2021年1月19日 | お役立ち情報
今年の恵方の方角は?恵方巻の正しい食べ方やルールを解説
2021年2月2日は節分の日(※参照)。この日は「鬼は外、福は内」という大きなかけ声とともに豆まきをして、悪いものを追い払い一年の無病息災を願います。この際、歳の数だけ豆を食べると福が訪れるといういわれを聞いたことのある方も多いことでしょう。
節分というと豆まきのイメージが強いものですが、最近では住まいの事情もあり、豆まきより「恵方巻」を楽しむ人たちも増えているようです。毎年縁起のよい方角が決められており、そちらを向いて食べると福が訪れるというしきたりです。しかし、その方角はどちらなのか、ただ食べるだけでよいのかなど、恵方巻の食べ方についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2021年から2031年の10年先までわかっている「方角」や、恵方巻の正しい食べ方・ルールについて詳しく解説するとともに、恵方巻きの起源や由来についてもご紹介いたします。
※慣習から「節分は2月3日、翌日が立春」と覚えていることも多いようですが、2021年は1日早まり、2月2日となります。
参考:国立天文台「節分の日が動き出す」
恵方巻とは
立春の前日となる節分の夜、恵方(えほう)に向かって願い事をしながら食べる太巻き寿司のことです。その年の恵方を向いて食べること以外にも、丸かじりすることや、無言のまま食べ切ることなど、いくつかの決まりごとがあり、そうすることで神様からのご利益があると考えられています。
七福神にちなんだ7種類の具材を海苔で巻く恵方巻は、縁起良く「福を巻き込む」とされています。もともと大阪を中心とする関西地方の風習で、その太巻き寿司のことを「恵方巻き」や「恵方寿司」などと呼んでいました。その後90年代後半に、全国展開するコンビニで販売されたことで一気に全国区となり、今では節分が近づくと数多くの「恵方巻」が店頭に並びます。
ちなみに恵方(えほう)とは、年神様がやってくる方角を指す言葉です。「年神様」とは、歳徳神(としとくじん)や大年神(おおとしがみ)、お正月様などとも呼ばれる神様のことで、毎年いる場所が変わると考えられています。年神様のいる方角が恵方とされるため、その年によって恵方も変わるのです。現在では節分の日くらいしか意識することのない恵方ですが、昔は初詣の参拝なども恵方に向けて足を運んだといわれています。
起源・由来
恵方巻の起源や由来にはさまざまな説がありますが、ここでは代表的なものをご紹介いたします。まずは江戸時代末期、大阪の商人たちが商売繁盛と厄払いの意味を込めて、立春の前日である節分の日に巻き寿司を切らずに食べたのがはじまりとする説です。切らずに食べた理由は、「切る」という行為が、縁の切れ目などを連想させるためだったと考えられています。また、節分の時期は新しい漬物ができるころで、江戸時代中期には恵方を向いて漬物の巻き寿司を切らずに丸かじりして願い事をしたという説もあります。
戦国時代のある武将が、節分の日に海苔巻きのようなものを食べて出陣したところ大勝利を収めたことから、海苔巻きは縁起のよいものとして食べられるようになったという説もあります。ただし、海苔が普及しはじめたのは江戸時代に入ってからのことなので、この説は信憑性がうすいとも考えられています。ほかにも、船場の旦那衆が節分の日に、遊女に巻き寿司を丸かじりさせてお大臣遊びをしていたことに由来する説などもあります。
江戸時代、平賀源内が「土用の丑の日」という貼り紙(広告)を用いて、夏場に売り上げの落ちる鰻屋を繁盛させた逸話は有名ですが、恵方巻にもこれに似たような話があります。昭和となった1930年代、大阪にあるすし屋の組合が、「節分の日に巻き寿司を丸かじりすると幸運が巡ってくる」というチラシを宣伝のため配布、これが恵方巻のもとになったといわれるものです。
さらに1970年代には、大阪の海苔問屋の組合が巻き寿司のチラシを配り、寿司屋とともにブームを起こそうとします。これには、新海苔が出はじめる節分の時期、在庫の海苔が大量に残ってしまうのを避けようとする事情があったようです。この時期大阪のデパートでは、節分の日に「幸運巻き寿司」として販売されていたそうです。
恵方巻は関西が発祥とされていますが、関西の人でも子どものころに恵方巻を食べていなかった方もいるようです。全国的にブームになる以前は、関西でもかなり限られた地域でおこなわれた風習だったのではないかとも考えられています。
2031年までの恵方巻の方角
いざ食べようとしたときに、「あれ、今年の恵方は…?」と思案したことのある方も多いのではないでしょうか。せっかく恵方巻を食べるのなら、きちんと正しい方角を向いて、神様を意識しながら食べたいものですね。
ところで、その年の恵方はどのように決められるのかご存知ですか。ここでは恵方の決め方と、2031年までの恵方についてご紹介いたします。
方角はどう決まる?
恵方の方角は、その年の「十干(じゅっかん)」によって決まります。
中国から伝わった暦をもとにつくられた「十干」は、「五行説(世の中のものはすべて木・火・土・金・水からなるという考え)」と「陰陽道(世の中のものはすべて陰と陽の2つに分けられるという考え)」が結びついた「陰陽五行説」(風水の基本となる考え方)からできています。五行(木・火・土・金・水)を陰と陽に分け、それぞれに「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」を割り振ったものが十干です。
恵方はこの十干によって決まるとされていますが、西暦の下一桁で決まっているともいえます。十干と西暦の下一桁はどちらも10の周期で回っているので、下記のようにその年の恵方を知ることができるのです。
- 甲(きのえ)の年(下1桁が4)…寅と卯の間…甲の方角(ほぼ東北東)
- 乙(きのと)の年(下1桁が5)…申と酉の間…庚の方角(ほぼ西南西)
- 丙(ひのえ)の年(下1桁が6)…巳と午の間…丙の方角(ほぼ南南東)
- 丁(ひのと)の年(下1桁が7)…亥と子の間…壬の方角(ほぼ北北西)
- 戊(つちのえ)の年(下1桁が8)…巳と午の間…丙の方角(ほぼ南南東)
- 己(つちのと)の年(下1桁が9)…寅と卯の間…甲の方角(ほぼ東北東)
- 庚(かのえ)の年(下1桁が0)…申と酉の間…庚の方角(ほぼ西南西)
- 辛(かのと)の年(下1桁が1)…巳と午の間…丙の方角(ほぼ南南東)
- 壬(みずのえ)の年(下1桁が2)…亥と子の間…壬の方角(ほぼ北北西)
- 癸(みずのと)の年(下1桁が3)…巳と午の間…丙の方角(ほぼ南南東)
ちなみに「干支」には、ご存知の通り「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12の動物が割り振られ、一般的に干支というとこの十二支を指します。しかし本来は、「十二支」と「十干」を組み合わせた60種が干支と考えられています。「丙午(ひのえうま)」という言葉を聞いたことのある方もいると思いますが、これは十干の「丙」に十二支の「午」を組み合わせた干支です。たとえば2021年は、十二支では丑(うし)、正式な干支では「辛丑(かのとうし)」の年となります。干支は、このような組み合わせが60の周期で回っているのです。
60歳になると「還暦」のお祝いをする風習があります。還暦の「還」という文字には、ひとまわりしてもとのところに帰るという意味があり、60種ある干支が一巡したことを表しています。ここにも、十干が深く関わっているといえます。
2021年の恵方は、南南東
2021年の恵方は、南南東です。これは上記の十干と西暦の下一桁との関係性からも知ることができます。2031年までの恵方は次の通りです。
- 2022年:北北西
- 2023年:南南東
- 2024年:東北東
- 2025年:西南西
- 2026年:南南東
- 2027年:北北西
- 2028年:南南東
- 2029年:東北東
- 2030年:西南西
- 2031年:南南東
このように、よく見ると恵方は5年周期で巡っていることもわかります。
恵方巻の食べ方・ルール
無病息災など願い事をしながら食べることで、神様からのご利益があると考えられている恵方巻。せっかくですから、きちんとしたルールに則って食べたいものです。ここでは、恵方巻の食べ方やルールについてまとめます。
- その年の恵方を向いて食べる
年神様は、毎年いる場所が変わると考えられています。まずは年神様のいる方角(恵方)を知り、その方角を向くことが重要です。
- 切らずに丸かじりする
縁起物の恵方巻を包丁で切るのはNGです。「縁を切る」として、縁起が悪いと考えられています。
- 無言のまま食べ切る
願い事を思い浮かべながら、無言で食べるとご利益があるとされています。恵方巻を食べている途中でしゃべってしまうと、そこから福が逃げると考えられています。
今年の恵方は南南東。おいしく食べて、無病息災を!
今年の恵方について知るよりも、どのような恵方巻が店頭に並ぶのか、ついおいしさへの興味が勝ってしまうという方もいるのではないでしょうか。
恵方巻のブームによって「恵方」という言葉や意味をはじめて知った方も多いことと思います。しかし考えてみると、方角をとても大事にする風水をはじめ、おみくじなどの占いごとでは「●●の方角から待ち人来たり」と方位に関するアドバイスが多いことに気づきます。
節分の日に限らず、恵方を意識して行動することで、運気がさらにアップするかもしれませんね。