2018年3月5日 | お役立ち情報
入学式・卒業式はいつ始まったの?その歴史を振り返ってみましょう
蛍の光・窓の雪・・・最近は歌わない学校も多いと聞きますが3月には卒業式、そして4月になれば入学式という晴れやかな「式典」の季節です。しかし、卒業式や入学式は、いつ頃から行われてきたのでしょうか?
卒業式のはじまり
ウィキペディアによれば、『日本では1872年(明治5年)の学制の施行にともない、各学級(学年)ごとに、試験修了者に対して卒業証書を授与したことに起源を持つ。その後、明治10年代ごろ(1870年代半ばから1880年代にかけて)に現在のような独立した儀式として定着した。』とあります。
当初は、現在のように、1年生、2年生、3年生・・・というような学年学級ではなく、就学を希望する子供達には年齢に関係なくまず「下等小学第八級」に入り、試験に合格してその級を「卒業」、七級に進級するというシステムだったようです。つまり進級が卒業だったのです。しかも進級テストは半年単位でした。
一方、実際の「卒業式」として記録が残っているのは、
「1876年6月29日に陸軍戸山学校で行われた「生徒卒業式」のが最初ではないかと思われる。その内容から天皇陛下の観兵式と観艦式に付随するものとして開始された。そして、その大掛かりな内容はフーコーのいう「規律」「訓練」を受けた集団に対する眼差しが表現される場であり、なおかつ「近代国家の威信」を示した。さらに東大でも1877年に第一回卒業式が挙行された。」(有本真紀著「卒業式の歴史学」懇談社から要約)ということです。
いずれにせよ明治初期の1870年代に卒業式の起源はありそうですね。
卒業式という「儀式」はいつから?
さて、小学校で、卒業式が行われ始めたのは、いわゆる師範学校が生まれたことにルーツがあるようです。「新しい儀式は、まず師範学校から小学校へともたらされたからですが、ことは一つの儀式の問題ではなく、日本の近代学校教育システムが開始された全体的な状況に関わっている」(同要約、卒業の歴史学)
そして「師範学校の卒業式は1879年3月13日に行われた東京女子師範学校第一回卒業式であり、皇后陛下を迎えて挙行されました。内容は、演説、答辞、祝辞、理化学試験、作文朗読、証書授与、唱歌(ピアノ伴奏)このあと皇后陛下が附属小学校を視察している間に生徒が準備して、講堂で体操を披露。」(同上)
このあたりに今の卒業式の原型がありそうです。最新の教育成果のプレゼンテーションなど、いまの時代であってもなかなか革新的な内容ですね。そして1895年には文部省から「1等級の標準修学期間が半年から一年へと変更」されます。就学率も上がり、いわゆる学級(クラス)編成が行われ、卒業式は年一回になっていったようです。
昔は入学式がなかった
こんな風に、学びたいときに随時入学し、半年(のちに一年)ごとの進級試験で「卒業」する仕組みなので、「入学式」は出来なかったのでしょう。そして、大学が出来始めると海外の大学の例に習って「一斉入学・一斉進級」というスタイルが導入されました。あわせて9月入学、そして8月卒業の仕組みが取り入れられました。
しかし、1886年(明治19年)に国の「会計年度」(4月から3月)の仕組みがスタート。国からの指導によってだんだんと「学校年度」も「会計年度」に合わせて4月から新学期ということになっていったようです。
ようやく1890年ごろに、おそらく「会計年度」とともに3月に卒業、4月に入学という「教育制度」が定着していったようです。