「ハチ」対策 豆知識

④ ハチの種類と生態・習性

日本で人がハチに刺される例のほとんどは、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチによるものです。今回はこれらのハチの生態や習性について、詳しく解説いたします。

日本に生息するハチは4000種以上

ハチは膜翅目(まくしもく)に属するアリ以外の昆虫の総称で、分類上とても大きな生物グループです。世界に約20万種以上、日本には4000種以上のハチが生息するといわれます。このうち人を刺すのは、日本ではスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、マルハナバチなどで、中心となるのはスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種です。

ハチの見分け方

ハチの種類は、成虫の体型や巣の外観で見分けることができます。人を刺すスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチには、外見上以下のような特徴があります。

スズメバチ

日本産のハチではもっとも大きく、小型の働き蜂でも体長3㎝近くあり、女王バチは4〜5cmほどの大きさがあります。オオスズメバチ、ヒメスズメバチ、キイロスズメバチ(ケブカスズメバチ)などの種類があります。
地域によって差はありますが、本州でもっとも見かけるのはコガタスズメバチやキイロスズメバチです。コガタスズメバチは、オレンジ色の大きな頭に黒い胸、腹部には褐色と黄色のしま模様があります。キイロスズメバチは黄色い腹部に黒いしまがあり、体表が毛で覆われています。

アシナガバチ

全体的に細身で、長い後肢をぶら下げて飛ぶハチです。腹部に黄色い模様がふたつあるフタモンアシナガバチや、黄褐色の頭に外側が黒い胸をもつセグロアシナガバチ、黒い体色に明るい黄色のしまがあるコアシナガバチなどの種類があります。

ミツバチ

体長12~13㎜前後で、丸っこい体つきです。黄色地に黒のしま模様があり、体の表面や脚に長い毛があるのが特徴です。セイヨウミツバチの体色はオレンジがかっているのに対し、ニホンミツバチの体色は全体的に黒っぽい印象です。

それでは、スズメバチやアシナガバチ、ミツバチはどのような生活をしているのでしょうか。ハチごとの生態や習性についてご説明いたします。なお、ハチの動きが活発になる時期については、「ハチが出やすい時期」で詳しくご説明しています。

日本のハチでは最大のスズメバチ

スズメバチ科のハチは、現在85種類が確認されています。大型のスズメバチを俗に「クマンバチ」とも呼びますが、ミツバチ科の「クマバチ」はまた別なハチです。

エサと生息場所

スズメバチは、土の中や木のうろ(空洞部分)、家の軒下や屋根裏などに巣を作ります。クモや昆虫など生きた虫を捕らえ、かみ砕いて幼虫に与えます。成虫は、幼虫が出す分泌液や、熟した果物の液をエサにしています。

スズメバチによる被害

攻撃的な性格で、尾の先にある針で何度も刺します。ハチの中でも毒性が強く、刺されると激しい痛みと腫れがあり、症状が重い場合は呼吸困難に陥ったり、死亡したりすることもあります。スズメバチに刺された場合の応急処置や駆除の方法については、「スズメバチの対策や駆除」でご説明しています。

秋は、新しい女王バチが羽化してくる大切な時期です。このころ、働き蜂がミツバチの巣を襲って成虫を全滅させたのち、さなぎや幼虫を巣に運び込んでエサにすることがあります。ミツバチや養蜂家にとっては、最大の敵といえます。

長い後肢が目印のアシナガバチ

アシナガバチはスズメバチ科のハチで、日本には11種類生息しています。長い後肢を垂らすようにして飛ぶことから、この名があります。

エサと生息場所

人家の軒下やベランダ、庭木の枝などに巣を作り、ケムシを捕らえて食べる肉食性のハチです。街なかに生息するのはコアシナガバチ、キアシナガバチ、セグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチなどで、大気汚染の影響を受けやすく、巣づくりの材料に木材を使うため、都市化の度合いを知る指標動物にすることもあります。

アシナガバチによる被害

アシナガバチは、庭木の枝や農作物に付く虫を捕食する益虫でもあります。しかし、人家の近くに巣を作り、人を刺すこともあるため、危険・不快な害虫という一面ももっています。

ハチミツを生み出すミツバチ

ミツバチ科には16種のハチがあり、日本には在来種のニホンミツバチと、明治時代にヨーロッパから持ち込まれたセイヨウミツバチの2種類が生息しています。ミツバチは、花粉と花の蜜を食べてハチミツを作ります。セイヨウミツバチはとくに採蜜に優れているため、ハチミツを目的に養蜂されているのはほとんどがセイヨウミツバチです。

エサと生息場所

自然な状態では、樹木の空洞や洞穴など、暗がりに巣を作る習性があります。

益虫といわれる理由

ミツバチは、女王バチになる幼虫だけに与えられるエサを食品として利用したロイヤルゼリー(ローヤルゼリーとも)や健康食品としても知られるプロポリス、ろうそくや化粧品などに利用されるミツロウも生み出します。さらに農作物や果樹の受粉に役立つことから、益虫としての性格が強いハチともいえるでしょう。

ミツバチによる被害

ミツバチはおだやかな性格で、相当な事情がない限りは人を刺すことはありませんが、刺激することは避けましょう。人家の近くに巣がある場合、知らずに巣に近づいて、声や振動でミツバチを刺激してしまうことがあります。家の近くでミツバチをよく見かける場合は、周りに巣がないかどうか観察しましょう。ミツバチの巣の危険性は、「ハチ・ハチの巣を駆除したい」でご説明しています。

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