2020年9月14日 | お役立ち情報
鉄フライパンを使うメリット、使い始め・お手入れの方法などをまとめて紹介
毎日の料理で必ずといってよいほど使うフライパン。フライパンの素材にはさまざまなものがありますが、昔ながらの鉄フライパンに興味がある方もいるのではないでしょうか。さびや焦げ付きなど、鉄フライパンはお手入れに苦労しそうなイメージがあり、購入には二の足を踏む方も多いようです。しかし、実は他素材のフライパンにないさまざまなメリットを有しています。
今回は、鉄フライパンを使うメリットや、使い始めおよび日常のお手入れ方法をまとめてご紹介いたします。
鉄フライパンを使うメリット
フライパンの素材には、鉄以外にステンレスやアルミ、銅などさまざまなものがあり、それぞれに特徴や得意分野があります。また、フッ素樹脂加工やダイアモンドコートなど、焦げつきにくい加工がされているタイプも人気です。
お手入れが必要で面倒なイメージの鉄フライパンですが、まずは他素材のものにはないメリットや魅力を確認しておきましょう。
高温調理ができる
鉄フライパンは熱伝導に優れているため、高温調理が可能です。短時間で食材に火が通り、野菜炒めもシャキシャキの歯ごたえに仕上がります。また、おいしそうな焼き目のついた、外はカリッと中はジューシーな肉料理もお手のものです。
せっかくの手料理ですから、家族に喜ばれるようにおいしく作りたいものです。鉄フライパンを使えば、調理器具によって料理のできばえが異なることを実感するでしょう。
長持ちする
フッ素樹脂加工されたフライパンは焦げつきにくいというメリットがありますが、使い続けるうちに加工が剥がれて焦げやすくなり、買い替えが必要となります。これに対して鉄フライパンは耐久性に優れているため、長持ちするというメリットがあります。加工が剥げることを気にしなくてよいため、焦げついたときはタワシでゴシゴシこすって洗うこともできます。
鉄フライパンには、調理器具を育てる喜びもあります。使い続けるうちにより使いやすくなっていくため愛着がわいてくる点も、鉄フライパンのメリットといえるでしょう。
鉄分が補給できる
鉄フライパンを使って調理すると、わずかではありますが、鉄が溶け出して鉄分の補給ができるといわれています。じっくり煮込む料理や酢を使った料理では、より多くの鉄分を取り込むことができます。このように、料理の栄養価をアップさせられる点も魅力の1つです。
鉄フライパンのデメリット
料理がおいしくなって鉄分も補給できる鉄フライパン。耐久性も高くていいことばかりのようですが、これまで他素材のフライパンを使っていた方にとってはデメリットに感じる点もあることでしょう。鉄フライパンの主なデメリットは次の2つです。
重い
鉄フライパンは、ずっしりとした重みがあります。アルミ製のフライパンを使っている人が鉄フライパンを使うと、その重量が気になるかもしれません。ただし、同じサイズでもメーカーによって重量が異なります。軽量タイプを選ぶことで、重さは大きなデメリットにならないでしょう。
お手入れが必要
焦げつきやサビを防ぐため、使用の前後にお手入れが必要です。これまでフッ素樹脂加工のフライパンを使っていた人にとって、「調理後すぐに洗う」「完全に乾燥させる」「油をなじませる」などのお手入れが必要な鉄フライパンは、とても面倒なものに感じられるかもしれません。しかし、最初は面倒でも次第に慣れて、フライパンを育てる楽しみを味わうことができるようになります。
鉄フライパンを使う前のお手入れ
鉄フライパンを購入したら、初めて使う前に「焼き入れ」「油ならし」というお手入れが必要です。それぞれについて解説いたします。
焼き入れ
新しく鉄フライパンを買ったら、まず「焼き入れ」という作業をおこないます。焼き入れは、「焼き込み」「空焼き」といわれることもあります。
目的
新しい鉄フライパンには、サビ止めの塗料が塗られています。このまま使うと油なじみが悪いため、コーティングを除去するために高温でフライパンを熱します。この作業を「焼き入れ」といいます。
手順
焼き入れの手順は次の通りです。
- 表面についたホコリや油を落とすため、フライパンを食器用洗剤とスポンジで洗い、水気を拭き取ります。
- 中火で熱し、徐々に強火にしていきます。
- 表面が焼けると変色してきますので、傾けながら全体の色が変わるまでしっかり熱を通します。
- 自然に冷まします。
- 洗剤とスポンジを使って洗い、表面を拭き取ります。
鉄フライパンを熱すると白い煙が出ますので、換気扇を回しながらしっかり熱してください。フライパンによっては熱しても変色が見られない場合がありますが、その場合も5〜10分ほどかけて十分に加熱しましょう。
油ならし
焼き入れが済んだら、次は油ならしをおこないます。フライパンを初めて使うときにおこなう油ならしでは、表面に油の皮膜を作ります。
目的
油ならしをせずに使うと食材が表面にくっつきやすくなります。油ならしをすることによってフライパンに薄い油の膜ができ、食材が焦げつきにくくなります。鉄フライパンを初めて使う前には、必ずおこないましょう。
手順
- 食器用洗剤を使ってフライパンを洗い、布巾で水気を拭き取ります。
- フライパンを中火で温め、食用油を1/3くらいまで入れます。
- 全体に油をなじませながら、弱火で5〜10分程度加熱します。
- 火を止めて、油をオイルポットに移します。
- 油が十分に行き渡るように、フライパンの内側と外側をキッチンペーパーで拭きます。
- ニオイが気になる場合は、くず野菜を炒めると鉄特有のニオイが取れます。
2回目以降は、鉄に油膜が定着するまで「油返し」というお手入れをおこないます。お手入れのたびに使用した油を処分するのはもったいないので、蓋つきのオイルポットを用意しておくとよいでしょう。
日常のお手入れ方法
鉄フライパンは最初だけでなく、使うたびにお手入れが必要なうえ、特有の注意点もあります。次のような方法で、鉄フライパンを大切に使い続けましょう。
調理前には油返しをする
鉄フライパンは、使い込むと油がなじんで食材がこびりつかなくなっていきます。そこまで使いやすく育てるためには、毎回油をなじませる「油返し」という作業が必要です。全体的に黒くなって油膜が定着するまでは、調理前に忘れず油返しをおこないましょう。
手順
- 鉄フライパンを中火で十分に加熱します。
- 大さじ3程度の油を入れ3分ほど加熱し、回して全体に広げてなじませます。
- 火を止めて油をオイルポットに移します。
これで油返しは終了です。この後、必要な量の油を入れて調理を始めましょう。
調理後は洗剤を使わずに洗う
鉄フライパンを洗うときは、台所用洗剤を使わずに洗うのが鉄則です。洗剤を使うとせっかくなじませた油が落ちてしまうので、使わないようにしてください。調理後は、フライパンが温かいうちに、お湯とたわしだけで洗いましょう。
洗い終えたら水気を拭き取り、中火で空焼きして水気を完全に飛ばしてください。サビ予防のため、最後にキッチンペーパーなどを使って油をすり込んでおきましょう。
焦げついたときのお手入れ方法
油ならしをしたにもかかわらず焦げつく場合、原因として考えられるのは調理時の油の不足です。鉄フライパンの使い始めは、やや多めの油で調理する方がよいでしょう。また、火力が強すぎる場合も焦げ付きの原因になるので、火加減にも注意してください。
鉄フライパンが焦げついたときは、次の手順でお手入れしてください。
手順
- フライパンにお湯を入れて中火にかけます。
- 焦げ付きがふやけて柔らかくなったら、スチールたわしでこすり落とします。
- 洗い流したら水気を拭き取り、中火で空焼きして水気を飛ばします。
焦げつきがひどいときのお手入れ方法
焦げつきがひどく、上記の方法で取れない場合は、次の方法を試してみてください。
手順
- フライパンを強火で加熱し、焦げを炭化させます。
- 焦げが燃えて煙も出なくなったら火を止め、手で触れる程度に冷まします。
- 金属のヘラなどでこそげ落とします。
- サンドペーパーで磨いて、細かい焦げも取り除きます。
- クレンザーとスチールたわしで磨き洗いをし、水気を拭き取ります。
- 空焼きをして油ならしをします。
サビたときのお手入れ方法
鉄フライパンはサビてしまうことがありますので、濡れたまま放置しないようにしましょう。サビてしまったときは、次の手順でサビを落としてください。
手順
- クレンザーとスチールたわしを使ってサビた部分をこすります。
- 水洗いをして水気を拭き取り、火にかけ完全に乾かします。
- フライパンが熱いうちに油を塗って油膜を作ります。
まとめ
鉄フライパンを使えば、料理がよりおいしく仕上がります。高温で調理しますので、短時間で火が通り、素材の旨味を逃しません。「重さ」や「お手入れ」がネックではありますが、重量が比較的軽い鉄フライパンもあり、慣れればお手入れも苦ではなくなるでしょう。
短期間で買い替えることになるフッ素樹脂加工のフライパンに比べ、鉄フライパンは耐久性が高く、何年、何十年と長く使うことができます。そうして使い込むうちに、料理の相棒として愛着もわいてくることでしょう。
高温でおいしく調理できる鉄フライパンを、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。