2020年11月14日 | お役立ち情報
アップサイクルとは?リサイクルとの違いや例・アイデアを紹介
リユースやリサイクルといった活動とともに注目を集めている、「アップサイクル」という取り組みをご存知でしょうか。これは、廃棄物や不要になったものをゴミとして捨てるのではなく、新しい価値を付加して需要を生み出す循環システムのことです。
廃棄物からバッグや靴をつくったり、着なくなった洋服に新しいデザインを加えたり、その生地を使ってポーチをつくったり。手元にあるモノで工夫する楽しさと、前向きに未来を見つめることの大切さに気づく人も多いのではないでしょうか。
コンビニやスーパーなどでのレジ袋の有料化が定着してきました。地球の未来のためにも、できる限りゴミを増やすまいという意識を一人ひとりがもち、それを実行するための取り組みが進んでいます。今回は、サステナブル(持続可能)な社会実現のために注目されているアップサイクルについて解説いたします。
アップサイクルとは
アップサイクル(upcycle)とは、廃棄物や不要になったものに手を加えて、そのモノの価値を高めることをいいます。たとえばペットボトルをリサイクル(recycle)して何か製品を作り出す場合は、ペットボトルを再生資源に分解します。しかしアップサイクルでは、不要品の素材・特徴をそのまま活かすところに大きな違いがあります。
ちなみに、アップサイクルと対をなす概念としてダウンサイクルがあります。元のモノより価値が上がるのがアップサイクル、着なくなったTシャツなどを雑巾にする(価値が下がる)のがダウンサイクルです。
リメイク・リデュース・リユース・リサイクルとの違い
洋服などに新しいデザインを施すと聞いて、リメイク(remake)を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。また、ゴミを減らす取り組みと聞いて、「リデュース(reduce)、リユース(reuse)、リサイクル(recycle)とはどこが違うのだろう」と疑問に思った方もいると思います。ここではそれぞれの違いについて説明いたします。
リメイク(remake)
映画やドラマなどでもよく使われるリメイクは、もともとあるものに手を加えて違った印象のものにつくり変えることです。ファッションでも、たとえばシャツやジーンズのデザインを変えて、新しい印象にすることをいいます。この場合、アップサイクルとの違いは、今あるシャツやジーンズがそのままでも使用できるという点にあります。
リデュース(reduce)
買い物の際、レジ袋の代わりにマイバッグを使用したり、シャンプーや洗剤などは詰め替え用のものを購入したり、はじめからゴミを出さないように配慮する取り組みのことをいいます。
リユース(reuse)
「再利用」を意味する言葉です。自分にとって不要になったものをすぐにゴミとして捨てるのではなく、それを必要とする人たちに寄付したり、スマホのフリマアプリなどで売買したりして、次の利用者のもとで繰り返し使われることを目的とした取り組みです。アップサイクルと同様、モノを大切にする取り組みのひとつですが、シャツやズボンなどに使用感があっても手を加えないところに両者の違いがあります。
リサイクル(recycle)
リユースは再利用ですが、リサイクルは再生利用を意味します。廃棄物から価値あるものに生まれ変わらせるという意味では、アップサイクルに近いものといえます。しかしリサイクルの場合、廃棄物をいったん資源の状態まで戻してから再生するところに大きな違いがあります。牛乳パックをトイレットペーパーにしたり、ペットボトルから化学繊維をつくって衣類にしたりするのがリサイクルの好例です。ただし、再生のための資源化には膨大なコストがかかるという問題もあります。
世界のアップサイクルの例
廃棄物などの素材に注目したアップサイクルの取り組みは、すでに20年以上前からおこなわれています。そして今では、おしゃれなファッションアイテムとして大人気となったブランドも少なくありません。ここでは、世界のアップサイクルの事例をご紹介いたします。
フライターグ(FREITAG)
青や赤や緑などのカラフルな表面に英数字が描かれたバッグを、街中で見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。フライターグは1993年、スイスに住むフライターグ兄弟が創業したバッグブランドです。バッグの素材には、使い古されたトラックの幌(ほろ)をメインに、肩掛け紐には廃車となった車のシートベルトなどが使用されています。もともとトラックに使われていた丈夫な素材を活用することで、優れた機能性や防水性を有しています。加えて、柄も状態もまちまちの素材を手作りで仕上げるため、世界で唯一無二のデザインも人気の秘密といえます。
フライターグは、F-ABRIC APPARELというアパレルも展開しています。洋服に使用されているF-ABRICという素材は、廃棄したあと地球に還るよう独自開発したものです。アップサイクルのパイオニア的な存在として、フライターグはつねに地球環境に配慮した活動を続けています。
シール(SEAL)
こちらもバッグなどを手掛けるブランドですが、素材として不要になったタイヤのチューブなどが使用されています。これらの丈夫な素材をもとに、国内の優れた縫製技術によって、素材の面白さを活かしたバッグを製作。黒を基調としたブリーフケースなどビジネスユース可能なバッグから、ショルダーやリュックタイプまで、不要なタイヤチューブを見事にアップサイクルさせて魅力的な製品を開発しています。
ウィーウッド(WEEOOD)
大型家具やフローリング材をつくる際の端材を、文字盤やベルト部分に使用。100%天然木を使用した、イタリア・フィレンツェ生まれの腕時計のブランドです。ウッド独特の風合いを存分に活かし、洗練されたデザインで人気を集めます。さらにウィーウッドは、腕時計を購入してもらうごとに木を一本植樹するなど、環境保全の取り組みでも注目されています。
廃材を実用品やアートに
木や鉄屑などの廃材を使ってつくる実用品やアート作品も、アップサイクルの取り組みのひとつといえます。たとえば木の廃材を使って製作されるものとしては、テーブルやイスなどの実用品に人気があります。また、鉄屑でつくったロボットなどの立体物や、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」やモネ「睡蓮」などの世界的な名画を、おもちゃのブロックや色とりどりのボタンを駆使して描いたアーティスト作品なども注目されています。
自分でできるアップサイクルのアイデア
アップサイクルは、企業やアーティストなど限られた人だけのものではありません。アイデア次第で、誰でも簡単にゴミを減らす活動に参加できます。ここでは、普段の生活のなかで気軽にできるアップサイクルのアイデアをご紹介いたします。
不要になったジーンズやTシャツで…
膝の部分がすり減って穴が空いてしまったジーンズを、短パンにして履いたことのある方もいるのではないでしょうか。このように、穴が空いたり破れたり、サイズが合わなくなったりして不要になったジーンズやTシャツを、他のアイテムにアップサイクルしてみましょう。
特にデニム地は丈夫なことから、ものをたくさん入れるバッグやノートPCのケースなどにぴったりです。着なくなったTシャツは、裾部分をラウンド状にカットして縫い付け、襟元と両袖をカットして持ち手にすれば、この世にひとつだけのエコバッグができあがります。
いろいろな色柄のエコバッグを用意して、その日のファッションとのコーディネートを楽しみましょう。
加工しやすいアルミ缶で…
カッターやハサミでもカットできる加工のしやすさから、ビールやジュースなどのアルミ缶をいろいろなものにアップサイクルすることができます。たとえば、アルミ缶の側面を大きくカットして、ガーデニングの寄せ植えにいかがでしょうか。色を塗ったりデコレーションしたりして、自分だけの素敵なリメ缶がつくれます。
また、行燈(あんどん)も簡単にできておすすめです。まずは底の方から逆Uの字にカット。上部に針金で持ち手をつけて、缶の中にキャンドルを入れたら完成です。雰囲気のある灯りが簡単に用意でき、風の影響を受けにくいので、キャンプや花火などのレジャーに重宝します。なかには、アルミ缶でテディベアやロボット、アニメのキャラクターなどをつくる器用な人もいるようです。
ただし、アルミ缶の加工にはけがのおそれもあります。加工時は軍手などを使用し、切り口が安全になるように細工を施すなど、細心の注意を払ってください。
おしゃれなラベル缶で…
人気のクラフトビールなどはユニークなラベルのものが多く、思わずラベル買いしたことのある方もいるのではないでしょうか。すてきなデザインの缶はすぐ捨ててしまわずに、上部をくりぬいてペン立てにするのもおすすめです。
汚れの気になるものはしっかりきれいに
アップサイクルするモノのなかには長年愛用してきたものが多く、その分汚れが気になることもあるでしょう。そこで、アップサイクルの前に、汚れをしっかりときれいにすることをおすすめします。たとえば、お気に入りのシューズがかなり古ぼけてきたら、汚れをキレイに落として好みの色にペイントしてみましょう。まったく違う用途への活用を考えるうちに、新しい価値を創造する楽しみもどんどん広がることでしょう。
フマキラーの「シューズの気持ち つけピカ」は、洗浄液につけておくだけで靴の頑固な汚れを浮かせて落としやすくします。消臭・除菌・抗菌効果もあるのでニオイや菌の増殖も抑制します。フリマサイトなどで靴を譲る際にもおすすめです。
また、古い布製品などのウイルスや細菌をしっかり除去して、アップサイクルに挑戦したいという方には、フマキラーの「ウイルシャット ノンアルコール除菌プレミアム」がおすすめです。原材料は100%食品成分&ノンアルコール処方で、家中のモノをやさしく除菌します。天然抗菌成分GSE(グレープフルーツ種子エキス)に、除菌・抗菌効果をサポートするアルカリ成分を組み合わせた特許申請中のパワフル処方。お子様やペットのまわりでも安心してご使用いただけます。
捨てる前に考える。その意識が環境維持につながります。
今回は、アップサイクルについてご紹介いたしました。言葉としては聞き覚えがなくても、すでに似たようなことをおこなっていた方もいるのではないでしょうか。
不要になったものを捨てる前に、何か別なことに活用できないかと考えてみましょう。あるいは、何かを新しく購入する際、家にある不要なもので代用できないか考えてみましょう。地球に暮らす一人ひとりの小さな心掛けが、環境維持へとつながっていきます。地球の未来のため、リデュース、リユース、リサイクルの活動とあわせて、アップサイクルの取り組みもはじめてみませんか。