ヒアリとは

ヒアリ(アカヒアリ)

外来生物法により「特定外来生物」に指定

ヒアリ
アリ科フタフシアリ亜科トフシアリ属
【学名】 Solenopsis invicta
Solenopsis :トフシアリ属(ギリシア語で「管のようなもの」を意味)
invicta :ギリシア語で「攻略できない、強い」という意味。
【英名】 Red imported Fire ant →「刺されると火傷のような痛みを起こす」ことが由来
【外見】 体長2.5mm〜6.0mm(様々なサイズのアリが混在) 体色→赤茶色(腹部は暗色)
【巣】 直径25〜60cm、高さ15〜50cmのドーム状のアリ塚 ※深さは最大で180cm
【分類】 ハチ目(Hymenoptera)
スズメバチ上科(Vespoidea)
アリ科(Formicidae)
フタフシアリ亜科(Myrmicinae)
トフシアリ属(Solenopsis)
同属に約200種類が知られている。体色が赤色で刺された時にやけどをしたような激しい痛みでfire ant(火蟻)と呼ばれている。 働きアリは2.5-6.0mmで、大きさにばらつきがある。成虫の餌は、植物の芽、種子、小動物など(農業害虫)。口器は、抑えるのみで、腹部末端からの針でアルカロイド系の毒(solenopsin)を注入する。攻撃的な性質で、周辺から別種のアリを追い出す。
ヒアリは毒針を持っており危険ですので、発見した場合には、環境省ヒアリ相談ダイヤルか、都道府県の環境部局に通報してください。

ヒアリに似た在来種

(※リンク先は、「日本産アリ類画像データベース」です。)

生態

営巣性

道路わき、牧草地、芝生、公園、造成地などを好んで営巣する。

成長・活動温度帯

最も発育の早い32℃の場合、18日〜34日で卵から成虫になる。
幼虫は21℃以下では成長しないが、生存は可能である。
36℃以上になっても成長は止まり、長時間高温にさらされると死亡する。
30℃の室内で飼育した場合、寿命は60日〜120日。
コロニー創設から6〜10ヵ月後には働きアリが5,000〜10,000匹になり、
3〜5年で働きアリの平均数が20万匹程度のコロニーとなる。
コロニーの寿命は5〜8年。

産卵能力

女王は7年ほど生存し、最高で1日1,600個以上産卵し、巣全体で25万頭の働きアリが生存するまで大きくなる場合がある。

ヒアリの巣

アカヒアリの巣の内部構造 路肩のコロニーの状況

アカヒアリの巣の内部構造と路肩のコロニーの状況

出典:「ストップ・ザ・ヒアリ」(環境省)
https://www.env.go.jp/nature
/4document/files/20190314hiari.pdf

より画像を引用

世界的な分布

ヒアリ分布図

なぜ脅威なのか

人への害

【ヒト等への攻撃方法】
毛や皮膚に咬みついて体を固定し、針を刺し込んで毒を注入する。 針は数回続けて刺すことが多く、損傷は大きくなる。
【ヒアリ類の毒について】
主成分はアルカロイド(約95%)、わずか(0.1%程度)にタンパク質を含む。
※アルカロイドは呼吸困難や意識障害を起こすことがあり、幼児や子供が一度に多数のヒアリに刺されると危険である。
※タンパク質が原因でアナフィラキシーショックを起こし、危険な状態になることもある
【刺された部位の症状】
激痛とともに患部が赤く腫れあがり、10〜12時間後に膿胞が現れる。その後はアレルギー性の低い人は患部にかゆみを感じる程度で、57日程度で治癒する。
※細菌性ではない膿胞ができることがヒアリに刺された場合の特徴的な症状である。
【生活への影響】
地面に近い位置に長時間滞在することへの危険性が高まる。すなわち、公園の砂場遊び、お花見、海水浴、キャンプなど、これまで当たり前のように楽しんできた行事や、余暇の過 ごし方に大きな影響が出ると思われる。

植物・家畜への害

  • アメリカ合衆国などにて農作物に対する被害も多く報告されている。
  • ダイズの根、かんきつ類の樹木、ジャガイモの塊茎などをかじる。
  • 家畜であるニワトリのヒナ、牛の新生児などを襲い、死に至らしめることもある。

生態系への影響

  • 在来種のアリを駆逐・減少させる恐れがある。
  • ヒアリの繁殖により地上性の両生類、爬虫類、小型哺乳類が減少することが 明らかになっている。
  • アルゼンチンアリは巣分かれで増えるが、ヒアリは羽アリが飛び出して新しい巣を作るため、 広がりが早い(羽アリは数km飛ぶと言われる)。
  • ※早急に対策を取らないと、アルゼンチンアリより早く広がってしまう。
発見地域

ヒアリの確認場所

ヒアリの確認場所
北海道苫小牧港
千葉県成田空港、船橋市
埼玉県狭山市
東京都大井ふ頭、青海ふ頭、品川ふ頭、府中市
茨城県常総市
神奈川県本牧ふ頭、大黒ふ頭、山下ふ頭、南本牧ふ頭
静岡県清水港、浜松市
三重県四日市港
愛知県弥富市、春日井市、名古屋港、瀬戸市、愛西市
京都府日向市
大阪府南港、大阪港、八尾市、岸和田市、泉佐野市
兵庫県尼崎市、神戸港
広島県広島港、呉市
岡山県水島港、笠岡市
福岡県博多港、博多区
大分県中津市
2017年5月26日 兵庫県尼崎市において、中国から神戸港に到着したコンテナから積荷を取り出す際にアリのコロニーが発見。同6月9日、専門機関により、ヒアリであることが確認された。
※国内でのヒアリの確認は初めて。
コンテナ内のアリは、燐化アルミニウムにて燻蒸消毒され、全て駆除済み。
働きアリ500固体以上、有翅メス(女王)、有翅オスが含まれていた。(7/5発表)
2017年6月16日 神戸市コンテナヤード内にてヒアリ100匹以上確認
6月28日 継続調査中のトラップで1個体を発見。
7月12日 継続調査中のトラップで1個体を発見。
2017年6月27日 愛知県弥富市 中国から名古屋港に到着したコンテナの外部で発見。
2017年6月30日 大阪市南港 緊急調査によりヒアリを発見。
2017年7月3日 大阪港 調査でヒアリの女王アリ(死骸)を発見。
2017年7月3日 東京港大井ふ頭 コンテナ内で1個体を発見。
同一コンテナ内で100個体以上を発見。(7/6)
同一コンテナの床板をはがすなど詳細な調査の結果、死骸を含む100個体程度の働き
アリ、卵、幼虫、さなぎを発見。女王アリおよび有翅アリは発見されなかった。(7/12)
2017年7月6日 愛知県春日井市 倉庫内に搬入された荷物に付着したヒアリを発見。
2017年7月14日 横浜港本牧ふ頭 アスファルトの割れ目で発見。
有翅オス、サナギ、幼虫を含む700個体以上。
2017年7月20日 大分県中津市 事業者敷地内で発見。20匹程度。
2017年7月21日 福岡市博多港 一時保管中のコンテナ付近で発見。
2017年7月27日 福岡市博多区 事業者敷地内のコンテナ内で発見。
サナギを含む30頭程度。作業員が1箇所刺される。
2017年8月2日
2017年8月3日
名古屋港鍋田ふ頭(愛知県弥富市)コンテナ内部で発見。
2017年8月6日 岡山県倉敷市水島港 コンテナヤード舗装面で200個体以上。
有翅女王アリ2個体含む。
2017年8月10日 埼玉県狭山市 事業者敷地内で積荷の梱包材から女王アリ1個体の死骸を発見。
2017年8月17日 福岡市博多港 コンテナ内部で約300個体を発見。生体約20個体。
2017年8月21日 静岡県清水港 調査トラップ及びその周辺で発見。101個体。
2017年8月23日 広島県広島港 調査トラップ及びその周辺で発見。131個体。
2017年8月24日 静岡県清水港 21日回収トラップの周辺で発見。500個体以上。(有翅メス、オス、サナギ、幼虫、タマゴを含む)
2017年8月30日 愛知県名古屋港 事業者敷地のコンテナ内で発見。1000個体。(女王アリ1個体含む)
2017年9月4日 横浜港本牧ふ頭 空コンテナ内で約60個体を発見。
2017年9月14日 北九州港太刀浦第1コンテナターミナル コンテナヤード内に設置したトラップ22個のうちの1個に7個体を発見。
2017年9月15日 岡山県笠岡市 事業者敷地内の積荷で1個体を発見。
2017年9月27日 横浜港大黒ふ頭 コンテナヤード内で発見。
2017年9月29日 名古屋港鍋田ふ頭(愛知県弥富市) コンテナターミナル2個体を発見。
2017年10月3日
2017年10月5日
横浜港大黒ふ頭 コンテナヤード内で発見。
2017年10月5日 京都府向日市 事業者敷地内で約2000個体(女王アリ2個体、卵・さなぎ含む)発見。
2017年10月13日 横浜港大黒ふ頭 コンテナヤード内で発見。
2017年11月2日 静岡県浜松市浜北区 事業者敷地内で約200個体を発見。
2017年11月3日
2017年11月8日
2017年11月10日
2017年11月14日
2017年11月15日
広島県呉市 事業者敷地内で発見。
2018年5月9日 大阪府八尾市 個人が購入した工業製品の梱包内から無翅女王アリ1個体(死骸)を発見。
2018年6月14日 大阪府大阪市(大阪南港) コンテナ内で発見。
2018年6月15日 大阪府岸和田市 事業者敷地内のコンテナ内及び積荷で発見。
大阪市(大阪南港) コンテナ内で発見。
働きアリ、有翅アリ及び蛹(全体で2000個体以上、うち岸和田市では100個体程度)が確認された。
2018年7月3日 愛知県飛島村(名古屋港) 事業者敷地内のコンテナ内及び積荷周辺で発見。
2018年7月19日 愛知県瀬戸市 事業者敷地内のコンテナ内で女王アリ1個体、働きアリ約300個体、サナギ約50個体を発見。
2018年7月29日 千葉県成田市(成田空港) 空港内貨物上屋の積荷で発見。
2018年8月7日 静岡県静岡市(清水港) コンテナヤード内に設置したトラップで捕獲。
2018年8月10日 広島県広島市(広島港) コンテナヤードの地面で発見。
2018年8月16日 北海道苫小牧市(苫小牧港) コンテナヤード内に設置したトラップで捕獲。
※夏季港湾調査での確認
2018年8月21日 愛知県小牧市/弥富市(名古屋港鍋田ふ頭) 事業者敷地内のコンテナ内/コンテナ内及び周辺で発見。
2018年8月27日 大阪府大阪市(大阪南港) コンテナ外部上面で発見。
2019年02月15日 愛知県愛西市 事業者倉庫内の積荷で発見。
2019年6月14日 東京都江東区(東京港青海ふ頭) コンテナヤードの地面で発見。
2019年7月3日 大阪府泉佐野市 コンテナ内で働きアリ、有翅アリ10個体及び蛹(全体で数百個体)を発見。
2019年7月16日 神奈川県横浜市(横浜港山下ふ頭)コンテナ内で1,200個体以上(働きアリ1,000個体以上、サナギ100個体以上、卵100個体以上)を発見。(横浜市発表)
2019年7月17日 東京都品川区(東京港品川ふ頭) コンテナヤード外側の地面で働きアリ100個体以上、幼虫数個体を発見。
2019年9月3日 千葉県船橋市 コンテナ内で発見。
2019年9月10日 神奈川県横浜市(横浜港本牧ふ頭) コンテナヤードの地面で発見。(横浜市発表)
2019年9月10日 東京都江東区(東京港青海ふ頭) コンテナヤードの地面で働きアリ約500個体、有翅女王アリ1個体、蛹、幼虫、卵を発見。
2019年10月7日
2019年10月9日
東京都江東区(東京港青海ふ頭) コンテナヤードの地面で働きアリ300個体以上、有翅女王アリ20個体、幼虫約10個体を発見。
2019年10月10日
2019年10月11日
2019年10月17日
2019年10月18日
東京都江東区(東京港青海ふ頭) コンテナヤードにおいては、地面に巣が形成されており、10月7日からの累計で働きアリ約750個体に加え、女王アリが50個体以上が発見された。
2019年11月20日 東京都府中市 個人が購入した工業製品の梱包内から2個体(死骸)を発見。
2019年11月21日 三重県四日市市(四日市港) コンテナヤードの地面で発見。
2019年11月28日 東京都江東区(東京港青海ふ頭) コンテナヤードの地面で働きアリ500個体以上、幼虫、蛹を発見。
2020年4月20日 茨城県常総市 コンテナ内で発見。
2020年6月4日~10日 神奈川県横浜市(横浜港南本牧ふ頭) 燻蒸処理を行ったコンテナから、働きアリ約300個体、有翅女王アリ約20個体を発見。(既に死亡)
神奈川県横浜市(横浜港本牧ふ頭) コンテナヤード地面で発見。
アカカミアリも実は危険

アカカミアリ

外来生物法により「特定外来生物」に指定

アカカミアリ
アリ科フタフシアリ亜科トフシアリ属
【学名】 Solenopsis geminata
【英名】 Fire ant
【外見】 体長3mm〜8mm(様々なサイズのアリが混在)
体色 赤褐色
働きアリには大型のものと小型のものがある。
大型の個体の頭部は肥大し四角形状
【人間への害】
刺されると、アルカロイド系の毒によって非常に激しい痛みを覚え、水泡状(すいほうじょう)に腫れる。
さらに毒に対してアレルギー反応を引き起こす例が、北米だけでも年間で1500件(本種を含めた“fire ant”全体の件数)近く起こっている。
また、1996年に沖縄島の基地において、本種に刺された米軍兵が強度のアナフィラキシーショックを引き起こした例が知られている。
アカカミアリは毒針を持っており危険ですので、発見した場合には、環境省ヒアリ相談ダイヤルか、都道府県の環境部局に通報してください。

日本への侵入

これまで、硫黄島への定着は確認されていた。
沖縄、伊江島にも記録はあるものの、近年は確認されていなかった。
2017年6月20日 神戸港(ポートアイランド)にて、環境省、神戸市、専門家による調査を実施したところ、ヒアリと似た個体を確認。※フマキラー研究員が同行 フマキラー製品にて駆除
20日に採取した個体がアカカミアリであることを確認。(6月21日)
2017年6月23日 大阪市南港 コンテナ業者のコンテナ内で発見。
2017年6月23日 大阪市住之江区 倉庫に搬入されたコンテナの側面で発見。
2017年7月9日 名古屋港 陸揚げしたコンテナ外部で発見。(陸揚げ作業員が刺された)
2017年7月12日 常陸太田市 コンテナ内で発見。
2017年7月14日 東京港青海ふ頭 舗装面の亀裂で発見。1000個体以上。
2017年7月24日 愛媛県四国中央市 事業所敷地内のコンテナ内で発見。
約400匹。有翅女王アリ5匹。
2017年7月24日 横浜港本牧ふ頭 アスファルトの割れ目で発見。
有翅オス、サナギ、幼虫を含む700個体以上。
2017年7月28日 静岡県清水港 コンテナから荷物を搬出後に発見。
2017年8月2日 岐阜県岐阜市事業者施設内 コンテナ内で発見。
2017年8月10日 山口県防府市三田尻中関港 コンテナから積荷を搬出後に約100頭発見。
2017年8月21日 静岡県清水港 調査トラップで発見。14個体。
8月24日再調査で5個体発見。
2017年9月6日 静岡県袋井市事業者倉庫内 コンテナ内で発見。
2017年9月8日 静岡県榛原郡吉田町事業者敷地内 荷物から無翅女王アリ死骸1個体を発見。
2017年9月28日 福岡県京都郡苅田町事業者敷地内 貨物から女王アリ1個体を発見。
2017年10月4日 神奈川県川崎市川崎区事業者敷地内 空コンテナ内で働きアリ10個体を発見。
2017年11月21日 広島県広島市事業者敷地内 貨物から有翅女王アリ死骸3個体を発見。
2018年8月27日 兵庫県明石市 市内の工場に搬入された梱包の中から約10個体(死骸)を発見。
2018年10月24日 神奈川県横浜市(横浜港) コンテナ内で約1,100個体を発見。
2019年4月12日 栃木県宇都宮市 住宅の屋内で1個体(無翅女王アリ)を発見。
15日、同県と宇都宮市が住宅周辺を目視踏査したが、疑わしいアリは確認されていない。
2019年4月14日 長野県長野市 住宅内において発見。
2019年5月22日 茨城県那珂郡東海村(茨城港常陸那珂港区) 倉庫敷地に搬入された貨物から約30個体を発見。
2019年6月27日 福岡県福岡市(博多港) コンテナ内で発見。
2019年7月2日 群馬県前橋市 事業者倉庫に搬入された貨物から10数個体を発見。
2019年9月2日 東京都町田市 住宅内に届いた荷物から1個体(死骸)を発見。
2019年9月5日 富山県射水市(伏木富山港/富山新港国際物流ターミナル) 全国港湾調査において、設置したトラップ内で発見。さらに周辺を目視調査し、コンテナヤード外縁のフェンス沿い(海側)1箇所で合計10数個体を確認した。
2019年9月20日 全国港湾調査において、清水港(袖師第一埠頭)で発見。26日には清水港新興津埠頭のコンテナヤードにおいても2個体(死骸)が確認された。
2019年10月4日 神奈川県(横浜港大黒ふ頭) 全国港湾調査において、横浜港大黒ふ頭に設置したトラップから働きアリ30個体を発見。周辺を目視調査し、植栽帯の地面及び樹木に働きアリ約100個体を発見し、トラップを再設置。
7日、4日に設置したトラップから働きアリ8個体を発見。専門家が巣の状況を確認するとともに、確認した個体を殺虫。地面及び地中で、働きアリ約500個体及び雄アリ6個体を発見した。
2019年10月5日 岐阜県海津市 事業者倉庫で300個体を発見。
2019年10月8日 東京都品川区(東京港品川ふ頭) 全国港湾調査において、コンテナヤード外側のフェンスに沿って設置したトラップ内で発見。さらに周辺を目視調査し、約100個体の働きアリを発見。うち一部はコンクリートブロックのすき間や割れ目への出入りを確認した。