スーパーラットはどんなネズミ?特徴と今からできる対策を解説

スーパーラットはどんなネズミ?特徴と今からできる対策を解説

絵本や物語の中ではかわいいキャラクターとして描かれることの多いネズミ。でも、もし身近な場所で現実のネズミと遭遇したらゾッとしますよね。

つぶらな瞳とちょこちょこ動き回る様子から一見かわいらしいと感じますが、人間にとっては衛生上とても有害な存在となるネズミが近年増加しています。

その中でも今回は、「スーパーラット」と呼ばれるネズミについてご紹介いたします。名前からして特別な力をもつすごいネズミのように思われますが、大きな害をもたらす人間にとってはなかなか手強いネズミなのです。

進化するネズミたち

一般的に小型の動物として世界各地に生息しているネズミは、古くから人間に害を与える存在として忌み嫌われていました。そんなネズミたちは、主に、森林や野原で生活する「野ネズミ」と、ビルなどの建物や住宅に棲みつく「家ネズミ」に大きく分けられます。そして、人間にとって身近である家ネズミによる被害が近年増加しているとのことです。

家ネズミと呼ばれる中に「クマネズミ」というネズミがいますが、被害のほとんどがこのクマネズミの仕業のようです。もともと、クマネズミは寒さに弱く臆病な性質のため全体として数は多くなかったのですが、1970年代に大型ビルがあちこちで建設され増えたことにより、比較的高い所を好むクマネズミが自分たちにとって1年中暖かくて快適なすみかを得たというわけです。

もちろん人間は、自分たちのすぐ近くにいる快適に暮らすクマネズミを放ってはおきません。あらゆるところで大量にネズミ用の毒エサである殺鼠剤(さっそざい)を使用しクマネズミを駆除していくのですが、徐々に毒に抵抗性をもったクマネズミが出現してきてしまいます。毒が効かない、または効きにくい厄介なネズミ。それが「スーパーラット」です。

スーパーラットとはどんなネズミ?

では、スーパーラットとはどのようなネズミのことを指すのか詳しく見ていきましょう。

私たちを脅かすネズミたち

まずは、私たちの身近に暮らしているネズミたちについて解説いたします。

古くからネズミは人間との関わりの中で生き、生息域を広げていきました。山や農耕地に生息する「野ネズミ」(アカネズミやヒメネズミなど)は、畑や田んぼの農作物を食べたり、草木や作物を傷つけ育たなくさせたりするなど人々を悩ませてきました。

一方、建物やその周辺に棲みつく「家ネズミ」には、「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の3種類がいますが、建物や家具、配管や配線をかじる被害が少なくありません。

そして、野ネズミも家ネズミも、作物や食品を食べその周りを動き回ることで、人間に食中毒を起こさせたり、さまざまな病原体を媒介したりするという大きな被害を人間にもたらしています。

以前、コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、人々がいなくなった都会の街で、我が物顔で走り回るネズミの大群の様子が報道されていました。映像を見て衝撃を受けられた方も多いのではないでしょうか。しかし、これは珍しいことではないようです。寄生虫やウイルスを保有している大量のネズミが私たち人間のすぐそばにいるとなるとやはり対策をしないわけにはいきませんよね。

スーパーラットの形態と特徴

ネズミの増殖を抑えるために、大量の殺鼠剤を使用してネズミの生息数を減らそうとしましたが、その結果、薬に対して耐性を持つネズミが現れるようになりました。

スーパーラットのほとんどが屋内に棲みつく「クマネズミ」だと言われています。スーパーラットとは言っても、外観や行動は普通のクマネズミと一緒です。

大きさ

体長:約15~25cm 尾長:約15~26cm 体重:約150~200g

背面:茶色~褐色または灰褐色 腹面:黄褐色や灰色または白色

特徴

耳が大きい。

世界中で最も利用されている殺鼠剤は、ワルファリンという薬です。長年に渡ってワルファリンを使用し続けたことにより、ワルファリンに抵抗性をもつクマネズミや一部ドブネズミが現れます。

スーパーラットの好む場所とは

クマネズミは一般的に乾燥した高い所を好むためビルや天井裏などで活動します。それゆえ、大型ビルが急増した1970年代にはクマネズミの数が一気に増加しました。その後、雑居ビルが取り壊され始めたことにより住む家を失ったクマネズミたちは住宅地にまで行動範囲を広げるようになります。時代とともに住宅の気密性も高まり、寒さに弱いクマネズミにとっては快適なすみかになってしまったのでしょう。天井裏で元気に走り回っているのはクマネズミです。うまい具合に人間の環境に適応して増えていったのです。

スーパーラットの習性と知能

スーパーラットの習性と知能

スーパーラットの中で大部分を占めるクマネズミは、とても賢いネズミです。臆病ゆえに警戒心が極端に強く、少しでも普段と違う状態だと気づくと用心して近づきません。そのため、捕獲や駆除しようとしても一筋縄ではいかない大変厄介な害獣です。仲間が罠に捕まるのを見ると、学習をしてその罠に近づこうとせず、殺鼠剤を用意しても警戒して触ろうともしないことが多いです。

俊敏で運動能力が高く、木や壁など高い所によじ登ること、電線や配管などを渡ることが得意なクマネズミ。人目につかない、人の手が届かない天井裏やタンス・冷蔵庫の裏、物置の奥などに紙や布切れ、ビニール袋などをひっそりと運び込み巣を作ります。

年中繁殖し、一度に5~7子を産むほど繁殖力が強いのでネズミを野放しにしておくと大変な状態になってしまうかもしれません。

スーパーラットによる被害

増殖するスーパーラットによりもたらされる被害は世界各地で報告されています。実際に過去にどんな被害が出ているのかご紹介いたします。

停電や漏電、さらには火災も!?

駆除が難しいスーパーラットは、さまざまな場所において影響を与えます。ネズミの門歯(前歯)は一生伸び続けるためその門歯を削るために固いものをかじります。コンクリート、ガス管などとにかく何でもかじります。送電線をかじり、回線がショートし停電したこともありますし、室内の電気コードをかじりネズミが原因の火災も起きています。ガスホースをかじったことで住宅街でガス爆発やガス中毒もあり、信号ケーブルをかじり普通列車や特急列車を止めてしまうことも少なくありません。恐ろしいことに人間をかじることもあるそうです。

感染症の恐れ

衛生上の被害としてネズミによる感染症が危険視されています。ネズミが関係している疾病は多く、主に、サルモネラによる食中毒やレプトスピラ症、そ咬症に注意が必要です。

サルモネラ症は、ネズミの糞中の病原体が人の口に入ると感染すると言われています。ネズミの糞尿が屋内にあると、次第に乾燥し、その中の病原体が空気中を漂うことになり知らないうちに吸い込んでしまう危険性があります。感染すると、発熱・下痢・嘔吐など急性胃腸炎を起こし、小児では、意識障害・けいれんを、高齢者では脱水症および菌血症を起こすなど重症化しやすいので注意しなければいけません。

レプトスピラ症(ワイル症)は、ネズミの尿で汚染された水や食物を口に入れることで感染します。また、尿と直接接触することで皮膚からの感染も報告されています。症状としては、発熱・悪寒・筋肉痛・頭痛・腹痛・結膜充血があります。重症化すると、黄疸・出血・腎障害をともなうことがあります。

そ咬症は、ネズミにかまれた傷により感染します。症状としては、発熱・頭痛・関節炎・発疹・咬傷部の潰瘍(かいよう)など。肺炎や肝炎なども発症することがあります。

さらには、ネズミの寄生虫であるダニやノミが人を刺し、吸血する被害が出ています。

【参考】厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック」

精神的な被害

精神的な被害

スーパーラットのように進化してより強くなったネズミが、建物の中に棲みついていると考えるだけでも大変不快に感じることでしょう。天井裏でバタバタと走り回る音や木材や壁をかじる音が毎晩住人を悩まし、睡眠を妨げてしまうかもしれません。また、蓄えてある食品や食器などがネズミによって汚染されていないか常に心配しなければならず、安心して暮らすことができないでしょう。

スーパーラット対策

ネズミは私たち人間に多大な害を及ぼします。姿を確認することが難しいし、近くにいるけれども自分たちの見えない場所にいるから放っておこうとは決して考えずに、ネズミの気配を感じたら増殖する前にできるだけ早く対策を取りましょう。

侵入を防ぐ

ネズミはとても警戒心が強く頭がよいので、侵入し一度巣を作られてしまうと駆除するのが至難の業です。まずは、なんとしても侵入を阻止しましょう。

建物の壁や扉、窓に隙間がないか丁寧にチェックしましょう。また、排水溝、通風口、エアコン導入部に少しでも隙間があったら金属製の網や金属たわしなどで進入路を完全に塞いでください。自分でするのが困難だと感じた場合は、専門家に相談しましょう。

近づきにくい場所にする

スーパーラットが近づきにくい場所にする

建物の中にも外にも不要な物品は置かず、そして放置せず、いつも整理整頓をしてネズミが通ったり隠れたりすることができる場所をなくすことが重要です。また、庭に雑草が生い茂っているとネズミの隠れ家になってしまうので除草する必要があります。

ネズミは人の食べ物も好みます。食品からペットフードにいたるまで必ず密閉容器に保管し、決してネズミのエサとならないように管理しましょう。生ごみも蓋つきの容器の中に入れ、匂いが漏れないよう工夫をしながらしっかりと管理しましょう。さらに、ペットのエサも置きっぱなしにはしないことです。

ネズミの棲みにくい環境を作り、それを維持していくこと。それは地道であり大変ではありますが、最も大切なことなのです。

駆除する

スーパーラットが棲みついてしまったら、速やかに駆除しましょう。

殺鼠剤(さっそざい)

最もよく使用されるワルファリンなどのクマリン系殺鼠剤は安全性も高く、薬局やホームセンターで購入することができます。しかし、ワルファリンに抵抗性を持ったスーパーラットも確認されるようになりました。

ワルファリンに抵抗性を持ったスーパーラットには、作用の異なるリン化亜鉛剤の殺鼠剤が有効です。

フマキラーの「ドラ デスパワー 速効プレミアム」は、一般的な毒餌剤が効きにくいスーパーラットも速効退治します。マイクロカプセル処方で食いつきが4倍(※1)にアップし、警戒せずによく食べ、最速2時間(※2)で効果を発揮します。

※1マイクロカプセル化有無の喫食量比較。フマキラー試験結果
※2薬剤を食べてから中毒症状が発現し始める時間

殺鼠剤はネズミだけでなく、人やペットにも有害ですので、使用上の注意事項をよく読んで、取り扱いには十分注意し、安全に使いましょう。

スーパーラットにも有効な殺鼠剤として研究して作られた、リン化亜鉛の殺鼠剤も市販されるようになりました。クマリン系殺鼠剤と異なり、薬剤の効き目も早くある程度便利ではあるのですが、人やペットにも有害なため取り扱いには十分注意する必要があります

また、薬剤によりネズミが天井裏や隙間で死んでしまい、それに気づかずにいると腐敗臭や虫が発生する二次被害につながる恐れがあるので、死骸は回収するようにしましょう

粘着トラップ(粘着シート)

ネズミがいつも通る場所に粘着シートを敷き詰めて捕獲します。ネズミが普段からよく通る場所なら警戒心の強いスーパーラットも警戒心が薄れるので罠にかかりやすくとても効果的です。ネズミの通り道を見つけるには「ラットサイン」を見つけることです。ネズミは壁際の通り道に体をこすりつけて移動する習性があるので、黒い汚れを残しています。粘着力が弱まってしまうのでホコリや水に注意しながら、できるだけ多くの粘着トラップをネズミの通り道に仕掛けましょう。

フマキラーの「ドラ デスパワー 強力粘着シート」はネズミの生態を徹底研究した独自設計で、しっかり捕えて逃がしません。粘着剤が端から1cmまで塗布されているので、壁を沿って移動するネズミに効果的です。また、超薄型で段差が小さく気づかれにくいので、ネズミを警戒させづらくします。

フラットタイプ(壁掛け用)、ハウスタイプ(家具等の隙間用)の2WAYになっており、場所に合わせて形状をお選びいただけます。

スーパーラットがいない安心できる生活を

スーパーラットがいない安心できる生活を

スーパーラットは、人間社会の変化により増えてしまったネズミを駆除するために作られた薬剤によって誕生してしまいました。再び人間がさらに強い薬剤を作り出しても、その薬剤に強いスーパーラットが新たに生まれるだろうと言われています。

衛生的、身体的、経済的、そして精神的被害をもたらすネズミのことを、一人ひとりが考え、協力し持続的に対策していく必要があるのかもしれません。ネズミとの根比べが続くのでしょう。

これ以上スーパーラットを増やさないために、ネズミを侵入させず、エサとなるようなものを与えず、徹底的に整理整頓をして、ネズミの生息できない環境を作っていきましょう

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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