2021年7月5日 | お役立ち情報
フードロスを削減するために家庭でできる対策とは?日本の現状を紹介
近年、ニュースなどで「フードロス」の問題を耳にする機会が増えました。毎日の食事に困窮する人も少なくないというのに、世界中で膨大な量の食品が廃棄されています。もちろん日本も例外ではなく、家庭からの排出を含めた年間フードロスは相当な量になることが知られています。とはいえ毎日のちょっとした工夫で、これらを削減することは可能といわれます。一人ひとりが意識して、できることから実践していくのが大切といえるでしょう。
今回は、世界と日本のフードロスの現状や、家庭の内外でフードロス削減のためにできる取り組みをご紹介いたします。
フードロスの現状
「フードロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。まずはフードロスの現状を確認しましょう。
世界のフードロス
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では年間13億トンもの食品ロスが発生しているとのことです。これは世界の食糧生産量の3分の1に当たります。これだけ多くの食品が廃棄されている一方で、世界の飢餓人口は8億人以上といわれます。
先進国では、まだ食べられる食品が大量廃棄されているのが現状です。しかし、食品ロスは先進国だけの問題ではありません。開発途上地域の廃棄量は、消費段階では少ないものの、生産から小売の段階で多い傾向となっています。食料を保存・貯蔵する設備が足りないため、劣化してしまうことがその一因です。
国連人口基金が発表した「世界人口白書2020」によると、2020年の世界人口は約78億人。さらに、2019年国連発表による「世界人口推計2019年版」では、2050年には97億人に達するといわれます。2025〜2030年には、タンパク質の供給が需要に追いつかなくなるとも推測されており、世界では近い将来、食糧不足が起こるのではないかと危惧されています。食品ロスの問題を放置すれば、今後ますます栄養不足に苦しむ人が増えていくことになるかもしれません。
食品ロスの問題は、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」のひとつに取り上げられています。食品ロス削減は、世界の食糧事情を改善するために急がなくてはならない課題なのです。
【参考】農林水産省「食品ロスの現状を知る」
日本のフードロス
日本の食品ロス推計値は、年間570万トンです。このうち食品関連事業から出る事業系食品ロスは328万トン、家庭から発生する家庭系食品ロスが261万トンでした。約半数は家庭から出ていることになります。
そもそも日本は先進国の中でも食料自給率が低く、多くを輸入に頼っているのが現状です。にもかかわらず、傷や変形など規格外品の廃棄、生産過剰、食べ残しなどによる食品ロスが多く、社会全体でその削減に向けた努力が必要といえるでしょう。
【参考】食品ロスとは:農林水産省
フードロスを削減するために家庭でできる対策
家庭のフードロスの原因は、主に「食べ残し」「過剰除去」「直接廃棄」の3つです。ほんの少し意識するだけで、これらをかなり減らすことができます。毎日の生活の中でできることからおこなって、少しでも食品のムダがなくなるように心がけましょう。
買い物に行く前に食品の在庫をチェックする
冷蔵庫に何が入っているか把握せずに買い物に行くと、重複して買ってしまうかもしれません。二重に買うと賞味期限内に食べきれず、食品をムダにすることもあるでしょう。買い物前に冷蔵庫やパントリーの中に何があるか確認しておくと、ムダな買い物を減らすことができます。
買い物は必要なものだけにする
広告の品やまとめ買いで安くなる商品など、おトクだと思って必要でもない食材を買うことがあるものです。しかし、安いと思って買っても食べきれなければ、食品もお金も結局ムダになってしまいます。買い物は、できる限り必要なものだけにしましょう。
すぐに食べるなら陳列棚の手前から取る
スーパーの食品棚には、通常手前に賞味期限が近いもの、奥に期限の長いものが並んでいます。そのため、棚の奥から少しでも賞味期限の長いものを取るようにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、誰もがそうすると手前の商品は売れ残り、返品・廃棄されてしまいます。今日すぐに食べるのであれば、賞味期限が近いものを買っても大丈夫なはずです。食品の利用予定を考え、できるだけ手前に並んでいる商品を取ることを心がけてみるのも、フードロス削減への第一歩かもしれません。
食品が長持ちする方法で保存する
保存の仕方が悪いために、食品が早く傷んでしまうこともあります。野菜や肉、魚などは正しい方法で保存すると、より長く鮮度を保てます。例えばキャベツは水分の抜けやすい芯の部分をくり抜き、湿らせたキッチンペーパーを詰めておくと長持ちします。そのまま新聞紙などで包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫に保存しましょう。
鮮度の落ちやすい野菜は、新鮮なうちに茹でるなど下処理して冷凍しておくと、フードロスを減らすことができます。食品ごとに正しい保存方法を確認して、できるだけ長持ちさせましょう。
食べきれる分だけ作る
料理を食べきれずに廃棄することのないよう、体調や家族の予定を考慮して作りましょう。食べきれない場合は冷蔵して翌日食べるか、冷凍保存しておくなどの工夫をするのもおすすめです。
冷蔵庫の中を整理する
冷蔵庫の中が乱雑になっていると、買ったことを忘れて賞味期限を切らしてしまう場合もあります。常に整理整頓し、賞味期限が近いものは手前の目立つ場所に置くようにしましょう。
使い切りレシピを調べる
食材を使い切らずに放置し、傷んだり消費期限を迎えたりすることも過剰除去の原因です。調理方法やアレンジレシピを調べて、食材を使い切るようにしましょう。最近は、ネットで簡単にレシピを検索することができます。食材からレシピ検索できるサイトもあるため、献立を考えるときは冷蔵庫の食材を使い切ることを意識しましょう。
下処理の仕方を見直す
家庭内から出る食品ロスの多くは、野菜や果物です。野菜の皮や茎など食べられるところまで除去するため、過剰に野菜クズを出しているのです。下処理の仕方を見直し、食べられるところまで捨てていないか確認しましょう。
食品の期限表示を理解する
食品に記載されている期限には、「賞味期限」と「消費期限」があります。いずれも未開封の状態で適切に保存した場合の期限です。この2つは似て非なるものであり、期限表示をよく理解すれば家庭内のフードロスを減らすことが可能です。
「賞味期限」とは、おいしく食べられる期限のことです。レトルト食品やカップ麺など、劣化が遅く日もちする食品に記載されているもので、賞味期限が3ヵ月を超えるものには年月で表示されています。賞味期限は、過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。
一方、「消費期限」とは、食品を安全に食べられる期限のことです。こちらはパンや弁当など劣化の早い食品に、年月日で表示されます。消費期限を過ぎた食品は食べない方が賢明ですが、賞味期限を過ぎた食品はすぐ廃棄せず、食べられそうかどうか判断するとよいでしょう。
フードロスを削減するために家の外でできる対策
家庭外でも、フードロス削減のためにできることがあります。食品をムダにしないように常に意識しましょう。
外食は食べられる分だけ注文する
外食産業では、食べ残しにより多くの食品ロスが発生しています。食べ残しのないよう、自分の食事の適正量を知って食べられる分だけ注文しましょう。一度にさまざまな料理を楽しみたいときも、小盛りメニューを選ぶことで食べ残しをなくすことができます。また、バイキング形式の店での食べ残しは、食品をムダにするだけでなくマナー違反でもあります。一度にたくさん取りすぎないようにしましょう。
3010運動を実践する
忘年会や歓迎会などの宴会でも、食べ残しを防ぐための取り組み「3010運動」を取り入れて食品ロスを減らしましょう。3010運動では、宴会がスタートして最初の30分は席を立たずに料理を楽しみます。温かいうちに、料理をおいしく食べることができます。また、お開きの10分前には、各自が席に戻ります。こうして料理を食べきることで、食品ロスを減らすことが可能です。
幹事さんのひと声で、3010運動はよりスムーズに実践できることでしょう。
食べきれない食品は寄付する
大量の贈答品や、あまり好みでない食品をもらったときなどは、「フードドライブ」に寄付する方法もあります。フードドライブとは、家庭の余剰食品を福祉団体やフードバンクなどに寄付する活動です。寄付された食品は、経済的に困窮している方など、食事に困っている方々への支援に活用されます。
近年、多くの自治体でフードドライブが実施されています。寄付を希望する場合、「フードドライブ ○○(地名)」で検索すれば、お住まいの地域で寄付できる場所や日時を調べられます。ただし、「賞味期限まで1ヵ月以上」「常温で保存できるもの」など、決められた条件がありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
フードドライブは、フードロスを減らすだけでなく、必要とする方々に食べ物を役立ててもらえる取り組みです。家庭に食べきれない食品がある方は、寄付を検討してみてはいかがでしょうか。
食品の鮮度を保つアイテムの活用がおすすめ
忙しくて頻繁に買い物ができない方は、食品をある程度まとめ買いすることになるでしょう。ときには買っておいた食品が冷蔵庫で傷み、廃棄せざるをえない場合もあるかもしれません。そのようなときに役立つのが、生鮮食品の鮮度を長持ちさせられる食品用アルコールスプレーです。
フマキラー「食品用アルコール除菌フードキーパー」は、直接スプレーして腐敗菌による食品の傷みを防ぐアルコールスプレーです。100%食品成分なので、お口に入っても安心。アルコールとGSE(グレープフルーツ種子エキス)、有機酸の力で、細菌やウイルスを99.99%除去します。買ってきた食材やお弁当などにシュッとスプレーして鮮度を保ちましょう。食品が長持ちすれば、家庭内のフードロスを削減できます。ぜひ活用してください。
まとめ
まだ食べられる食品が、日本を含め世界中で大量に廃棄されています。「もったいない」と思わずにはいられませんが、フードロスは家庭内でも起こっているのが現状です。買い物するとき、調理するとき、食事のときなど、食品をムダにしないことをもう少しだけ意識すれば、フードロスを減らせるだけでなく節約にもつながります。
食べきれないほどの食品をもらったときなども、寄付することで見知らぬ誰かと喜びを分かち合えます。まずは家庭内で食品のムダをなくすために、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。