⑤ ハチに刺されないための対策とは
ハチが活発に動き回る時期は、ハチに刺される被害もしばしば起きています。ハチは、なぜ人を刺すのでしょうか。ここでは、ハチの習性、ハチに刺されないための対策、刺されてしまったときの手当の方法について、わかりやすくご説明いたします。
毎年10~20人が死亡しているハチ被害
ハチに刺されたことが原因と考えられる死亡者数は、2019年には11人でした。2014年から2019年までの6年間を平均すると、毎年15人以上が亡くなっています。ハチに刺されないようにするには、どのような工夫が必要なのでしょうか。
ハチの巣には近づかないこと
ハチが多く飛んでいる場所は、たいてい近くに巣があります。ハチはむやみに人を刺すわけではありませんが、不用意に近づくと巣を守ろうとして刺すこともあります。巣には、近づかないようにしましょう。
ハチに刺されにくくする対策
ハチによる被害を調べると、時期や場所に特徴のあることがわかります。ハチの習性を知って、刺されにくくする対策を考えましょう。
ハチの活動時期・時間に注意
活発に動き回るのは、巣を作って繁殖する春から秋にかけてで、ハチ被害もこの時期に集中しています。特に夏は、屋外での行楽や庭仕事の際十分に気をつける必要があります。生息地域や気温によっても変わるので、身近なハチの動きに注意しましょう。
ハチは、日中エサを求めて巣の外で活動するので、見かける機会も増えます。一方日没後には巣で休んでいるため、出会う危険も少ないといえます。ハチの活動時期については、「ハチが出やすい時期」でご説明しています。
肌を出さない、淡色の服装
ハチに限らず虫に刺されにくいのは、長袖・長ズボンなど肌を覆った服装です。女性のスカートは、丈が長くても脚の周りに空間ができるので、虫を避けるには不向きです。
ハチは一定の色の識別ができるといわれており、黒っぽい色、濃い色には強く反応します。野山に出かけるときは、黒っぽい服装を避けた方がよいでしょう。
ハチと遭遇した際、頭髪や瞳をめがけて攻撃してくることがあります。帽子で髪を覆う、目のまわりを隠すなどして遠ざかると、より安全です。
ハチを刺激する行動をとらない
ハチが近くに来ても、棒や手で振り払うのは危険です。攻撃したと誤解され、襲われることがあるからです。同じ理由で、大声を出すのも避けたい行動です。
ハチに刺された場合の対処法
それでは、もしハチに刺されたときにはどうしたらよいのでしょうか。
その場を離れる
刺されてしまったら、まずはその場を離れて安全を確保しましょう。知らずにハチの巣に近づいてしまった場合、攻撃されると勘違いしたハチが集まってくることもあります。顔を刺されないよう、腕や布で隠して逃げましょう。
傷口の応急処置
ミツバチに刺された場合は傷口を調べ、毒針が残っていたら指でそっと抜き取りましょう。
登山やキャンプで使うポイズン・リムーバー(毒抜き)があれば、傷口の毒を吸い出して流水で洗い流しましょう。ポイズン・リムーバーは、刺されてすぐ使うのが理想です。体内に吸収される前にハチの毒を吸い出すことで、腫れや痛みを軽くすることができます。ただし、口内の粘膜から毒が入る危険性があるので、口で吸い出すのは避けてください。応急処置を済ませたら、抗ヒスタミン剤入りのステロイド軟膏などを塗って傷口を冷やします。
アンモニア水が虫刺されに効くといわれますが、ハチ毒には効果がありません。皮膚炎を起こすこともあるので、使わない方がよいでしょう。
直ちに病院を受診すべき場合
目の周りを刺されたり、刺された後に気分が悪くなったりした場合は、すぐに病院に行きましょう。
怖いアナフィラキシー反応
「アナフィラキシー」は劇症のアレルギーで、刺されて数分から15分で起きるので、急いで医師の診察を受ける必要があります。
ハチに刺された場合の症状の重さは、4段階に分けられます。
第1段階 (全身皮膚症状) |
じんましんや紅斑、かゆみなど |
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第2段階 (消化器症状) |
みぞおち付近の痛み、吐き気、嘔吐など |
第3段階 (呼吸器症状) |
呼吸困難、嚥下障害、呼吸時にぜいぜいと音がする、声のかすれなど |
第4段階 (循環器症状) |
チアノーゼ、血圧低下、意識障害、不整脈、狭心症発作など |
アナフィラキシー反応は、過去にハチに刺されたことのある人が再び刺された場合に起きます。しかし一度に多数のハチに刺された場合は、初回でも同様の反応が起きることもあります。
また、ハチ毒で中毒を起こし、急性腎不全、多臓器不全など重症になる例もあるので、ハチに刺されたことを軽視するのは避けましょう。診療科は基本的には皮膚科ですが、子どもの場合は小児科の受診を勧められることもあるので、事前に病院に問い合わせましょう。
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一番の対策はハチのいる場所を避けること
屋外ではハチの動きに注意し、巣に近づかないようにしましょう。また、ハチは軒下やベランダなどに巣を作ることもあるので、折をみて確認しましょう。「最近よく見かける」という場合には、近くに巣がないかどうか家のまわりを確認することも大切です。