2018年11月5日 | お役立ち情報
立冬と冬至の違いとは?意味や由来などを解説
テレビのニュースやカレンダーなどを見ていると「立冬」「冬至」という言葉を目にすることがあります。
何となく冬の季節に関係した言葉であるのは理解できますが、意味やそれぞれの違いがわかる人は多くありません。今回は立冬と冬至の違いや意味、由来などを解説します。
立冬と冬至について
立冬と冬至。冒頭でもお伝えしたようにこの2つはどちらも「冬」の漢字が入っているため、寒い季節に関連した言葉です。しかし、それぞれの意味や時期は異なります。そこでまずは立冬と冬至について確認してみましょう。
立冬とは?
立冬は「りっとう」と読みます。「冬が立つ」という文字からも何となくイメージできますが、立冬は冬の始まりを表す言葉です。同じ季節を表す言葉として「立春」「立夏」がありますが、立冬はこの2つと比較するとややマイナーなイメージがあります。
立冬は毎年11月7日ごろ、もしくは立冬から小雪(11月21日ごろ)の前日までの期間を指します。11月7日「ごろ」と記載したのは立冬は年によって11月8日から始まるからです。ちなみに2018年~2023年までの立冬の日付および期間は以下のようになっています。
西暦 | 立冬の日付・期間 |
---|---|
2018年 | 11月7日(水)~11月21日(水) |
2019年 | 11月8日(金)~11月22日(金) |
2020年 | 11月7日(土)~11月21日(土) |
2021年 | 11月7日(日)~11月21日(日) |
2022年 | 11月7日(月)~11月21日(月) |
2023年 | 11月8日(水)~11月22日(水) |
冬至とは?
冬至は「とうじ」と読みます。冬至は暦の上では冬のちょうど真ん中に位置しており、1年のうちで最も昼が短く、夜が長い日に該当します。
ちなみに1年のうちで最も昼間の時間が長い夏至(毎年6月21日ごろ)と比較すると、北海道根室で約6時間30分、東京で約4時間40分もの差があるといわれています。冬至の日付は12月22日ごろであり、立冬と同じく年によって日付が異なります。
また現在の冬至は一般的に12月22日ごろを指す言葉ですが、小寒(1月6日ごろ)の前日までの期間を表す用語としても使われています。2018年~2023年までの冬至の日付および期間は以下のとおりです。
西暦 | 冬至の日付・期間 |
---|---|
2018年 | 12月22日(土)~1月5日(土) |
2019年 | 12月22日(日)~1月5日(日) |
2020年 | 12月21日(月)~1月4日(月) |
2021年 | 12月22日(水)~1月5日(水) |
2022年 | 12月22日(木)~1月5日(木) |
2023年 | 12月22日(金)~1月5日(金) |
詳細は後述しますが、冬至の日は柚子湯に入ったり、かぼちゃや冬至がゆを食べるなどの習慣があります。
立冬の意味・由来を解説
前述のように立冬は冬の始まりを表す言葉です。立春、立夏、立秋にも同じことがいえますが「立」という字には新しい季節が始まるという意味があります。
また立冬は二十四節気の19番目に位置する節気です。二十四節気とは簡単に説明すると1年を24分割し、それぞれに季節を表す言葉をあてはめたものです。1節気は約15日設けられています。
現代社会では二十四節気で季節を確認することは少ないですが、昔は農家の人たちなどが作物の栽培時期や収穫時期の目安を把握する上で重宝していたともいわれています。
ちなみに先ほども取り上げましたが立冬が始まる11月7日ごろは、地域によってはまだ秋の景色が色濃く残る時期です。そのため、中には「実際の季節と少しズレているのでは?」という疑問を持つ方もいます。
実は二十四節気が発案されたのは日本ではなく、中国の黄河地方とされています。日本と中国では同じ時期の気候が微妙に異なるため、節気と実際の季節感にも違いが生まれてきます。
また、二十四節気はもともと旧暦(月の満ち欠けを基準とした暦)と実際の季節とのズレを修正するために用いられていました。
二十四節気が伝わった当時の日本でも中国と同様に月の周期を基準とした旧暦を使用していたため、現在の新暦(地球が太陽の周りを公転する周期)だと本来の季節感と若干のズレが生じるようになります。
冬至の意味や由来を解説
冬至も立冬と同じく二十四節気のひとつです。冬至は24番目の節気、つまり1年で最後の節気ということになります。前述のように冬至は年間を通して最も昼が短く、夜が長い日です。
中国の思想では1日の昼の時間帯は「陽」、夜の時間帯は「陰」とされてきました。このことから昔の人は夜の時間帯が最も長い冬至は「生命が終わる時期」と考えていたとされています。
そのため、冬至には無病息災を願う風習があり、それが先ほども取り上げた柚子湯(ゆず風呂)に入る、かぼちゃを食べることなどです。
また翌日から日照時間が長くなる冬至の日は古来より「一陽来復(いちようらいふく)」という特別な日として扱われ、太陽が生まれ変わる日とされてきました。
ちなみに二十四節気発祥の地でもある中国では、冬至は暦の起点とされ、厳粛な儀式が行われていたとされています。二十四節気が日本に伝わったのは中世のことであり、このころは宮中などで朔旦冬至(さくたんとうじ)と呼ばれる祝宴が行われていました。
立冬の行事・食べ物について
暦上では冬の始まりを告げる立冬ですから各地域で特別な行事を行ったり、立冬にちなんだ食べ物をみんなで食べると思われる方もいるかもしれません。しかし、立冬には目立った行事や必ず食べなければならない食べ物などはありません。
そのため、11月7日ごろはいつもと変わらぬ生活を送る人が圧倒的に多いです。ただし中国では立冬に餃子を食べる風習があるともいわれています。中国のことわざには「立冬補冬、補嘴空」というものがあります。
これは「立冬(冬)は今が旬の食材をしっかり食べて、体調を整えよう」という意味があります。立冬のころになると昼夜の寒暖差が激しくなるため、体調を崩す方もちらほら出てきます。
このことから前述のことわざには「寒い冬を乗り切るには旬の食材を季節に合った調理法で食べることが最も大切」という意味が込められています。
体を温める食材には体調を整え、風邪を予防する効果などがあります。以下に立冬におすすめしたい食材をまとめましたのでご覧ください。
- 生姜
- とうがらし
- かぶ
- かぼちゃ
- 玉ねぎ
- ネギ
- 山椒
- にんにく
- ごぼう
これら以外にも、日本の一部地域では立冬に冬瓜(とうがん)を食べることもあります。冬瓜には風邪予防に最適なビタミンCが豊富に含まれていますので、寒い季節の始まりを告げる立冬に食べるのは理に適っているといえるでしょう。
冬至の行事・食べ物について
続いては冬至の行事や食べ物について解説します。冬至は立冬と違って古くから行われている風習が複数あります。
かぼちゃ・冬至がゆ
冬至に食べるものとして親しまれているのがかぼちゃと冬至がゆです。かぼちゃは本来夏が旬の野菜ですが、夏に収穫したものを保存することで、自然と甘みが増すといわれています。
また、かぼちゃには体を温める作用があるβカロチンや風邪予防に効果があるビタミンCが豊富に含まれているため、古くから冬真っただ中の冬至には最適な食材として重宝されてきました。
ちなみに地域によってかぼちゃを使ったレシピが異なるのも冬至のおもしろいところです。以下に冬至の日に各地域で作られる主なかぼちゃ料理をまとめましたのでご覧ください。
料理名 | 地域 | 特徴 |
---|---|---|
いとこ煮(小豆かぼちゃ) | 北海道・東北地方など | かぼちゃと小豆を一緒に煮込んだ料理 |
かぼちゃがゆ | 青森県 | かぼちゃのおかゆ |
かぼちゃひっつみ | 岩手県 | 岩手県の郷土料理で小麦粉の生地をちぎって入れた汁物料理 |
かぼちゃ団子 | 長野県 | かぼちゃ、小豆、団子を一緒に煮た料理 |
かぼちゃぜんざい | 山口県 | 団子の生地にかぼちゃを織り交ぜたもの |
このように各地域で個性的なかぼちゃ料理が作られています。そして冬至のもうひとつのメインでもある冬至がゆ。
こちらは日常生活であまり耳にする機会がありませんが、冬至がゆとは小豆を入れたおかゆのことです。古くから小豆の赤は魔除けの色として信じられており、冬至に食べることで厄払いをするという意味が込められているそうです。
柚子湯
冬至の日に柚子湯に入るのは、運を呼び込む前に厄払いするための禊(みそぎ)だと考えられています。昔の人は今のように毎日お風呂に入ってたわけではありませんが、大切な儀式がある日などは身を清める意味を込めて入浴していました。
冬至は古くから大切な日(この日を境に運気が上昇する)であり、入浴で身を清めてきたとされています。柚子を入れる理由ですが、冬が旬の柚子は香りが非常に強いのが特徴です。
昔の人には香りが強いものには邪気を払う効果があるという考えが根付いていたため、柚子湯に入るのが習慣になったとされています。
また柚子は実がなるまでに長い年月を要することから「長年の苦労が実りますように」という願いも込められているそうです。もちろん柚子は科学的観点から見ても血行を促進して冷え性を改善するなどの効果があります。
「ん」がつく食べ物
冬至には「ん」がつく食べ物を食べると縁起が良いとされています。その意味や由来ですが「いろはにほへと」の最後の文字が「ん」だからです。冬至は二十四節気の最後に位置する節気であり、前述のように一陽来復(いちようらいふく)と呼ばれています。
一陽来復には冬が終わって新しい春がくる、悪いことが続いた後に運気が上昇するという意味があります。つまり昔の人は「1年の最後にあたる冬至が過ぎたら運が訪れる」と考えていました。
そこで「いろはにほへと」を二十四節気の流れに見立て、最後の「ん(冬至)」を超えたら運を呼び込めるとしました。これが冬至に「ん」がつく食べ物を食べるようになった始まりだとされています。
「ん」がつく食べ物は数多くありますが、冬至に食べると特に良いとされているのが以下の7つの食材です。
- 南京(なんきん)
- 銀杏(ぎんなん)
- 寒天(かんてん)
- 人参(にんじん)
- 饂飩(うんどん)
- 蓮根(れんこん)
- 金柑(きんかん)
この7つの食べ物は「冬至の七種(ななくさ)」といわれています。共通点は「ん」が2つ入っている点です。これは「ん」が1つしか入っていない食べ物よりも運を呼び込めるという意味があります。
ちなみに聞き慣れない食べ物に南京(なんきん)、饂飩(うんどん)がありますが、これはかぼちゃ(南京)とうどん(饂飩)のことを指しています。冬至にかぼちゃを食べるのは、かぼちゃの別名(南京)に「ん」が2つ入っていることも大きく影響しているでしょう。
今年の「立冬」と「冬至」は寒さに負けない体を作ってみませんか?
立冬、冬至は時期や意味が多少異なりますが、いずれも冬の季節に関連した言葉です。立冬や冬至は体を温めたり、運を呼び込むとされている食材を食べることなどが推奨されています。
毎年冬になると寒さによって体調を崩す方は多いです。今年の立冬、冬至は風邪予防に効果がある食材を取り入れた料理を食べたり、柚子湯に入って体をポカポカにしてみましょう。厳しい寒さに負けない体作りに役立つこと間違いなしです。