょう。地面の実は下側を表に向け、つるした実は裏側を表にして日光に当てます。玉直しをする際、実が取れないよう丁寧に扱ってください。
収穫のタイミング
大玉のスイカは、開花してから45~50日くらい、人工授粉してから30~40日くらいが収穫の目安です。小玉スイカは、開花して30~40日くらいを目安にしてください。日にちがわからないときは、まきひげが枯れたころか、実の上部を軽くたたいて低い音がするころに収穫します。

果物の栽培については、「おうちで果樹を育ててみよう!園芸におすすめの果樹と育て方を解説」の記事でご紹介しています。
※フマキラーの外部サイトに飛びます。

スイカの栽培における
トラブルと対処法

最後に、スイカの栽培時に起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。
スイカの実のトラブル
実がならない場合は、元肥のチッ素分の多さや未受粉が原因として挙げられます。元肥は控えめにし、ご紹介した育て方と人工授粉の方法で、実のなる確率を高めましょう。また、実が割れる原因には、収穫直前に土壌の水分量が急増することや、日差しの強さ、高温などが挙げられます。

糖度アップを目的として収穫前に水分を断つ方法もありますが、初心者の方はトラブル回避のため定期的に水やりをしてもよいでしょう。異常な猛暑が続くときは、日よけネットなどを使用してください。
スイカに発症しやすい病害虫
茎が変色してヤニやカビが発生する「つる割(われ)病」や、茎に淡い病斑(びょうはん)や黒点が出る「つる枯(がれ)病」にかかることがあります。また、茎や葉に白い粉のようなカビがつく「うどんこ病」、葉脈に沿って多角形の模様が出る「べと病」なども代表的な病気です。病気が疑われる部分は早急に取り除き、被害の拡大を防いでください。また、アブラムシやハダニなどの害虫がつきやすいので、見つけたときはすぐに駆除しましょう。

スイカなどの野菜の栽培には、うどんこ病やアブラムシなどに効果があるフマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。食品成分由来の膜が病害虫を包み、害虫は呼吸ができずに窒息死、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭にもおすすめです。

活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

家庭菜園でもOK!
スイカの育て方は思うよりも簡単

今回は、スイカの基礎知識と栽培のポイント、具体的な育て方とトラブルや対処法などについてご紹介いたしました。スイカの栽培は、整枝と摘芯、人工授粉の3点を押さえればそれほど難しくありません。初心者の方は、ぜひ小玉スイカに挑戦してみてください。

この夏は、家庭菜園で育てた新鮮なスイカを味わいましょう!
「カダンライフ」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。
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