墓参りの作法やマナーを解説 – 知っておきたい知識

墓参りの作法やマナーを解説 - 知っておきたい知識

お墓は大切だった故人、ご先祖様を供養する場所です。故人やご先祖様に感謝の気持ちを伝える場でもありますが、お参りする側も心を清めることができます。

しかし、現代は日常的にお墓参りをする方が減少傾向にあります。こうなるといざお墓参りの時期がきたときに、正しい作法やマナーを守れない可能性も出てきます。そこで今回はお墓参りの基本的な作法やマナーに関する情報を解説します。

お墓参りの基本的なマナー

お墓参りの基本的なマナー

まずはお墓参りの基本的なマナーから。ここでは時期と服装の観点からお墓参りの基本を見てみましょう。

時期

一般的にお墓参りというのは以下の時期に行うことが多いです。

お彼岸 春分の日(3月21日ごろ)、秋分の日(9月23日ごろ)を中日とした1週間
お盆 8月13日~16日 (一部地域では7月13日~16日)
命日 故人が亡くなった日
近況報告 進学・就職・結婚・出産など

以上がお墓参りをする人が増える時期となります。中でもお彼岸とお盆は最も大切といわれており、お墓参りをする時期としては優先順位が高くなっています。仏教ではご先祖様のいる世界を「彼岸(ひがん)」、今私たちが生きている世界を「此岸(しがん)」と呼びます。

彼岸は西に位置しており、此岸は東にあるものとされています。3月の春分の日と9月の秋分の日は太陽が真東から昇り、真西に沈むため、彼岸と此岸が最も近くなる日と考えられていることから、この時期に供養を行うことになりました。

またお盆は故人が天から帰ってくる時期です。お墓参り、お墓掃除をして故人を迎え、また故人を送ります。

その他では1年に1度の故人が亡くなった月日(祥月命日)、毎月亡くなった日と同じ日(月命日)にお墓参りをすることもあります。また進学、就職、結婚、出産など人生の転機があった際、故人に報告の意味も込めてお墓参りをする方もいます。

ちなみに「お墓参りをしてはいけない時期」というのはありません。そのため、お墓参りは自分が「したいな」と思ったら、いつしても構わないとされています。定期的にお墓参りに来てくれればご先祖様もきっと喜んでくれるでしょう。

服装

実はお墓参りはお葬式や法事と違って、決められた服装というのはありません。お葬式、法事などは節目としてのハレ(特別)の日の行事ですが、お墓参りはケ(日常)の中の行事ともいえます。

日常生活の中での行事ですので、お墓参りは普段着で行っても問題はありません。ただし、墓地というのは多くのご先祖様が眠る厳粛な場所です。肌が露出しすぎている洋服や派手な服装は避けるのがマナーです。

またアクセサリーは墓石に当たると傷が付いてしまう可能性があります。そのため、チェーンが長いアクセサリーなどは外しておくようにしましょう。

お墓参りのお供え物の基本「五供」

お墓参りのお供え物の基本「五供」

お墓参りのお供えは宗派によって多少異なりますが、仏教では五供が基本となります。五供とは「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」のことを指しています。

5つをお供えするのが最も理想ですが、気持ちがこもっていればすべて揃っていなくても問題はありません。

香は身と心を清らかにするためにお供えします。基本的には線香もしくは抹香が使われることになります。身と心を清めることで、故人の魂に真摯な気持ちで向き合う姿勢を整えるという意味も込められています。

ちなみに線香の火は息を吹きかけて消すのではなく、手で仰いで消すのがマナーとされています。人間の口は身体、意識とともに「身口意(しんくい)」といわれ、すべての悪い行動はこの3つのうちから始まるといわれています。

つまり口は「悪い行動を生み出す汚らわしいもの」だと考えられているため、神聖な線香の火を口から出る息で消すのは無作法ということになります。

お線香は火が消えるまで見届けるのが理想ですが、周囲に燃え移るものがないかなど安全を確認した上であれば帰っても問題はありません。

花をお供えすることは、ご先祖様に感謝の気持ちを表す意味でも大切なことです。また花はお墓参りをする側にも「心を穏やかにする」という意味が込められています。

以前は樒(しきみ)の葉を大量に供えていたということもありました。昔は土葬が一般的であり、動物による害から遺体を守るため、強い毒性を持つ樒が重要とされていたのです。

現在は故人が好きだった花をお供えするなど、ある程度自由な形でお参りに行かれる方も増えています。ただし以下のような花は仏花としては不向きとされているため、注意が必要です。

  • 棘のある花
  • 毒性のある花
  • 香り(悪臭)が強い花
  • ツル性の花

具体的にはバラやヒガンバナなどが該当します。

灯燭(とうしょく)

灯燭(とうしょく)とは、ろうそくに火を灯すことを指します。大きなお墓や墓地には石灯籠が置いてあることが多く、これが故人のいる場所や道を照らすとされています。

またろうそくの明かりは暗い闇を照らすことで、私たちの心の中に潜む暗い煩悩を取り除くともいわれています。ろうそくは線香に火をつけるために使うことが多いため、誤解しがちですが、火を灯すこと自体がお供えになります。

お仏壇などではろうそくの火が灯燭となり、お盆の時期などは電気のろうそくや灯籠をつけておき、故人が迷うことなく帰ってこられるようにします。

お墓参りの際はろうそくに火を灯し、礼拝を終えた後に火を消して持ち帰るようにしましょう。ろうそくの火は線香同様、口で吹き消さずに手で仰いで消すのがマナーです。

またろうが墓石に垂れると汚れてしまいますので、小皿やキャンドルスタンドなどを準備しておくのもよいでしょう。

浄水

私たち人間が生きていく上で欠かすことができない水は仏様の好物だといわれています。水はただ仏様にお供えするだけではなく「心を清める」という意味も込められています。

またお墓には「水鉢」と呼ばれるものが付いています。この水鉢に水を張ることで水鏡となり、ご先祖様の姿を映すともされています。

水鉢の意味合いは宗派や地域によって、異なる場合がありますので、お墓参りをする際はお世話になっているお寺などに確認するとよいでしょう。

ちなみにお墓を取り扱う専門店によると、水鉢に水以外の飲み物、具体的には糖分を含んだジュースなどは入れないほうがよいとのことです。これはジュースに含まれる糖分などの影響でカビが生えたり、黒ずんでしまうためです。

また乾いた後はベタベタになってしまうことも考えられます。このようにお水以外の飲み物はお墓にとってはあまり良くない影響を与えます。

したがってお水以外の飲み物をお供えする場合は、容器のままお供えし、お参りが終わったら持ち帰るのが好ましいとされています。持ち帰った飲み物は故人を偲びながらいただくことで、供養にもつながるといわれています。

飲食(おんじき)

飲食(おんじき)とは、仏前にご飯を供えることを指し「仏飯」とも呼ばれています。仏壇には私たちが普段食べている主食のご飯をお供えするのが一般的ですが、お墓には故人の好きだったものや季節の食べ物などを選んでお供えしてあげるのがよいでしょう。

お墓参りに行くとよくお菓子、果物、お酒、ジュースなどがお供えされていますが、あのような形で問題はありません。ちなみに食べ物は墓石に直接置かずに、半紙などの上にお供えするのが好ましいです。

ときどきお酒やジュースを墓石に直接かける人を見かけますが、これは前述のように墓石が傷む原因にもなりますので控えておくのが無難です。

お供えした食べ物はお参りが終わったら持ち帰りいただくようにしましょう。このようにすることで、故人とのつながりを示すことにもなります。仏教では肉や魚といった生臭い食べ物、にんにくなどのニオイが強いものは好まれていませんので注意が必要です。

お墓参りの作法(手順)

お墓参りの作法(手順)

ここからはお墓参りの作法(手順)を解説します。作法といってもお墓参りには「絶対にこうする」というものはありません。

したがってある程度の基本だけ把握しておけば問題はないとされています。作法以上にお墓参りをする人の気持ち、ご先祖様に対して感謝する気持ちのほうが重要ということも覚えておきましょう。

① 手を洗い清める

墓地や霊園に到着したら、まずは手を洗い清めます。

② 手桶に水を汲みお墓へ向かう

墓石にかけるための水、掃除をするための水を手桶に汲みます。手桶やひしゃくは墓地、霊園で借りることができますので、管理事務所を尋ねるとよいでしょう。手桶に水を汲んだら、故人が眠るお墓へ向かいます。

③ お墓の前で一礼し、お墓やその周辺を掃除する

お墓の前に着いたら、まずは一礼をします。その後、お墓やその周辺の掃除を始めます。掃除はお墓周辺の雑草の処理、お墓の拭き掃除などが中心となります。花立てに古いお花が残っている場合は、取り除き、花立てもキレイにします。

このときに線香皿などの小物類も一緒に洗っておくとよいでしょう。周辺の掃除が終わったら、最後に墓石の掃除です。事前に手桶に汲んでおいた水をひしゃくでお墓にかけ、スポンジなどを使って、墓石に付着した汚れを落とします。

ときどき硬いたわしなどで墓石を洗う方もいますが、あまり硬すぎる素材のものを使ってしまうと、墓石に傷をつけてしまう可能性もあります。したがって墓石の掃除はできるだけ柔らかい素材を使った道具を使うようにしましょう。

またお墓には名前が刻まれていますが、このスペースは非常に狭く、通常のスポンジなどでは汚れが完全に落ちないこともあります。このような狭いスペースは柔らかい歯ブラシなどを活用すると、効率的に汚れを落とすことができます。

④ 線香・お供え物を供え、合掌

お墓がキレイになったら、水鉢に水を入れ、花立てに新しい花を供えるようにします。その後、故人が大好きだった食べ物や飲み物などを供えて、ろうそくに火を灯し、線香に火をつけます。

線香を立てたら、故人に感謝の気持ちを込めて合掌をします。ちなみに複数人でお参りに訪れる場合は、故人と近い間柄の人からお参りをするのがマナーです。お参りが終わったら、お供えした食べ物や飲み物は自宅に帰っていただくようにしましょう。

そのまま放置しておくと、墓石の傷みの原因になったり、カラスが食べ散らかしてしまうことも考えられます。線香は燃やしきってしまうのが理想ですが、安全性が確保できていれば帰っても問題はありません。お花はそのまま残しておいても構わないでしょう。

お墓参りに必要な持ち物

お墓参りに必要な持ち物

最後にお墓参りの際に必要となる持ち物をご紹介します。

掃除に必要なもの

故人が眠るお墓をキレイにするための掃除道具は忘れないように持っていかなければなりませんね。お墓掃除で持っていきたい主な掃除道具は以下のとおりです。

  • ほうき
  • ちりとり
  • バケツ(手桶)
  • スポンジ
  • たわし(柔らかいものがおすすめ)
  • 歯ブラシ(柔らかいものがおすすめ)
  • ゴミ袋
  • 植木バサミ
  • 軍手

以上がお墓参りの掃除で使用する主な道具です。ちなみにほうき、ちりとり、バケツ(手桶)などはお寺や墓地、霊園で借りられることが多いですので、必ずしも持参する必要はありません。

また植木バサミもお墓に生け垣や植木がない場合は不要となります。軍手は雑草の処理などで手にケガをする可能性もありますので、持っておくと安心です。

お参りや供養に必要なもの

掃除が終わった後に行うお参り、供養で必要になるものをまとめましたので以下をご覧ください。

  • お供え物(果物・お菓子・飲み物など)
  • 数珠
  • 線香
  • ろうそく
  • マッチ・ライター

線香、花、ろうそく、マッチやライターなどは墓地や霊園近くのお茶屋さん(売店)でも購入することができますので、忘れた際はこちらを利用するようにしましょう。

数珠に関してはお経を読む法事のときなどは用意する必要がありますが、普段のお墓参りの際は必須ではありません。ただし、数珠は持っているだけで邪気や魔を除けるといわれています。

また正式なマナーだと合掌するときは数珠を持つのが基本ですので、気になる方は準備しておくとよいでしょう。

お墓参りの基本マナーを知って、故人に感謝の気持ちを示しましょう

今回はお墓参りの作法やマナーなどに関する情報を解説しました。お盆や春、秋のお彼岸の時期には多くの人がお墓参りに訪れます。「お参りの時期はある程度わかるけど、作法やマナーまでは詳しくない」という方は多いです。

お墓参りには厳しい作法やマナーはありません。また作法やマナー以上に「故人に対する感謝の気持ちが最も大事」ともいわれています。

したがってお参りをする際は、基本的な作法やマナーの知識さえ身に付けておけば大きな問題が起きることはありません。

しかし、あまりにお墓参りの知識量が不足していると、ご先祖様に失礼にあたる行為をしてしまったり、身内などの前で恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。

そのため、お墓参りの「基本的な作法・マナー」だけは覚えておいて損はないでしょう。近いうちにお墓参りに行かれる方は、ぜひ参考にしてください。

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