2019年10月23日 | お役立ち情報
紅葉を狩らない、紅葉狩り
秋の行楽シーズン到来です。山野の景色は色づきはじめ、北からは紅葉前線が南下してきます。この時期には、秋の果物のぶどう狩りや梨狩り、キノコ狩りなど秋の味覚を味わい、また自然の美しい景色を眺めに紅葉狩りに出かける方も多いと思います。
紅葉は食べ物ではありませんがなぜか紅葉「狩り」と言います。紅葉見でも紅葉見物でもなく紅葉狩りと言います。今回は、紅葉狩りについて、その呼び名の由来や名所などについてご紹介します。
花見ももとは桜狩り
いまでは花見と言えば、当然のように「桜の花」を意味しますが、平安時代までは花見と言えば桜ではなく「梅の花」を見ることでした。奈良時代に中国に渡った遣唐使が、中国の貴族が梅の花を観賞する花見の文化を中国から持ち帰って日本の貴族社会に伝えたと言われています。
貴族社会では庭に植えられた梅の花を観賞していました。そして桜は山に生えていたため、山に行って花のついた枝を折って持ち帰っては観賞して楽しんでいたことから、当時はまだ桜狩りと言われていました。
その後平安時代になって貴族社会では、山に咲いている美しい桜を庭でも観賞したいと梅の木から桜の木に植え替えられるようになり、その頃から、桜狩りではなく花見と言われるようになりました。江戸時代になって数々の桜の名所がつくられてから、花見は庶民の娯楽として定着していきました。
紅葉狩りの由来
紅葉狩りの由来についてですが、「狩り」ということば自体は、山に行って獣や野鳥、小動物を狩るという意味で鹿狩りや猪狩りが使われていました。
そして紅葉は山奥にしか生えていなかったため、紅葉の枝を採りに山に行って持ち帰ることから紅葉狩りと言われていたようです。
また平安時代の貴族にとって、出歩くことは品の無い行為とされたため、紅葉を見に出かけることを「狩り」に見立てるようになったとされ、紅葉を観賞する意味として紅葉狩りが広まっていったとも言われています。
このように紅葉狩りの由来には諸説あるようです。それが江戸時代になり、山に行って色づいた紅葉を観賞することが庶民の娯楽としての紅葉狩りとなりました。
紅葉狩りの時期と名所
紅葉狩りの時期は、全国的には11月上旬から12月上旬頃までの約1ヶ月間です。早いところでは北海道や北東北では9月頃から紅葉が色づき始めるところもあります。
日本各地の主な紅葉の名所をご紹介します。
9月頃からの紅葉
- 大雪山国立公園(北海道上川郡上川町)
- 八幡平アスピーテライン(岩手県八幡平市)
- 千畳敷カール(長野県駒ヶ根市)
- 白山白川郷ホワイトロード(石川県白山市~岐阜県白川村)
10月頃からの紅葉
- 定山渓(北海道札幌市)
- 中禅寺湖(栃木県日光市)
- 上高地(長野県松本市)
- 青蓮院門跡(京都府京都市)
- 大山(鳥取県大山町)
11月頃からの紅葉
- 田貫湖(静岡県富士宮市)
- シチメンソウ群生地(佐賀県佐賀市)
- 岩屋堂公園(愛知県瀬戸市)
- 寒霞渓(香川県小豆島町)
- 養老渓谷(千葉県大多喜町)
- メタセコイア並木(滋賀県高島市)
- 慧洲園(佐賀県武雄市)
昔は山に行って枝を採ってきて楽しんだ紅葉狩りですが、いまは自然と触れ合いながら自然の景色と紅葉を眺めて楽しむ紅葉狩りに変化しました。紅葉の時期には紅葉や楓など他の植物の色変化も楽しむことができます。
春は花見、秋は紅葉狩り。自然の景色や草花を見ているだけで心が豊かになります。