2022年3月18日 | ガーデニングノウハウ

切り戻しの方法 – 失敗しない切り戻し剪定のコツ【ガーデニングの基本】

ガーデニング作業をしている中で「何か見た目が悪いな…」「花つきがイマイチだな…」という経験をされたことはないでしょうか?このようなことが起きる原因はさまざまですが、ひとつに切り戻しが正しく行われていないことが挙げられます。

切り戻しはガーデニングや園芸の世界ではよく聞く言葉ですが、具体的にはどのような作業なのでしょうか?今回は植物の成長に欠かすことができない切り戻し剪定の基本を徹底解説します。

切り戻しとは?

切り戻しとは伸びすぎた枝や茎を切り取る作業のことを指します。植物はそのまま放置すると枝や茎がどんどん伸びていきます。

詳細は後述しますが、この状態になると植物に悪影響を及ぼすことになります。もちろん不用意に伸びた枝や茎は、私たち人間の生活のジャマにもなるでしょう。このような理由からガーデニングや園芸の世界では切り戻しの作業が必要とされています。

切り戻しの目的とは?

切り戻し剪定を行う目的は主に3つあります。
株の大きさや樹形を整える
植物は人が手を加えてやらないと枝や茎は伸び放題になります。この状態を長期間放置しておくと形が崩れて見苦しくなるという状況を招きます。

開花期になると美しい花を咲かす植物は単に花を咲かすことだけが目的ではなく、株全体のキレイな見た目も楽しみのひとつです。

外から見て「枝や茎が伸びすぎてボウボウ」の草花は、開花した花の美しさを半減させる原因にもなります。 切り戻しで株の大きさや樹形を整えてあげることで、スッキリした見た目を作ることができます。
新芽・実・花の成長を促す
株が成長して枝や茎がさまざまな方向に伸びると、土からの栄養や水が不足する傾向にあります。また不要になった枝や茎がジャマして株元の葉に日が当たらない悪影響も及ぼします。こうなると最悪の場合、枯れてしまうことにもなります。

これを防ぐのが切り戻しです。不要になった伸びすぎた枝や茎を短くすることで、これから開花する花などに必要な養分を与えられるようになります。また切り戻しを行うことで切った茎から新しい脇芽が生え、花の数を増やせるという効果もあります。
病気や害虫を予防する
無造作に伸びた茎や枝は見た目の悪さだけではなく、風通しを悪くするというデメリットをもたらします。「風通しが悪い=植物が蒸れる」という状態は病気や害虫が発生する原因にもなります。

病気や害虫が発生すると植物の生育不良を起こしますので、花が一向に咲かないという状況も招きます。切り戻し剪定で不要になった枝や茎を切り取っておけば、このような弊害を防げる可能性も高くなります。

切り戻しと剪定の違いとは?

切り戻しや切り戻し剪定など、切り戻しは複数の呼び方があります。ガーデニング初心者の方などが気になるのは「切り戻しと剪定の違い」です。まず切り戻しとは剪定のひとつの種類になります。

剪定とは前述のように樹木や草花の枝を切ることで見た目をキレイに整えたり、風通しを良好にする作業のことです。そしてこの剪定には複数の種類があります。以下に主な剪定の種類をまとめましたのでご覧ください。

切り戻し

透かし剪定

刈り込み・刈り上げ

芽摘み・みどりつみ

ご覧のように剪定には目的に応じて、さまざまな方法があり、そのうちのひとつに切り戻しがあります。ガーデニングや園芸では剪定のことをまとめて切り戻しと呼ぶこともあります。

狭義では枝を短くする作業、広義では樹形を整える、芽摘みなどを含みます。剪定の種類によってやり方や方法は若干異なってきますが、いずれも植物にとって快適な環境を整える作業であることに変わりはありません。

切り戻し剪定に最適な時期や
タイミングは?

切り戻し剪定が重要なことはわかりましたが、実施する時期やタイミングの疑問が残ります。ここでは切り戻し剪定を行う最適な時期やタイミングについて解説します。
花が少なくなったり、形が乱れているとき
切り戻し剪定は一般的に花が少なくなったときや形が乱れてきたら行うようにしましょう。また切り戻し剪定を行うときは鉢の周りに沿って、全部の枝を思い切って切ることが大切です。

これは余計な茎の成長を抑えて、新しい強い芽を出す効果もあります。切り戻し剪定を行う際は株元に葉があるか否かも確認しておきましょう。葉がない状態で切り戻し剪定を行うと、分枝する脇芽がなく、枯れてしまう原因にもなります。
晴れの日の午前中
切り戻し剪定は晴れの日の午前中がおすすめともいわれています。枝や茎の切り口が湿っていると、病気や害虫が発生するリスクも高まります。

そのため、切り口がすぐに乾燥する環境で切り戻し剪定を行うことが大切です。雨や湿度が高い日は切り口も湿りやすいため、切り戻し剪定には不向きです。
花が咲き終わった直後
咲き終わった花はしばらく残しておきたい気持ちにもなりますが、すぐに花の下(花首)か枝元から切り落とすようにしましょう。花は咲き終わってからでも養分を吸う性質を持っています。

そのため、いつまでも残しておくと新芽や新しく開花する花の成長を阻害する原因にもなります。咲き終わってからできるだけ早めに切り戻し剪定を行うことで、脇芽も出るため、株のボリュームアップの効果も見込むことができます。
休眠期から目覚める前
株分けの影響で弱ったり、古い枝や弱った枝が多い場合には一度休眠期に切り戻し剪定を行うこともあります。この場合、翌年は枝を成長させる時間に費やし、翌々年に花が咲くのを待つことになります。

毎年花を咲かせる多年草、宿根草、樹木は休眠期に入ると成長が止まり、枝だけの状態になります。このようなケースでは株元から一定の長さですべて切り取るのがよいでしょう(残す枝の長さは植物によって異なる)

古い枝や弱った枝は花が咲きにくいため、切り戻し剪定でしっかりと取り除いておくことが大切です。こうすることで休眠期から目覚めた植物は徐々に成長を始め、新たに枝を伸ばし、美しい花を咲かすようになります。
成長に不要な枝が育ってきたとき
風通しを悪くする枝、日当たりを悪くする枝、見た目を悪くする枝などはこれから出る新芽や開花する花の成長のジャマになります。これらの不要枝が目立つようになってきたときは、切り戻し剪定を行う絶好のタイミングです。

特に休眠期以外の時期は不要な枝を見つけたら、すぐに切り取っておくようにしましょう。このようなこまめな手入れが多くの美しい花を咲かせる要因にもなります。

切り戻し剪定のやり方・方法は?

切り戻し剪定は不要な枝を1/2~1/3あたりの箇所で切り取りますが、むやみやたらに切ると切り落とした枝から細かい枝が生えてきて、形を乱す原因にもなります。切り戻し剪定で枝を切る場所は基本的に枝元と枝の途中だけです。

また枝の途中で切り取る場合は新芽のすぐ上から切り取るようにします。枝をよく観察してみると途中で少し膨らんだ部分があります。これが新芽であり、残しておくと枝や花の数を増やすことができます。

もちろん花数を減らしたい方や枝の本数を少なくしたいという方は、不要な枝を選んで付け根から切り取っても問題はありません。この点は個人の好みですので、自分の理想に近づける形で切り戻し剪定を行っていきましょう。

切り戻し剪定の対象になる不要な枝

切り戻し剪定の対象になる枝は「忌み枝」とも呼ばれています。これは樹形の美しさを損なうという意味から付けられた名称です。切り戻し剪定を行う不要な枝の種類は以下のとおりです。
徒長枝(とちょうし)
生育期間中に最も勢いよく伸びる枝を徒長枝と呼びます。徒長枝の特徴は真上に伸びるという点。見た目も悪くなるため、切り戻し剪定の対象になっています。

徒長枝を切り落とすときは枝元からでも問題ありませんが、全体的な枝の数が少ない場合は1/3ほど残しておくこともあります。
絡み枝
文字通り枝が絡み合っている状態のことを指します。樹木や草花の景観を著しく損なうため、早めの処置が必要になります。絡み枝を見つけた場合はどちらかの枝を残して、もう一方の枝を根元から切り取るようにするのが一般的です。
ひこばえ
ひこばえとは株元から出てくる細い枝のことです。放置しておくと本体へ養分が生き届かなくなるため、切り落とす必要があります。見つけ次第、株元から切り取るようにしましょう。
下がり枝(下向き枝・垂れ枝)
真下に向かって生えている枝を下がり枝(下向き枝・垂れ枝)と呼びます。1本だけ明らかに違う方向を向いているため、樹形を乱し、景観を損なう原因にもなります。下がり枝は株元から切り取るようにしましょう。
内向き枝(逆さ枝・返り枝)
幹や株の中心に向かって伸びている枝を内向き枝(逆さ枝・返り枝)といいます。内向き枝は株のバランスを悪くするだけではなく、日当たりや風通しにも悪影響を及ぼします。

そのため、内向き枝を見つけたら枝元から切り落とすのがベストです。ただし、少しだけ内を向いている程度の枝は周囲とのバランスが合っていれば残しておいても問題はありません。
車枝(くるまえだ)
枝の一部分から多数の枝が出ていることを車枝といいます。複数の枝が車輪状に伸びていることから付けられた名称です。

複数の枝が一ヶ所に集まっているため、風の通りをブロックするなどの悪影響を及ぼします。1本~2本ほど残しておき、残りはすべて切り取るようにしましょう。
胴吹き枝(幹吹き枝)
胴吹き枝(幹吹き枝)は幹の途中から伸びた細い枝のことです。胴吹き枝は植物の衰弱が原因で生えてくる枝ともいわれています。

そのため、胴吹き枝が生えている植物を見つけたら、一度弱っていないかどうかを確認しておくようにしましょう。胴吹き枝は根元から切り取るようにします。
立ち枝
立ち枝はその名の通り、まっすぐ立ち上がったかのように伸びている枝のことを指します。下がり枝と同様に明らかに他の枝と向いている方向が違うため、植物の見た目を著しく悪くする原因にもなります。見つけたら枝元から切り取ってしまいましょう。
平行枝
複数の枝が平行に伸びてしまっている枝のことを平行枝と呼びます。平行枝をそのまま放置しておくと下のほうの枝の日当たりが悪くなります。1本だけ残して枝元から切り取るようにしましょう。

切り戻し剪定を行うときの注意点は?

切り戻し剪定を行うときの注意点ですが「清潔なハサミやナイフを使用すること」「手袋(軍手)を着用して行うこと」の2点です。汚れたままのハサミで切り戻し剪定を行うと、枝の切り口から雑菌などが入る可能性も高くなります。

その結果植物が枯れてしまうという弊害を招くこともありますので、注意しておきましょう。枝の切り口の傷口を癒すための癒合剤を塗るのもおすすめです。また、より安全な状態で切り戻し剪定を行うなら手袋も着用しましょう。

手袋をつけることで手に付着している可能性がある雑菌や細菌が切り口から侵入するのを防ぐことができます。その他、手袋を着用すると枝で手を切ることもなくなります。

ちなみに植物の樹液は肌荒れを引き起こすこともあるため、肌が弱い方は手袋の着用を強くおすすめします。

正しい切り戻し剪定で
植物のスムーズな成長を促そう!

今回は植物を育てる上で欠かすことができない作業でもある切り戻し剪定の基本を解説しました。切り戻し剪定は見た目を整える、植物の成長を促す、病気や害虫を防ぐといった効果が期待できます。

これらは長期に渡って植物を楽しむには欠かすことができない大切なポイントです。正しい切り戻し剪定の方法を学び、庭やベランダに多くの元気な花を咲かせてみせましょう。
「カダンライフ」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。
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