ゴキブリの生態を知って
効果的な対策をしよう

ゴキブリが媒介するおそれのある
病原菌

下水や排水口など不衛生な場所を通ったり、キッチンの生ごみなど雑菌が繁殖しやすい場所をエサ場とするせいで、さまざまな雑菌をまとっているゴキブリ。その菌が人に触れたり口にするものに付着すると、恐ろしい感染症を媒介することがあります。

サルモネラ菌
おもに鶏や豚などの消化管に生息し、汚染された卵や肉などから人に感染する菌。感染すると数時間から数日の潜伏期間を経て、激しい腹痛や下痢、発熱、嘔吐などを発症します。
赤痢菌
人と猿などを宿主として、その腸内に感染する腸内細菌の一種。おもに汚染された食物や水を介して口から感染するため、食品や食器類を清潔に保つ必要があります。感染すると、下痢や発熱、腹痛などを発症します。
ピロリ菌
胃の粘膜に生息する螺旋状の細菌。ゴキブリの糞の中に生息し、口から感染します。幼児期に感染するケースが多く、子供と同じ箸などを使うことで、親が感染してしまうことも。ピロリ菌に感染すると、胃もたれや吐き気、食欲不振などの症状が起こり、胃の不快感が繰り返されると胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気に移行するおそれがあります。
O-157
病原性大腸菌のうち腸管出血性大腸菌の一つ。牛などの腸内に生息し、強い感染力を持ちます。ゴキブリの媒介によって感染するおそれがあり、感染すると激しい腹痛や嘔吐、発熱などの症状が表れます。

季節別に見るゴキブリの様子

「家の中で1匹見かけたら100匹はいる」といわれるようにゴキブリの繁殖力は強く、姿を見かけない時期も家の中に潜んでいる可能性があります。

幼虫が動き出す時期。秋の終わり頃に産みつけられた卵は卵鞘(らんしょう)のまま越冬し、気温が20℃くらいになると活動を開始します。この時期はまだ幼虫が小さく、数は多いですがあまり見かけません。
幼虫だったゴキブリが成虫になり、もっとも活動が活発になる時期。活動の範囲も広がり、さまざまな場所でよく見かけるようになります。
越冬の準備をする時期。秋に幼虫となったゴキブリは、越冬するためのすみかを探します。特にダンボールは格好の隠れ家となり、産卵場所としてもよく使われます。
秋に産みつけられた卵か幼虫の状態で冬を迎えますが、摂食や発育などを停止して越冬休眠するゴキブリと、越冬休眠しないゴキブリがいます。
越冬休眠するクロゴキブリなどは、ダンボールのすき間などで静かに春の訪れを待ち、越冬休眠をしないチャバネゴキブリなどは、暖房の効いたビルや飲食店などに生息しています。

効果的な対策ができるのはいつ?

ゴキブリを減らすためには通年の対策が大切ですが、特に重要なのが秋と春です。秋にはゴキブリが生息しにくい環境を、春には外からの侵入を許さない環境を作りましょう。

ゴキブリが生息できそうな場所をなくしましょう。キッチンを清潔に保ち、不要なものを処分して部屋を片付け、ゴミが落ちていないようこまめに掃除します。食器棚の裏側や冷蔵庫の周辺、コンロ周りなども念入りに清掃し、ゴキブリを寄せつけない環境に。特にダンボールはゴキブリにとって格好のすみかとなるため、用が済んだら早めに処分しましょう。
卵から幼虫となりゴキブリが動き始めるこの時期は、屋外のゴキブリたちが家の中へ侵入しようとします。玄関やサッシなど、入りそうな場所のすき間をできるだけなくし、待ち伏せタイプの殺虫剤などで侵入を防ぎましょう。すでに侵入したゴキブリには、「毒餌」や「くん蒸」タイプの殺虫剤が効果的です。

ゴキブリが好む環境について

家の中に侵入してくるのは、そこにゴキブリの好む環境があるから。ここでは、ゴキブリが集まる場所について解説します。

エサが豊富にある場所
雑食性のゴキブリは、人間の食べ残しやコンロにはねた油、皮脂や髪の毛など何でも食べるため、食事がすんだ食器をそのままにしたり生ゴミなどを放置したりすると、ゴキブリが集まる原因に。特に嗅覚が優れており、食べかすや油などのニオイにつられて集まってきます。
暖かい場所
ゴキブリは暖かい場所を好むため、冷蔵庫やテレビなど熱を帯びた電化製品の裏側や、エアコンの中などを好んですみかにすることがあります。反対に寒さには弱く、-5℃~-10℃になると死んでしまいます。
適度な湿気のある場所
高温多湿を好むゴキブリは、キッチンやお風呂場など湿気のある場所に集まります。
暗く狭い場所
壁と家具などのすき間や、ソファと床のすき間など、暗くて狭い場所を好みます。

予防対策

発生を防ぐためには、ゴキブリが好む環境をつくらないようにすることがポイントです。

ゴキブリのエサになるものを
置かない、落とさない
食事のあと食器などを置きっぱなしにせず、速やかに片付けるようにします。床にゴミや食べかすなどが落ちていないようこまめに掃除をして、清潔な状態を保ちましょう。
シンクに食材の切れ端を
残しておかない
生ゴミは口を閉じ、シンクの水分もできるだけ拭きとるようにします。排水口のヌメリやニオイもゴキブリを寄せつける原因となるため、常にきれいにしておくことを心がけましょう。
使い終わったダンボールは
早めに処分する
ダンボールはゴキブリにとって格好のすみかに。特に産卵を許してしまうと、翌年の大量発生へとつながるので注意しましょう。